キャリコネニュースの「テレビ番組の文字起こし記事」が著作権法上問題ないのか、弁護士に聞いてみた。

先日発足したオンラインサロン( https://a-port.asahi.com/salon/hamasaki/ )にて「メディア関係者向けの著作権勉強会」を開きたいと思っています。

発端は「キャリコネニュース」様によるテレビ番組の文字起こし記事( https://news.careerconnection.jp/?p=73525 )でした。サロンだけでなく、メディアにまつわる権利関係について、勉強会をメディア横断でしていきたいと思っています。

弁護士に確認すると複製権侵害、公衆送信権侵害に該当するとのことでした。下記は弁護士による回答です。
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<ご相談概要>
・株式会社グローバルウェイが運営するニュースサイト「キャリコネニュース」に、テレビ番組の文字起こし記事が掲載されている
・例えば、2019.6.18放送の「グータンヌーボ2」について、https://news.careerconnection.jp/?p=73525
・このような記事は(著作権法上)問題ないか
・問題がある場合、どのような対応が考えられるか

<ご回答>
1.適法性
まず、テレビ番組における出演者の発言内容等は、「言語の著作物」(著作権法10条1項1号)に該当し、著作権法の保護を受けます。

そして、原則として、
・当該発言内容を文字起こしすることは、著作権の一つである「複製権」(同法21条)侵害に
・文字起こしした内容をインターネット上で公開することは、著作権の一つである「公衆送信権」(同法23条1項)侵害に
あたり、著作権者の許可を得る必要があります。

もっとも、「引用」(同法32条1項)の条件を満たす場合には、著作権は制限され、著作権者の許可は不要です。

「引用」の条件は、主に、次の2点です。
①自己の著作物部分と引用部分が明確に区別できること(明瞭区分性)
②主に分量から見て、自己の著作物部分が「主」、引用部分が「従」であることを(主従関係)

ご指摘の記事は、ご理解のとおり、発言部分が括弧でくくられていることから、①明瞭区分性の要件は一応満たしているものと思います。
(なお、クオテーションマークを付け色を分けている箇所は、特定人物の発言箇所を「強調」しているに過ぎず、著作権法上の観点からは、自己の著作物部分と引用部分を区別しているものとはいえないでしょう。)

しかし、ご指摘の記事には自己の著作物部分がほぼなく、②主従関係の要件は満たしていないものと思います。

そのため、ご指摘の記事は引用の条件を満たさず、複製権侵害、公衆送信権侵害に該当するものと考えます。

2.対応
著作権侵害への対応としては、主に、
①損害賠償請求
②差止め(記事の削除)
が考えられます。

どこまでの対応を取るかは著作権者の意向次第ですが、ご相談のケースでは、
・著作権侵害者に対して書面で警告を行うとともに、損害賠償請求(許諾料相当額)を請求し、
・著作権侵害者側に継続的な記事の掲載ニーズがある場合には、提携関係を構築するための交渉を行う
ことが考えられます。

3.備考
⑴ 著作権者
著作権は、「創作的」表現を行った者(著作者≒著作権者)に発生します。

テレビ番組における出演者の発言内容等の「著作者」が誰かは、一応問題になりうるところであり、可能性としては、
①発言者
②番組製作者
③発言者と番組製作者の両方(共同著作物)
が考えられ、その発言内容等の「創作」への寄与の程度を、個別に判断していく必要があります。

なお、参考裁判例として、雑誌に掲載されたタレントのインタビュー記事の著作者が問題となった、「スマップ・インタビュー記事事件」東京地判平 10.10.29 判時 1658・166
が挙げられ、この事案では、タレントは「素材」を提供しただけであり、記事を「創作」したのは出版社であるとされました。

⑵ 著作権侵害者
また、著作権侵害者は、
・原則として、記事を執筆したライターですが、
・著作権侵害を看過しているニュースサイト運営会社が「侵害者」とされる場合もあります。

ご相談のケースでは、ニュースサイト運営会社側は、「個別のライターの問題であり、自社は関係ない」旨の主張をする可能性がありますが、実態に応じ、ニュースサイト側が権利侵害者とされる可能性は十分あると思います。
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日頃よりメディア運営に携わってきて思うのが「この構造がどうして生まれてしまうのか」という疑問です。このような記事は、これまでにもいくつか目にしてきました。

トラフィックを取るために、収益を得るために、取材体制の状況などから、起き得ていることかもしれません。

それぞれの立場によって、意見が異なるかもしれません。この記事を拝見して、テレビ局の方にも意見を求めました。

「本来的にはアウトだが、テレビでも新聞や雑誌の記事を紹介して、番組を作っており、なかなか指摘しずらい」とのことでした。

著作権や、権利関係、ライセンスについての知識は、今後もとても大切になってくると思います。今回のサロンは「起業家・経営者・新規事業担当者向けの共創サロン( https://a-port.asahi.com/salon/hamasaki/ )」をうたっていますが、自社でオウンドメディアをやる場合にも、気を配らなければならない点かと思います。

できれば日頃からメディア実務に関わっている方々、また関わっていない方々も含めて、勉強会を開催できればと思っております。

もし登壇のご相談や、ディスカッションに加わっていただける場合は、協議会も立ち上げたいと思っており、お打ち合わせなどさせていただけたら幸いです。

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株式会社メディアインキュベート
代表取締役社長 兼 CEO 浜崎 正己
メール:masaki.hamasaki@media-incubate.com

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浜崎正己@メディアインキュベート

メディアの立ち上げと運用を支援するメディアインキュベートの代表取締役社長。メディアの成長を支援するメディアアクセラレータを運営。メディアの運用、事業承継で悩んでる方は masaki.hamasaki@gmail.com まで!

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コメント1件

法的解釈は弁護士によっても変わる可能性があります。参考までに弁護士の先生のお名前を知りたいのですが、教えていただけますか?
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