雨の音に包まれながら

歩くのは楽しい

僕の住む町では

あらゆるものが

濡れて滴る事を

受け入れる準備が出来ている

雨が降ると途端に町は

賑やかに騒がしく

まるでお祭り騒ぎの様相

車が走れば

水溜りに魂が吹き込まれ

生き生きと跳ねて飛んで

虹が描かれる

傘を持っていれば

ぱたぱたぱたぱたと

頭の上で奏でられる演奏会

素敵な音色に浸れる幸せ

電線で羽を休める鳩は

水浴びでもしてるかのように

陽気に讃美歌をさえずり

長靴を履いて歩く子ども達の

嬉しそうな笑顔は

雨粒がくれた贈り物

細やかな雨粒張り付かせた

雑草は宝石さながらの輝きを放ち

ずっと見ていられる

そんな煌めきを

肩に乗せることのできる贅沢

裾を濡らす事ができる優越感

髪を濡らせる多幸感

心が濡れる事を求めている

渇きを癒せる安心感

喜びが凝縮された

灰色の空を見上げると

頬が緩む

雨の日が来ると

じっとなんかしてられない

僕は雨降りの喜びを

味わう為にいそいそと

町へと出掛けていくんだ