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登場人物全員が優しい物語『誰が勇者を殺したか』感想

勇者については、前に書いたことがあります。(※)


※前に「勇者」について書いた記事は、こちらから。


勇者とは、「勇敢」や「勇気」を持つ人のことで。

それでいて、周りから信頼されている。

そんなイメージが、私にはありますね。

しかし。

最近の冒険小説やライトノベルなどを読んでみると。

この「勇者」というイメージも。

変わってきているのかなと思う、今日この頃な訳です。

皆さんは、「勇者」にどんなイメージがありますか?


というわけで。

本日、ご紹介するライトノベルは、駄犬先生の『誰が勇者を殺したか』(2023年10月刊行)です。

ある意味で、勇者は孤独なのかもしれませんね。



あらすじです

今回もまた、「BOOK☆WALKER」さんより、あらすじを引用させていただきます。

 勇者は魔王を倒した。同時に――帰らぬ人となった。

 魔王が倒されてから四年。平穏を手にした王国は亡き勇者を称えるべく、数々の偉業を文献に編纂する事業を立ち上げる。
 かつて仲間だった騎士・レオン、僧侶・マリア、賢者ソロンから勇者の過去と冒険話を聞き進めていく中で、全員が勇者の死の真相について言葉を濁す。
「何故、勇者は死んだのか?」
 勇者を殺したのは魔王か、それとも仲間なのか。
 王国、冒険者たちの業と情が入り混じる群像劇から目が離せないファンタジーミステリ。

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というわけで。

本日のテーマは、「勇者の死」についてです。



ミステリー仕立てなのは、前半まで

さて、この作品。

魔王との戦いによって、命を落とした勇者を讃えるため。

文献として編纂するべく。

ある人物が、様々な登場人物にインタビューしていく形式と。

過去の登場人物の視点。

さらには、生きていた頃の勇者の視点という。

一風変わった物語構成となっております。

インタビューでの場面では、勇者の仲間であった。

騎士レオン。

僧侶マリア。

そして賢者ソロンによって。

勇者の人物像が語られます。

彼らが話す「勇者」は。

魔法や剣術の才能が無い代わりに。

どこまでも「異常」に努力する人物であったと語られます。

しかし、全員。

勇者の死についてだけは、どこか言葉を濁します。

「本当に勇者は死んだのか」

ある人物が、様々な人たちへインタビューをしていく中で。

ある可能性が浮上して……。

というのが、このお話のあらましとなっています。



このお話の面白い所

ファンタジーでありながらも。

ミステリー仕立てと言うところだと思います。

物語の構成時体も特徴的で。

段々と、死んでしまった「勇者」という人物が。

どのような人物で、どのように物事を考えていたのかが。

分かるようになっています。

また、勇者の死についての真相が分かるのは。

物語の中盤であり。

それからは、どうして勇者という存在が生まれたのかという。

新たなる謎に迫っていく構成になっております。

そこにいたるまでの過程が。

非常に納得できるものであり。

そこには、感動がありました。

結局の所。

勇者を含めた、どの登場人物達も。

優しかったという事です。

それでいて、登場人物全員が、魅力ある人物像として描かれているのが良かったですね。

漫画「葬送のフリーレン」みたいなお話が好きな人には、うってつけだと思います。

あと、タイトルからは連想しにくいですが、ハッピーエンドとなっています。




この話の欠点について

元々がweb小説なだけあって。

ファンタジックな要素の説明が皆無です。

「情景や景色が思い浮かばない」という意見があったり。

「どんな魔物の姿をしているのか」が、あまり描かれていなかったりします。

ですが。

私的には、それは野暮なことかなと思います。

何故なら、この作品で描きたいところではないからです。

また、web小説の場合。

そういった説明は、「いらない」と思われる風潮があるかなと思います。

なので、ライトノベルを初めて読む人にとっては。

こういったものなのだということを。

ここでは説明しておきますね。



最後に

一巻だけで、シンプルに完結する、このお話。

「葬送のフリーレン」みたく。

魔王が倒された後の物語となっている上。

ミステリーでいて。

それでいて、ハッピーエンドとしてまとまっている、本作。

是非とも、沢山の人に読んでもらいたいなと思いつつ。

今日は、ここで筆を置くことにします。


さて。

最後まで、ご覧いただきありがとうございます。

この作品に、ご興味がありましたら、是非、手に取ってみてください。

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