LIBYA UPDATES: April 2020 Week 1 (4/4-10)
こんにちは🕊
突然ですが、毎週(または隔週)金曜日に、リビア情勢のアップデートを投稿してみようと思います。
続くかは分かりませんが、ひとまず今回は第1弾です。
記事中の画像は全て、画面のタップまたはクリックで拡大してご覧いただけます。
リビアのこれまで、そして今起きていることについては、以下の記事をご覧ください。
1. ハフタル勢力による軍事侵攻の開始から1年
☞リビアのこれまで
リビアでは、2011年に40年続いたカダフィによる独裁体制が崩壊。その後、新たな政府樹立を巡り国が分断状態にある。
現在は、二つの「政府」が正当性を主張し合っている格好となっている。首都トリポリを拠点し、国連の仲介で作られた国民合意政府 (以下GNA)と、東部の都市トブルクを拠点とする政府(以下HoR) だ。
2019年4月、HoRとつながりを持つハフタル将軍率いる勢力(一枚岩ではない)が、首都トリポリへ向かって侵攻を開始。GNAに忠誠を誓う民兵組織などがこれに応戦し、軍事衝突へと発展した。 GNAにはトルコ、ハフタル勢力側にはUAE、ロシアなどがつき、軍事支援などを行ってきた。
ハフタル勢力による軍事侵攻が始まり、4月で1年を迎える。
この1年で、ハフタル勢力が支配地を大きく拡大。
リビア国内の勢力図。左は赤がGNA勢力、緑がハフタル勢力。右は赤がGNA勢力、グレーがハフタル勢力の支配地域を示している。
(出典: BBCをもとに筆者加筆)
トルコやロシアなどが主導し、1月には停戦へ向けた交渉も行われたが、合意は実現しなかった。現在も戦闘状態が続いている。
GNAとハフタル勢力間の戦闘等の件数の月別の推移。停戦へ向けた交渉が行われた後も、戦闘が続いていることが分かる。これに伴い、死者数も3月には大幅に増加した。
(ACLEDのデータセットをもとに筆者作成。)
リビアの人びとが払ってきた犠牲も計り知れない。
リビアなど4ヵ国で起きた軍事行動による市民の犠牲をウォッチする団体、Airwars によると、昨年4月からの市民の死者の規模は2013年以降で最大となっている。
2013年8月から2020年4月までに起きた戦闘等による月ごとの市民の犠牲者数をグラフにしたもの。
出典: Airwars. "All Belligerents in Libya".
UNHCRによると、2019年4月以降に家を追われ、国内に避難している人たちの数は15万人。
11万人以上の子供たちが学校に行くことができていないという報告もある。
2. 新型コロナウイルスと紛争
新型コロナウイルスの感染拡大も始まっている。
リビアで最初の感染者が確認されたのは3月末。WHO東地中海地域事務局によると、4月9日時点で同国の感染者数は21人となっている。
3日には、初の死者も。トリポリに暮らす82歳の女性で、WHOによると、リビア人ではないとのこと。
隣のエジプトでは6日、2011年にリビアで反カダフィ体制派組織の首相を務めたマフムード・ジブリル氏が、新型コロナウイルス感染により死亡した。67歳だった。
国連リビア支援ミッションUNSMILは4日、国内で戦う全ての勢力に対して、新型コロナに対処するため停戦を呼びかけた。
紛争で疲弊した同国では、新型コロナに感染した患者が十分な医療を受けられないことが懸念されている。
リビアの国連人道国際連合人道問題調整事務所は、医療施設の確保や検査キットの用意などに、1,250万米ドル(約13.5億円)が必要という見方を示している。
複数の空港が閉鎖されているほか、国内の移動も一部で困難な状態となっていることも不安材料だ。
7日から8日にかけて、トリポリでは断水と停電も起こったという。
「わたしたちはいま、戦争だけでなくウイルスにも苦しんでいる。もしも感染が広まったら、どうなるかは神のみぞ知るところだ」
タクシー運転手で、3人の子どもの父親でもあるナデル・モハメドさんはロイター通信の取材に対して、そう話した。
こうした中で6日、ハフタル勢力が首都トリポリで空爆を行い、アル・ハドラ病院が被害にあった。バングラデシュ出身の医療従事者1名が負傷したとのこと。
病院はトリポリ最大規模の医療施設の一つで、これまでも紛争の負傷者の治療を行ってきた。新型コロナ感染者への対応ができる機関としても重要で、6日には2人の感染者が入院していたという。GNAの支配地域にあり、前線の近くに位置する。
翌日には、新型コロナウイルスの感染者の避難が行われたとGNAが発表した。
空爆を受け、国連人道問題調整事務所OCHAのリビア人道調整官も声明を出した。
「明確な国際人道法違反」と指摘している。
一方、加害者が誰なのかについては、明言しなかった。
ニューヨークタイムズ紙をはじめとしたメディアの一部は、攻撃がハフタル勢力によるものだと報じている。
【参考】
サムネイルの写真は、リビアの写真家・アーティストのヒバ・シャラビさんが撮影したもの。許可をいただいて使わせていただきました。首都トリポリの旧市街の様子です。
今回は「とにかくアウトプット」を目指したので、もしかしたら十分な説明ができていないかもしれません。
なるべく伝わりやすいよう、少しずつ工夫をしていくことができればと思います。
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