井上 雑兵

いい歳こいてなにか一発ぶちかましたい二人による創作小説・イラストなどを公開しています。…

井上 雑兵

いい歳こいてなにか一発ぶちかましたい二人による創作小説・イラストなどを公開しています。 文:井上雑兵(@i_noue) 絵:フミヨモギ(@fumiyomogi_ms)

マガジン

  • 【井上雑記】

    創作(小説)に関するもろもろの話です。

  • 【短編小説】

    ときおり心温まったりする短編小説です。 文:井上雑兵 絵:フミヨモギ

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灯台守と猫

文:井上雑兵 絵:フミヨモギ ◆  わたしの職場は、とある銀河の片隅にある一基の宇宙灯台だ。  たいていの宇宙施設がそうであるように、職員はわたしともう一人だけである。  ちなみに給料はなし。無給。ただ働き。  有人施設を制御・維持するためだけに製造されたアンドロイドなので、仕方がない。  フィリップス社のタイプPU・シリアル3983765003。少女型アンドロイドのベストセラー。脳の約2パーセントがバイオチップに置き換わっているのと、細胞分裂抑制素子を組み込まれているの

    • 小説書かずになんのゲームやってるんですか

      井上です。 ええ、やってますよ。 ゲーム……遊んでいますよ! 小説執筆? note更新? うるせ~~~~~~~~! 知らねーーーー~~~~~~~~~~~~~~!!!!! FINAL FANTASY XVI というわけで、FF最新作を遊んでいます。 最近のFFはさぁ、ちょっとねぇ……みたいな古参ファンを気取っていたんですが、このFF最新作、遊んでみたらやたら楽しくて毎日の生活にハリが出るレベル。 たぶん腰痛とかにも効く。 今作から古き良きコマンドバトルは撤廃さ

      • ネガティブの行方

        文:井上雑兵 絵:フミヨモギ 「天使を見張る仕事には未来が見えません」  最近やたら無断欠勤がつづく若い部下の口から、そんな言葉を私は聞かされている。  ほう、未来ときたか。  未来。  いい言葉だ。  きっと希望の類義語のつもりで言っているのだろう。  だが未来なんぞ見えないのは当たり前だ。だれだって未来のことなんかわからない。  一寸先は闇。  なんなら私たちは常に闇の中にいる。 「そりゃだれかがやらなければいけない仕事だってのはわかりますよ。でも、あたしのやりたい

        • NO GIRL/NO CONNECT

          文:井上雑兵 絵:フミヨモギ 私たちはだれかと繋がってないと秒で死ぬ。 それはあながち比喩でもなんでもなくて、何年か前に大手通信キャリアが引き起こした大規模障害でソーシャルネットワークへの接続が2時間断たれただけで18人の女の子が孤独死した。 秒で死ぬ、は言いすぎだったかな。 各種ソーシャルの更新チェックの間隔は、だれもが秒単位で設定してるけど。 孤独死って、昔は家族がいないさみしいおじいちゃんおばあちゃんの専売特許だったらしいけど、今は女の子の死に方の主流。 死因はた

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        灯台守と猫

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        • 【井上雑記】
          9本
        • 【短編小説】
          9本

        記事

          映画ハリー・ポッター2作目「秘密の部屋」の話ですか

          井上です。 前作の内容を忘れないうちに2作目を視聴しました。 ↓前回のやつ そう。 映画「ハリー・ポッターと秘密の部屋」をね……! パーフェクト美少女であるところのハーマイオニー目当てでね……! 物語はホグワーツの夏休みかなにかで実家に帰省したハリーが、陰湿家族に相変わらずの嫌がらせを受けまくるシーンから始まります。 この家族……相変わらずすぎる……! でも魔法で仕返ししたりしないのがハリーのいいところ。 とつぜん出てきたキモいインプみたいな使い魔ドビーのおかげで部

          映画ハリー・ポッター2作目「秘密の部屋」の話ですか

          なんでこんなに放置したんですか

          ハイ井上です。 ええ井上ですよ。 最近すこしばかり周囲の時の流れがおかしくて、気がつけばもう4月も終わり……The End Of April…… 信じられねえ。 すなわちネバー・ビリーブ…… 週イチ更新という己に課したゆるい誓約さえも守れない現実を受け止めきれぬままこの記事を書いている次第ですが仕方がなかったんや。 忙しかったんだ…… ぜんぶ忙しさが……まるで空気を読まない俺の忙しさが悪いんだ…… 詳しく書きづらいところですが、まあとにかくゆとりがなくて、文章を書く余

          なんでこんなに放置したんですか

          うそつきの猫の話

          文:井上雑兵 絵:フミヨモギ *  毎年、ぼくは四月になるとアオタンのことを思い出す。  正確には四月のはじまりの日――エイプリルフールになると、アオタンが「うそだよ」などと言いながらひょっこり帰ってくるんじゃないかと思ってしまう。  アオタンが死んでもう何年も経つけれど、きっとこれからもずっとそうなのだろう。 *  アオタンというのは、ぼくの家で飼っていた雌猫の名前だ。  右目のまわりの大きなぶち模様が、まるで喧嘩で殴られてできた痣のように見えることから父さんがそ

          うそつきの猫の話

          怖がりの先輩の話

          文:井上 雑兵 絵:フミヨモギ  *  小学校に通いはじめる少し前。  街に点在する桜の木々がその存在感を増しはじめる季節。  いつも遊んでいる公園に見知らぬ男の子がいる。  彼は錆びた鉄骨で組み上げられたジャングルジムの頂上に登り、高らかに叫んでいる。 「ぼくには怖いものなんか一つもないぞ!」  本当かな、と思った私は男の子をジャングルジムから引きずり下ろし、その頭をグーで思いきり殴る。  すぐに取っ組み合いの喧嘩になる。互いに叩き合い、服を掴んで突き飛ばし合い、髪

