見出し画像

TVドラマ「SHOGUN」アメリカでの人気やいかに


アメリカのTVドラマ「SHOGUN」とは?

アメリカのTVドラマ「SHOGUN」は、イギリスの小説家James Clavellの歴史小説「Shōgun」を原作としたアメリカのテレビドラマです。日本でも、今年の2月末からDisney+で配信されているとのことです。
アメリカでは、1980年にもドラマ化されているので、今回はリメイクということになります。ドラマの存在を知って私の頭を過ったのは「アメリカでアメリカ人が作った日本物でしょぅ?????」というものでした。要するに、見る価値なし的な判断を勝手にしていたのです。しかも、結構長い間。
アメリカでは『Samurai』や『Ninja』は、Coolな日本文化の象徴として人気です。そして、その人気に便乗して制作されたものの多くは、日本人にとっては違和感しかないものであることもしばしば。今回もそのひとつだと決めてかかっていた私は、職場で同僚たちが「SHOGUN」の話をしていても「あ~、はいはい」程度に聞き流していました。それどころか、『アメリカ人に受けている=ニセモノ』かのように思い込んでいたのです。
ところがこれが!!!
I owe you an apology. 謝らなければいけませんね。ごめんなさーい。

「SHOGUN」はアメリカで見る、少し新鮮な〇〇だった!

疑心暗鬼ながらも、アメリカでの注目度の高さから「とりあえず一話だけ見て見よう」という気になった私。この辺はうちの旦那さんは頑なで、一度見ないと思ったら絶対見ない。私はそこまで貫く信念は持ち合わせていななく、興味が勝るタイプなんです。
そんな訳で、興味はあれど期待はなく見始めましたが、これが!!!
まるで大河ドラマを見ているみたいではありませんか。日本にいる頃は大河ドラマはほとんど見なかったのに、アメリカに住むようになってから、長年お世話になっている大河好きの日本のボスが、頼んでもいないのに毎年大河をCDに撮りためて送ってくれます(笑)。なので、最近はむしろ大河慣れしているんです、私。ちなみに私の一推しは「真田丸」。

「SHOGUN」を見て、まず感心したのは、日本人を演じる役者の配役。主要人物を真田広之が演じていることだけは知っていましたが、他の配役の予備知識は全くない状態で見始めたところ、出てくる人、出てくる人、日本人が日本人を演じているのです。しかも、10年間日本を離れている私ですら知っている役者さんも多く出演していて更にびっくり。アメリカ作品では、日本が舞台で日本人の役であっても、演じている役者は韓国人だったり、日系3世とか4世とかのアメリカ人だったりすることのほうが多いですからね。大きな理由は、英語で演技ができる日本人役者の少なさなのでしょうが、逆に日本人の役なのに日本語に外国人訛りがあることがほとんどの中、ここまで日本人役者を揃えたことに、制作関係者、および出演者の❝本気度❞を感じずにはいられないのです。

「SHOGUN」は全編アメリカで撮影されたとのことですが、絵的に十分日本です。少なくとも、10年間日本を離れている私にはそう映ります。それでも見慣れてきたものとの差を感じる場面もあり、「ほぅ!」となることも。そのひとつが、アメリカンな空間の広さです。何のことかと言うと、城内の部屋にしても、庭にしても、とにかく全てがとてつもなくだだっ広いのです。何度「広っ!!!」と思ったことでしょうか。でも、実際の広さなんて分からないですからね。本当のところはこんなスケールだったのかもしれない。

また、日本に住む日本人の大河好きさんからは、台詞に違和感があるとか、衣装に違和感があるという意見も聞こえてくるのかもしれませんが、アメリカに住む日本人の私からすれば、まるで大河。ちゃんと見ているにも関わらず、理解しきれない部分があるところも、まるで大河。なんでも、真田広之が台詞も衣装も、かなりのこだわりをもって監修したのだそうですが、日本のアイデンティティを維持しながら、アメリカ人の心をがっちりと掴む、本当に絶妙な匙加減。

まるで大河でありながらと言っておきながら、ときどき映し出される大河では見たことがないカメラアングルは新鮮です。
それに加え、「これはどう考えてもアメリカ人ウケを狙ってるな」と思える点も要チェック。もちろんアメリカの制作物で、基本はアメリカ人を対象としているのですから当たり前のことなのですが、それによって日本がどう見られているのかが垣間見れるのは興味深いところです。
例えば…
やっぱりという気はしますが、「Seppuku」という言葉がよく使われて、実際に刀で首がポーンとはねられるシーンが頻繁にあります。実はまだ3話しか見ていませんが、今のところその手のシーンは必須のよう。衝撃的というか、突然、血みどろしい戦闘映画のようになってビビります。
あとは、これも当然といえば当然ですが、いわゆる濡れ場もあります。やっぱりNHKではないなぁ、なんて。でも、これまでに見たことがない絵面で、これも新鮮です。まぁ、これを「違和感」と表現する人もいるのかもしれませんけどね。

