【連載】植松聖に抗う 1
小学一年生のとき、クラスに知的障害者(そのときは、そういう言葉は知らなかったが)の男の子がいた。「オマタくん」とぼくらは呼んでいて、きっとそれがかれの苗字だったのだろうけど、言葉はしゃべれなかった。ぼくたちはオマタくんの歌をつくっていっしょにうたったり、給食のときに牛乳瓶の紙のフタをとるのを手伝ったりした。小柄なオマタくんのお母さんは、ときどき学校へやってきて、いつも「ありがとうね、ありがとうね」とオマタくんと接するぼくらにお礼を言ってくれた。どうしてお礼を言うのか、ぼくら