【患者の本音】苦痛の数値化(0から10)が難しい

一見すると、数値化は客観的に誰にでも分かりやすい表現のように思えるかもしれない。(短文の質問で、一瞬で数字という一目瞭然で、比較が容易なデータが得られるように感じるかもしれない。何も考えずとも、誰にでも分かる回答が返ってくる。あたかも、それは一律な評価で、あたかも客観的かのように装う数字。)

しかし、10の定義は皆違う。


今までの経験によって、「最も辛い」の次元は非常に大差が生まれる

だから、0から10で評価した時、全く同じ状況を10段階の15と言う人もいれば、10と言う人も、5や3と表現する人まで多彩だろう。

私の0から10評価を、人生で一番の苦痛を10と置いた時を例

9.5:呼吸停止で人工呼吸器装着後、挿管後肺炎になり、偽膜性腸炎(CDトキシン)を合併症し、イレウス(腸管麻痺)を合併症し、連日嘔吐と下痢があり、気切穴が炎症を起こし、その後溶連菌感染をした時。(この間、指一本動かせず、一切の身動きが取れなかった。意思疎通は瞬き、口パク、文字盤の字を瞬きだけで1文字ずつ伝えることで言いたいことを伝えていた時期。記憶がない部分もあるけど、自分にとって、前にも後にも、肉体的にこの時期ほど辛かったことはない。ただ、精神的には、一番辛かった時期ではない。)

6から7:今の私に耐えうる限界を超えた状態。現代の医療現場の忙しさ、生きている家族の人数、財力、自身の年齢や社会的立場などを諸々考慮し、10にもその途中にもおそらく耐えられないだろうから、本気で手詰まりに感じてしまう状態。あまりの辛さに、生きたいのに馬鹿みたいに安楽死の手段に思考が迷い込む程度。しかし、辛いものはものすごく辛いので、自己治療を模索して実行しようと考える域。当然、再移植も頭の中では本気で検討する。効果があるならば、何処であろうと、どんな博打であろうと、再度移植治療を実行に移すのに、迷いはない。

過激な考え?というか、いよいよダメならどうしたいかが明確にある理由は↓↓この記事から

3:超大量抗がん剤±放射線(骨髄破壊的前処置)で連日数え切れない回数の嘔吐と下痢、極度の貧血による狭心症、白血球は全くの皆無(0️⃣)で免疫力がない状態で敗血症になっており、血小板も低くて出血性の合併症(脳卒中を除く)、失神は日常茶飯事、(シャワーは浴びれない時もあるものの、シャワーチェアに座れれば自立。トイレも移動時狭心症の症状で倒れ込むこともあり、極度の貧血から失神と失禁することもあるが、ベッド脇のポータブルトイレに移ることは常に全くできないわけではなく、移れれば排泄もそのあと拭くのも自立。ただし、場合によっては、ベッド上で水下痢失禁、たまに差し込み便器使用)、ちょくちょく薬剤アレルギーでアナフィラキシーを起こし、前処置中連日薬剤と関係なく複数回喘息発作を起こしており、咳で嘔吐することもしばしば。移植後痰の量が多く、心不全もあった時期。

百分の1:コロナや持病、薬剤の影響で、連日数え切れない回数嘔吐しており、下痢も尿のように透き通った水のよう(大腸内視鏡のための下剤で最後水中の水しか出てこない状態同等)。これが、連日続いて、脱水だけど入院できずにAKI(急性腎障害)になって、嘔気、全身の瘙痒感(痒み)などが出現しており、乏尿(一時無尿?)で、このままいったら、本当に命が危ないと認識する状態。(カリウム6以上)

椎間板ヘルニアや三叉神経痛も、この10段階評価では小数点になる。

インフルエンザは数字も浮かばない。

頭痛だけはどの症状よりも苦手なので、偏頭痛で嘔吐する状態は0.5から0.8くらい。

0:健康な時だろうけど、体感的にどんな感じか記憶にすらないので…… 今は想像すらできない……

私の中では、logスケールの10段階評価だから、正直に言って、10を何に設定した時か相手に確認しないと答えに困る。(そして、質問者だけがこれを聞いて、「じゃぁ10段階の10は今回の入院の中で最も辛い状況で」と本来の10の「人生で一番辛い/想像しうる最も辛い状況」を歪めて、記録に残さなければ、そもそも私の回答と読み手の理解には大きな乖離が生まれる可能性もあるかもしれない。(本来の0から10スケールの目的として、機能が微妙となるのではないだろうか?)

ちなみに、logのグラフは赤い🟥グラフで、こんな感じ。

通常10段階評価は直線の緑のグラフで現されるのだろう。

赤が私の(0から10段階)、聞き手は緑として聞いているかも

logに関して詳しくは、写真元の以下のリンクから

当然、生涯健康な人が、生まれて初めてインフルエンザに感染して、発熱と頭痛で苦しい時にその苦しみを8と答えた時と、私が同じ症状別の数字で答える時とで、症状はほぼ同じで、数字だけが違うこともあるだろう。

当然、先天性の疾患で何度も何度も手術をしている人と、私のスケールも違うだろう。

どっちが〜と何か言いたいのではなく、「そもそも0から10」は全ての患者である程度違うグラフなんじゃないかなぁ、というのが私の主張だ。そもそも、10段階評価は患者自身の主観に頼っており、そこまで客観的ではないのではないだろうか?

