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日本人はデフレマインドから脱却出来たのか?(東京大学大学院経済学研究科の調査結果より/渡辺努教授/Morning satellite Apr.2024)

賃金と物価の好循環は、どこまで進んでいるかついて、東京大学大学院経済学研究科 渡辺教授の研究室のインフレ調査結果を紹介する。

5カ国、23,000人を対象にし、2024年3月後半から4月初旬行った。(春闘による高い賃上げ、日銀のマイナス金利解除を織り込んだ結果となる)

▪️1年後の物価はどうなりますか?

2024年の結果を見ると、日本は、’’かなり上がる+少し上がる’’で、8割を超え、他国と比べても遜色がない結果となる。

ただ、過去を見てみると、インフレ予想の変化として、2020年、2021年は、”ほとんど変わらない”との回答が多かったが、2022年から、”かなり上がる”が突然増え、”ほとんど変わらない”が、逆に減少し、インフレ予想が変わり始めた。

▪️なじみの店でいつも買う商品が10%値上げした場合どうするか?

日本の結果を見ると、54%が”買い続ける”、逆に46%は”別のお店に行く”という結果となった。つまり、値上げ耐性が十分に高くなってきてるが分かる。

ただ、過去の結果と比較すると、2020年、2021年は、4割が値上げしても”買い続ける”という結果であったが、2022年から5割まで増加し、低い値上げ耐性が是正されてきたことが分かる。

物価と賃金の好循環という観点から、物価については良い動きは見れたが、賃金についてはどうなっているのだろうか?

▪️ 1年後の収入はどうなっているか?

日本は、”良くなる”と回答したのは約15%しかなく、”変わらない”は、65%と圧倒的に多い。つまり過去から見て、収入に関しては、見方はそれほど変わっていないことが明らかである。

春闘による賃上げは全ての人に恩恵が受けるわけではないため、ネガティブな回答をしている可能性は高い。そのため、2024年の経済対策として、所得税減税による所得の補填が進むことを期待している。先々も恩恵が受けられない人が引き続き居るのであれば、対策を練って欲しいと考えている。

一方、春闘の恩恵を受けている方は、将来ポジティブな考え方に慣れていない可能性が高いため、今後ベアを続けて行くことで、当たり前の世の中になれば、少しずつ変わってくのではないかと考えられる。

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