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体への手紙 腰に願いを

ロールレタリングという心理療法がある。

珍しく日本で生まれた心理療法だ。
(他に内観療法や森田療法がある)

ロール(役割)
レタリング(手紙を書くこと)

なので

自分から誰かに宛てた手紙を書く作業
を通して、心の作業をする(気付きを得る)
ことが、大切になってくる。
実際には、相手に手紙は投函されない。

言わば、「心の中の他人」に向かって
その人を思いやって
してもらった事やして返した事
謝りたい事や
もう過去になったけれど終わっていない事を
胸に照らして、自分の言葉を綴る
これそのものが、自分と対話しているのだ。

ロールレタリングは、最初は非行少年に対して
少年院などで使われた。矯正教育の一つとして。
(創始者の方を拝見した事があるが、大変実直そうな方であった)
迷惑をかけたお母さんやお父さん、先生や雇い主などに宛てて手紙を書く事が多かった。

お母さんに言いたかったけれど、行動でしか表せなかった事が言葉となって溢れて、次第に収斂してゆく。

そうすると今度、彼はお母さんの立場から
彼自身に宛てた手紙を書く。

ここに、ロール(役割)は交換される。

あの、実直そうな法務教官が現場で作ったのだ。
少年と教官はどんな体験をしただろうか。

今、どれぐらいの人が使っているだろうか。 
あまり、強制されて良いものにはなるまい。
こういうものは、自然と心に湧いてくるキッカケであってほしい。

僕は、これを自分の身体に使いたい。
腰に宛てた手紙を書いてみよう。


腰さんへ

貴方との付き合いは随分になりますね。

いつも痛くなるまで放っておいてごめんなさい。
本当は貴方が痛みを訴えてくる、大体2日前くらいからこちらも貴方に負担をかけているのはわかっているんです。
だから、知っているのに何もせずに辛い思いをさせてごめんなさい。

貴方に負担をさせるキッカケはきっと(怒り)です。とても原始的な、言葉にならないものです。

僕は、色んな人の世話(世の中の話)をするのが仕事です。中には、容易では無い方もおられます。そういう時、(これは貴方に迷惑をかける事になるぞ、、)とふと頭をよぎります。

そして、一時的にでも相手の荷物を(引き受ける)覚悟を決めたり、言わねばならない事を言います。
その時、貴方もきっと気づいているんでしょう。
(オーケー)と赦してくれるのを感じます。

その時は、僕はとても勇気が湧きます。
自分と一緒にいる感じが強まるのです。
それは、少なからず患者さんを助けるようです。
貴方と一緒だから、やってゆけるのです。
ありがとう。

コロナで随分と貴方の世話をしていませんでした。今度、温泉でもゆきますか?

                 トマス拝

書いてみて、わかった。
これは、告解なんだ。

腰は、僕になんて手紙を書いてくれるだろう。


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