一般化を試みた時の10段階に個人的経験を落とし込んだ時(多分、他の人と多少だけ違うだろう)

本当は、自分の本当のスケールならば2でも、それでは誤解を招きそうだと考えれば、相手のスケールを想像して、相手の10段階でこのくらいかな?と考えて答える。

分かりやすい例にしよう。

痛みの場合、

医療麻薬(強オピオイド)が欲しいほど痛い時:9〜10

  • 持病の痛み(自分スケールで6くらい)

  • 癌の骨病変

NSAIDs(市販薬のロキソニンやアセトアミノフェン、アスピリン)では足りないけれども、強オピオイドは欲しくないので、弱オピオイドくらいの時:7から8

  • 狭心症(貧血が酷すぎて、ST低下があった時:8〜8.5くらい):一般的には、若年者で糖尿病などによる末梢神経障害無しの者での心筋梗塞は10段階の10と言われることも多く、モルヒネ(強オピオイド)は少し前までは投薬するのが当たり前とされた。(貧血で動くと胸痛が出たので、即効で横になり、その後輸血を受けて、実際には痛み止めは使っていない。)(自分スケールで体感的には2、横にならずに動き続けるのは臓器や命に響くので、総合評価は4くらい)

NSAIDsが欲しい時:6

  • 三叉神経痛(自分スケールで2〜3:頭部の痛みは苦手)

  • 偏頭痛(頭痛が酷くて、吐きそうな時は痛み止めは欲しいが、内服薬を飲み込む時に吐くのを助長するので、内服ならばいらない。)

何も薬は使いたくないけど痛い時:5未満

  • 簡単な手術(切開の規模や臓器の関わりで変動)

  • 敗血症+頭痛(途中で意識飛ぶから、自分スケールでは体感的には1、敗血症は生命の危機なので、総合評価は7〜9)

  • 骨髄移植後、超大量抗がん剤±放射線での粘膜障害による下痢(体感的には2〜3、総合評価は1〜2)

  • 偽膜性腸炎(CDトキシン)[これも、移植時の時は痛めどめは肝毒性よりもベネフィットが上回るとは思えず、個人的には欲しくなかった。(昔、ICUでイレウスを併発した時のことは、正直自分のことをベッドの上右脇辺りから眺めていた記憶しかないので、ちょっと分からない……)]((体感的には1.5〜3、総合評価は1〜2))

上記は痛みで書いているが、呼吸苦や嘔気、様々な症状できっと各々の患者が各々の数値化をするだろう。(性格や今までの経験で、ある程度違うだろう。)

ちなみに、昔と今とでもかなり評価は違う。一番は、薬の臓器への負担とベネフィットの天秤、しいては知識と価値観の変化だろう。現在は病気も治療も蓄積しており、合併症も様々なものを経験している。だから、仮に同じ痛みであっても、薬の副作用を考えると、疼痛と副作用の心労、長期的に臓器毒性が蓄積していった先を想像した時の心労との比較が変化した。子供の時は、薬の副作用なんて、正直考えなかった。効果がイマイチでも、少しでも苦痛緩和が見込める可能性があるならば、投薬を望んだ。今は真逆だ。よほどではない限り、一時凌ぎや多少の緩和のためだけに、どんなに微々たる負荷であっても、臓器に負担をかけるくらいならば、我慢した方が「気は楽」だ。身体的には、症状緩和の方が、楽な場合もあるだろう。同時に、初発時と今では、経験した苦痛の幅が大きく違う。すると、比較対象も変化する。だから、相対的評価による成績も変化する。例えるなら、田舎の小学校での全国模試の成績の解釈、不良ばかりの中学での模試成績、一切勉強しない子から灘中に合格したけど、親の都合で先日引っ越してきた秀才までが揃う中学での模試成績の解釈、受験校での模試成績の解釈、エスカレーターで大学まで学内推薦でいける小中高大一貫校での模試成績の解釈、東大生の模試成績の解釈、それらを全てを経験してきた人の模試成績の解釈、各々が違い、経験が増せば増すほど、相対的解釈は変化するし、そこから導く結論も違うことだろう。また、幼稚園児の一日と、大学生の一日、就職後の一日も終末期の一日の長さも重みも変化する。苦痛に至っても、相対評価は経験や本人の価値観によって変化するのではないだろうか? 当然、私も初発時(小児期)と今とで感じ方が違うし、今後も変化していくことだろう。(経験が増え、年を重ねると許容域が上がることもあれば、下がることもあるのだろう。となると、10段階評価は生涯を通して変化し続けるとも考えられるかもしれない。)(途中、眠くなってきたので、繰り返しでくどかったり、分かりづらかったりすることもあるかも…)

結論

まぁ、だから、0から10スケールというのは、医療現場で「客観的」とか「一律」とされる傾向がある印象も受けることがある。(逆に、当てにならないという時も)けれども、患者間で均一ではないと思う。

こんだけ色々書いておいて、そうは言っても、ある程度分かりやすい指標だとも思う。

私も、緊急時には、ウダウダ考えずにスパッとおそらく常識的であろう数字で答える。

凄く辛くて、今すぐ対処して欲しければ、7か8くらい?(この辺大雑把)

緊急性があって、今すぐ相手を動かすためには、きっと、喋れれば10と答えるだろう。(本当に10の辛さの時、私は声も出せなくなっちゃうので、早めに「10!」と伝えて倒れる必要がるんだろうなぁ。難しい。)

まぁ、そう考えると、10段階評価は機能しているのだろうか?

とはいえ、もっと深く追求すると、実は結構多彩かもしれないよ?

時間がないからこそ、あなたにとっての10段階の10は何ですか?と一言追加質問することで、回答の理解をより正確にできるかもしれない。

お互いに上手く乗り切ろう!

そして、

今を大切に生きよう!



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