第3話では、主人公のイギリス人が納豆を食べるシーンがあります。時代劇の食事のシーンで、納豆がフォーカスされ、納豆を「臭いチーズのようなものだ」なんて表現をしているのは、やっぱりアメリカっぽい。
なにはともあれ、多くのアメリカ人が日本により興味をもってくれたら嬉しいものです。Nattoを食べてみたいと思うアメリカ人も増えるかもしれませんね。

「SHOGUN」は私の日本語脳&英語脳にも刺激的だった!

私は、英語の映画やドラマを見るときは、英語の字幕を付けます。耳も目も脳も、より高い集中が求めれますが、それが一番理解できる、つまりは作品を楽しめる方法なのです。一方で日本語のものを見るときは、可能であれば英語の字幕をつけるのが好きです。これは理解するためではなく「どう訳されているのだろう?」という好奇心とちょっとした学習心から。

私の言語脳は、基本日本語なので、考え事をするときのほとんどは日本語です。ただし、例えば考え事の対象が英語話者だったりすると、英語で考えている気がします。日常の英語での会話はいちいち頭の中で日本語に訳すこともなく、英語のまま理解し、英語で返答しています。日本語と英語のスイッチの切り替えは、以前よりは早くできるようになったかな。
そんな具合の言語脳の私にとって「SHOGUN」は、なかなか脳が刺激されるものです。まず、アメリカモノなので、いつも通り英語字幕をつけて鑑賞しますが、登場人物は日本人が多く、聞こえてくるのは日本語です。そしてその日本語には英語字幕がついてきます。そして更に「SHOGUN」ならではなのが、鞠子が日本語と英語の通訳をするシーン。彼女がどう訳しているのかはとても興味深く、個人的には見どころのひとつなのですが、とにかく英語と日本語が聴覚的にも視覚的にも入り乱れていて、さらに頭では和訳、英訳両方のチェックをしながら見ることになるので、まったくもっていい脳トレです。

「SHOGUN」を見たアメリカ人の生の声

職場のボスのMattが「SHOGUN」を見ているのを知っていたので、率直な感想を聞いてみることにしました。ちなみに彼は、元々日本に興味があるようで「夢はお寺の住職になって地ビールを作ること!」なんて冗談を言っていましたっけ。
「What do you think about SHOGUN? (SHOGUNについてどう思いますか?)」と唐突に聞いてみたところ、彼の反応はこんな感じでした。
「You mean, TV show, SHOGUN? I think that's amazing!
    (テレビドラマの「SHOGUN」のこと?素晴らしいよね!)」

続いて、まずは真田広之を大絶賛。今やアメリカにおいて日本人が登場するありとあらゆる作品に登場している真田広之ですが、MattはSHOGUNに限らず、彼をとても高く評価していました。
そして、「SHOGUN」に関しては、真田広之以外の役者もいいし、映像は美しく、音楽もよいとのこと。ちょうどこの会話をした前の晩に最終話が視聴可能になり、全て見終えたところとのことでしたが「最終話は仕事が休みの日にとっておきたかったのだけど見てしまった。あ~、休みにすることがなくなっちゃったよ」と言うほどの入れ込みぶり。
と、ここで「あ~、一点だけ言うならば」と続くので、ついにネガティブ要素かと思いきや、言葉(日本語)を理解できればいいのになぁ、とのこと。たっくさんしゃべっているのに、ほんのちょっとの字幕になっていることにモヤモヤを覚えたようです。「いや、いいんだよ、分かりやすく意訳してくれることは本当にありがたい。でも、実際に何て言っているのかなぁとは思うんだよねぇ」とのことでした。
分かります、分かります。
あれは中学生の頃だったでしょうか。オリンピックか何かの陸上競技をテレビで見ていた時のこと。優勝インタビューでアスリートがたっくさん話したのに、通訳が訳したのが本当ににちょこっとで。当時は、話された英語を理解するほどの英語力がなかった私でさえ、「いやいや、それだけじゃないでしょ」と思ったのは強烈に覚えています。そしてその時、英語を自分で理解できるようになりたい、と思ったのも確か。
お?ということは「SHOGUN」を見て、日本語学習に目覚めるアメリカ人が増えれるかもしれませんね。今後、「〇〇デ、ゴザリマスル」なんて言うアメリカ人に出会うことがあったら、おそらくその人、「SHOGUN」あがりです。

 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?