          怖がりの先輩の話

          今さらハリー・ポッター観たんですか

          井上です。 最近、「ホグワーツ・レガシー」なるハリー・ポッターの世界をベースにした評判のいいゲームが発売され、ぜひ遊んでみたいと思っているのですが、一つ大きな問題がありました。 俺はハリー・ポッターのことをなにひとつ知らないのです。 原作小説はおろか、超ヒットした映画の1作目すら視聴していないありさま。 これではいかんな…… 最近ちょっとインプットが足りてなかったよなと思い、Netflixで観てみましたよ。 映画「ハリー・ポッターと賢者の石」を。 もうこれ、20年以上も

          今さらハリー・ポッター観たんですか

          文章の書き方を忘れたんですか

          井上です。 文章を書くのはわりあい好きだし、ごくまれに書きたい気分が盛り上がることもあるんですが、それ以外はたいていなんも書きたくねえーという病に侵されています。 病というか、文筆業を営んでいるわけでもない俺にとってはそれが普通なんですよな。 なんも考えず生きていたい。 いや、実際のところ生きていくだけで精一杯で、生活やら仕事やらなにやらで考えることは無数にあって、それに溺れそうになりながらもなんとかやっているわけで、それでいて必要もない駄文を記すというのはとてつもな

          文章の書き方を忘れたんですか

          これしか書けないんですか

          井上です。 こちら創作についての雑記ということでね。 これまでいちおう週一ぐらいのペースで、フミヨモギ氏のイラストとともになんらか小説をアップしてきましたが、少し思ったことがあります。 えっ……俺の書いた話…… 世界滅びすぎ……? おい滅びとるやないかと。 ことごとく滅びてるじゃねえかと。 滅びはしないまでも、なんかこの世がオワコンみたいな風味をだしすぎてる気がします。 なにしてんだ。 もっと、こう……あるだろうがっ……。 日常系みたいなやつとか、純愛とかラブコメとか…

          これしか書けないんですか

          最後に見た星

          文:井上雑兵 絵:フミヨモギ 「我々は宇宙人だ」  消灯時間がすぎて、わたしがいつものように浅い眠りと覚醒のはざまを行き来しているときに、その声は聞こえる。  重たいまぶたをもちあげると、見慣れた病室の白い天井が広がる。  顔をかたむけて視線を下げると、やはり見慣れた白くてひょろい自分の右手が清潔なシーツの上にぽつんと乗っていて、それにつながった点滴のチューブがベッドのかたわらのスタンドまで延びている。  そこまでは異常なし。変わり映えしないいつもどおりの光景だ。  だ

          最後に見た星

          モーニングスター女子

          文:井上雑兵 絵:フミヨモギ ◆  ある夜のことだ。  雲だかスモッグのせいで星の一つも見えない、暗くて息苦しい都会の夜の話。  ぼろ雑巾のようになるまで働いて、深夜の満員電車に揺られながら帰って、あれ、あたしの人生ってひょっとして、なんかもうなにひとつ良いことないんじゃねえの?って。  そう思ったとたん、意地悪なだれかが背後から目隠ししてきたのかってぐらい唐突に目の前が暗くなってきて、うさぎ小屋みたいなワンルームの片隅でへたり込んでた。  いつものように。  で、

          モーニングスター女子

          noteで小説を読んでもらう方法

          井上です。 この記事さえ読めば、だれでも小説を投稿するたびに秒間2億PVぐらい稼ぎ、いにしえの英雄王ばりの金と名声も手に入り、HOTなベイブとの熱い夜を過ごすことができる………わけはなく、 キャッチーなタイトルに騙されてうっかりクリックしてもらう気満々の卑劣な記事がこちらです。 仕方ないだろ! なんの実績も! コネも! 若さも将来性もない俺が! なりふり構わず読んでもらおうと思ったら……もう、タイトル詐欺しかねえだろうがっ……! 「noteで小説を読んでもらう方法」

          noteで小説を読んでもらう方法

          世界の終わりにあなたとポルカを

          文:井上 雑兵 絵:フミヨモギ  百塔の街と呼ばれる私の世界は。  ひび割れた煉瓦、くすんだ色のステンドグラス、ねむたげな灰色の雲と、ちょっぴりの青空でできている。  毎日のおんぼろスクールバス。けたたましいディーゼル機関の揺りかご。この世でもっとも静謐な時間。  私と同じ年頃の女の子たち。  いつものように、その何人かがひっそりとポルカを踊っている。  ごくささやかに、思い思いのやりかたで。  それはバスのつり革につかまる片手の律動だったり、アイスブルーのイヤホンで聴い

          世界の終わりにあなたとポルカを

          さっそく困ってるんですか

          井上です。 俺がこの世でもっとも書くのが苦手としているのが雑記のたぐいだということを、雑記というカテゴリのマガジンを作ってからようやく思い出しました。 人がもつ「忘却」という能力に無限の可能性を見出してしまった気がします。 なんといいますか。 雑になんでも書いていいってなると、逆になにも書けなくなる的なやつ。 夕ご飯の献立なにがいい?って聞いて「なんでもいい」って言われるのが一番困るやつです。 そういうわけで早くも苦し紛れの様相を呈している当noteですが、いちおう新し

          さっそく困ってるんですか