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窓の向こうの青い風景

学生服の群れ

わらわらと溜まり騒ぎ

待つは信号機の青い光

行き交う車の無表情な顔つき

乗ってる人間達にとって

自分達がそちら側にいたのは

何十年も前の事

今や時間に急かされ

仕事に悩み

趣味を忘れて

楽しむ会話は青空の下よりも

机の上のパソコン越しが

ほとんどで

堅苦しくもなく笑い合えた

青い喜びは記憶の片隅

遠い景色の向こう

窓の向こう側

信号機の移り変わり

青から赤へ

赤から青へ

揺れ動く子ども達の姿

学生服の肩には交通安全と

書かれた札が安全ピンで

留められてゆらゆら

揺れて輝いて羨ましい

子どもたちは横断歩道を

渡るだけで楽しそうに

はしゃいでいる

純粋で無垢で夢の様な声

あぁ信号機が再び瞬き出した

僕らはいかなければいけない

あの頃には戻れないけれど

空の色だけはあの頃から

何も変わらない

青いまま

流されるまま

僕はまた時間に急かされ

車のハンドルを握り

歳をとっていく

道はどこまでも続く

いつまでも続く

悪夢の様な唸り声をあげて

車が走っていく

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