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Twinsters: ネットで再会した双子が食べさせてもらう韓国料理

食べ物はちょこっとしか出てこない映画でも、ついそこばかり見てしまうシリーズ第3弾。

ある日自分のFacebookに、見た目が自分そっくりの人から連絡が来たらどうする・・?!実際そういうことが起きた人のドキュメンタリー「Twinsters」がNetflixにあがっていて、なかなか良かったです。

韓国系アメリカ人でLAで女優をやっているサマンサ(サム)という女の子。チャン・ツィイーが出ていたMemoir of Geisha (邦題は「さゆり」って言うのか・・)での「さつ」役が有名らしい。

ある日オンラインにあがっていたサムの動画を見て、自分にそっくりなんだけど・・とアナイスという韓国系フランス人の女の子からFacebook経由で連絡が来ます。

話をしているうちに、実は2人は生まれてすぐにバラバラに韓国からアメリカ、フランスにそれぞれ養子に出された双子だったということが判明・・!

アナイスからメッセージが来た日から、サムがビデオに記録を始め、2人がSkypeで初めて話し、毎日チャットをし、ロンドンで初めて再会し、一緒に韓国にも向かう・・という一部始終を、クラウドファンディングで資金を集めて映画化したんだとか。

オンラインで初めて会ってから、何時間もえんえんとビデオチャットをし、まるで遠距離カップルか!という位ベタベタにテキストしあう2人。

でも生き別れた「兄弟」どころか見た目も何も自分と全く同じ「双子」の片割れが急に現れたら、そりゃそうなるか。いつも相手のことが頭の片隅にあって離れない感じがよくわかります。

韓国から海外に養子に出される子供の数はとても多い。特に朝鮮戦争以降、混血児や孤児など、今までに20万人が海を渡っているそうです。その背景には女性がひとりで子供を育てることの大変さ、文化的な偏見、経済的問題など色々ありますが、あくまで何を見ても食べ物がまずは気になってしょうがない。

ロンドンでファッションデザインの勉強をしているアナイスが、アパートでフランス人の友人達と夕食を食べている間もSkypeでずっとそれを見ているサム。テーブルには赤ワイン、パスタ

そしてボーダーシャツを着たアナイスが友達とワインを飲みながらフランス語でわーわー歌を歌っているのを見ながら、カメラに向かってこっそり「So French(フランス人過ぎ・・)」。

一方のサムがLAのカフェで友達と食べるのはアボガドトースト

ロンドンでの再会シーンは、感動の涙の抱擁・・ではないところが、逆に妙にリアルです。やっぱり自分の身にそんなことが起こったら、あまりにシュールすぎてそんなドラマの脚本のような行動には確かに出られないかも。

お互いの家族や、最初に動画でサムを見つけたアナイスの友人も集合して、ロンドンのアパートで囲むテーブルに並ぶのは、バゲットにパテ、サラミにサラダ、そしてワイン

カリフォルニアにやって来たアナイスに、サムが作ってあげるのは、グリルしたズッキーニ、イングリッシュマフィンの上にアボガドと目玉焼きを載せたもの(アボガド好き?)。

それぞれフランス人、白人アメリカ人の家庭で育てられた2人、やっぱりその傾向が普段食べるものにも反映されているような・・。

その後韓国に飛ぶ2人。2人のルーツではあるけれど、2人の日常ではない韓国料理がこれでもかと出てきます。屋台で売られている不思議なお菓子、鉄板で焼くムチムチのソーセージ(これは美味そうだ!)など、物珍しそう。

そして彼女達が養子に出された後、それぞれを一時的に預かってくれていた韓国の里親と再会し、何度か韓国焼肉を食べるシーンがあります。

赤ん坊の時、短期間しか一緒にいなかった里親のお母さん達。20何年ぶりの再会は言葉も通じないし、見ていて戸惑いや驚き(里親も双子だったと知らなかった!)や多少の距離感も感じます。

そんな中で印象的だったのがそれぞれが一時的に預かっていた「娘」にご飯をあーんと食べさせてあげるシーン。スプーンにすくったスープだったり、レタスに巻かれた焼き肉だったり。

食べさせてもらった2人はすごく恥ずかしそうにしていましたが、あちらでは家族として、愛情表現として普通の行動で、それを「母」として当然のようにやったんでしょうね。

彼女達にとっては縁薄かった韓国での、ちょっとしたつながりのようにも見えました。

我が家は旦那がチャイニーズ系の家庭ですが、中華の食事では、おかずは白飯が入ったお茶碗に取り、直接ご飯の上に載せて食べるのが基本。

そしておかずを大皿から自分の箸で取って相手のご飯の上に載っけてあげる、というのが愛情表現としてあります。

直箸でおかずをがっとつかみ、相手が持っている茶碗の上にどん!と乗っけるという行為。相手の口に食べ物を持っていくほどじゃないですけど、あまりに直接的な動作に最初はちょっとビックリしたもんです。でも映画やドラマなんかで、老夫婦がおかずをお茶碗にそっと載っけあったりしているシーンはカワイイ感じもする。

食べさせてあげたり、おかずを載せたり、文化が変われば食べ物を通じた愛情表現もまた変わる。日本はどうかな?せいぜい取り皿によそってあげたりするくらいだろうか。直接的ではないけど、料理した人はつい、相手に見栄えのいいほうとか、魚だったら頭のほうとか上げたくなったりするのもそうだろうか。

さてこの2人、Facebookで初めて連絡を取り合っていますが、Facebookで人探しをして再会する、という話は良くニュースにもなります。私も昔文通していたペンパルを見つけたりしたことがあるなあ。しかしサムは最初アナイスから送られてきたメッセージになかなか気づかなかったらしい。

そう、Facebookは友達としてつながっていない人からメッセージが来ると、インボックスからフィルターしてしまうのです。だから時々、【メッセージ】→【もっと見る】→【フィルタ済み】のところをチェックしてみるといいかも、何か感動の再会が生まれるきっかけが待っているかもよ?!

・・と思って私も久しぶりにFacebookのフィルタ済みメッセージを確認してみましたが、半年前に届いていたらしい「起業しました!ぜひ会ってお話を・・」っていう知らん日本人からの意識高い風メッセージしかなかった・・orz

Twinsters official site

Cover photo by Korea.Net via Flickr

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