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幾つかの詩

思考迷路


思考は緩慢取り止めもなく打ち込むキーボード
文字は化ける事なく文字のまま
だけど並べていくと次第に見えてくる
脳みそのその薄靄の向こう側
まだ見た事ない未知の感覚
手には負えない有象無象
自分でも理解し難い衝動
浮き沈み掴み取りたい
自分の存在価値
問いかける言葉の端々

夜勤明けの空


窓の外が明るくなってきた
少し前まで暗かった6時半
一月は今日で終わり
明日から二月の始まり
今年は暖かいのか天気予報を
見ると二月からはずらっと
十度以上の日々が続く
梅の開花もだいぶ
早いみたいな事も言っていた
今日は久しぶりの夜勤
眠気でぼんやり
帰りは気をつけて帰らなきゃ

壁の向こうの誰かさん

見た事も話した事も
交わした事も無い
透明人間が営む生活音
ドアの開け閉め
テレビの音
洗濯機
ベランダで布団を干している音
足音やらお皿のかちゃかちゃなる音
怒鳴り声から察するに
二人で暮らしているのだろう
彼ら或いは彼女らからしたら
僕もまた透明人間なのかもしれない
互いに得体が知れない存在が
隣近所で暮らしている異質さ
知らない誰かかの生み出す音が
僕の生活空間にまで
染み込んできてそれを
受け入れてしまっている異様さ
互いに思うところはあれど
争い事は勘弁願いたいから
黙って暮らして聞き耳を立てる
気にしてはいないが
気になる他人のプライベート
背徳的で罪悪感を感じつつも
薄い壁ごしから手招き好奇心の悪魔
今日も今日とて気になる隣人透明人間の生活

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