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108つの煩悩 覚え書き③「仙薬」
不老不死になるとされる仙薬を
懐中に入れて、小生は灯火の消えようとしている夜道を彷徨った。
いくばくかの小銭は持っているが、もはや生きる力を与えるエネルギーすら残されていない。
曼荼羅のごとき、不可解な図柄が頭の中を泳ぎ回り、世迷いことがこの上なく世間にはびこる中でもう生きていることが何もかも嫌になった。だから死ぬほどの二元論とはならずに不老不死の仙薬を飲みしだくことで生きることから離脱して死ね
108つの煩悩 覚え書き②「国境にて」
「はい、どうぞ」空港のカウンタからバックパックを受け取る間に、小早川信太は死にかけた。山颪の風が吹いていた。まるでさざめくような、それなら見ていてもう柔らかくない風がまるで信太の心の中を去来する。他に例えようがないような、いやふつふつと湧き出る出る泉のような、あるいは他の世界の下にある窪地にたたずむ吟遊詩人のような。
そのくぼみに沈んだ、谷のような場所からいつの間にか心が、ただただ持ち出したてし
108の煩悩 覚え書き①「箱」@marky
タマシイは形が無くて見えなくて茫洋としているから、手に取って見たくなるように
タマシイを箱の中に入れてまずは保管してみようかと思った。
まずは、基本儀式だ。箱の中に入れるもの、言魂、玉櫛、緑色のビー玉、ビロード、壊れたランタン。その他のオブジェクト。
個々に僕の個人的な思いが詰まったものを机の上に並べる。
ただし順番を間違えては、元も子もない。正しい手順で、机の上に直角運動を行うように正確に