190204_読書メモ_サマリー

【#読書メモ】売上の8割を占める 優良顧客を逃さない方法――利益を伸ばすリテンションマーケティング入門

新規客ばかり集めていたらどん底に落ちて、既存顧客に目を向けたら立ち直ったお話。どの顧客に目を向ければいいのかを考えるための良書。


【特に気になったポイントまとめ】

【目次】
第1章 今までうまくいっていたはずの拡大路線が崩壊する
第2章 継続してもらうために解約の理由を探る
第3章 解約防止の第一歩は、対症療法から
第4章 隠れた優良顧客をあぶり出す方法
第5章 優良顧客の割合が利益体質を決める
最終章 会社が成長するには、顧客を深く理解する
あとがき

【著者プロフィール】

大坂祐希枝
マーケティングコンサルタント。元株式会社WOWOWコミュニケーションズ取締役営業本部長。東京学芸大学卒業。日経ラジオ社、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)を経て、有料放送のWOWOWに入社。2006年、解約増加による4年連続加入者減少を受け新設された「解約防止部」の初代部長に就任。顧客を引き留めるリテンションマーケティングを実施して加入者数減少に歯止めをかけた。その後マーケティング局長に就任し、新規獲得からエンゲージメントの全体を担当。2014年、WOWOWコミュニケーションズ取締役に就任。WOWOWグループ初の女性取締役、かつ男性中心の放送業界において希少な営業部門の女性取締役となった。2016年退社。現在、東証1部上場の学習塾最大手、明光ネットワークジャパンの執行役員を務めるほか、「優良顧客とともに歩むリテンションマーケティング」に関する講演、執筆に活躍している。
※著者プロフィールは出版当時の情報です。



【特に気になったポイント①】

●特に値引きやプレゼントなどに頼る企業は、売れ行きが鈍ると、より大きな特典で顧客を動かそうとする傾向があります。問題は、特典の金額ではなく、その会社が提供する商品やサービスとは違うもので顧客の関心を引き、売上をあげようとする点です。しかしそこに気づかず、特典の拡大を繰り返すと、過剰な特典が当たり前になり、それが離脱を加速させ、一方で販促費が増加するという泥沼が待っています。WOWOWはまさにその泥沼にはまり、増加する解約に喘いでいました。
●ここに、会員制企業やリピーターによって支えられている企業が、新規顧客の引き込みを目的に割引きを行う場合の「負けパターン」があります。大きな割引率で人目を引き、サービス内容ではなく割引につられる層を誘引した結果、元がとれないうちに解約されてしまうというパターンです。

お客さんを引きつけた要因や魅力に、継続性中長期的な視点がなければ、いつかは疲弊してしまうんだなと思った箇所。恋愛と同じような感じですよね。



【特に気になったポイント②】

自社メディアでは、視聴率の高い、目立つ番組にスペースを割きがちでしたが、この時からは局がみせたい番組だけでなく、顧客が見たい番組を、が編集方針に加わりました。顧客視点の情報提供の重要性に気づいたのは大きな収穫でした。直接的な効果が数値では測りにくいものの、時間がたつにつれて顧客全体の視聴時間が増加し、解約が生まれにくい土壌につながっていきました。

こちらのポイントも、短期的視点でお客さんをひきつけるのではなく、中長期視点で顧客を引きつけた結果、漢方のようにじわじわといい方向に向いたのかなと思った箇所。



【特に気になったポイント③】

●人が人や企業にロイヤリティを感じる際の重要なポイントは「自分のことわかってくれる」。
●このツイートは、投稿された翌日に6千リツイートされ、2千のお気に入り登録がありました。ツイートに対するコメントには「客層をよくわかっている」「オタ心をくすぐる対応」「神対応」といった褒め言葉が多く、「ウソでしょ。こんなこと言うわけない」というものもありました。

改めて「自分のことわかってくれる」という感情の醸成は大事だなと。占いや診断、SNSでのコメント、日常的な会話、本などなど、「自分のことわかってくれてるって!」と感じる瞬間は嬉しいですもんね。この感情の醸成は大事。



おわりのつぶやき

WOWOWを契約したい気持ちになった本。(社会人になってからずっとTVないだけど笑)



【その他に気になったポイント】

あるゴルフ場の話。ーまた、「私たちは、初めから会費をちゃんと払って会員になっていたのに、ビジターにばかり特典をつけるようになり、長くいる私たちにはサービスがない」という不満も聞かれるようになりました。「フロントやレストランのサービスが低下した」と言って解約する人が出始めた頃には、このクラブの雰囲気からは、かつて「名門」と呼ばれていた頃の落ち着きや重厚さは消え去っていました。良く言えばカジュアルなゴルフクラブ、悪く言えば知り合いに紹介したり、一緒にラウンドしたりしようとは思わない、安っぽいクラブになっていたのです。経営者はビジター割引とその後の初年度半額キャンペーンの見直しを検討しましたが、すでに初年度半額が定着しており、今さら定価に戻しても「誰も定価では会員にならない」状況になっていました。値段で釣るキャンペーンを長期間行った結果、客層が変わり、元に戻そうとしても時すでに遅し、という状態になってしまっていたのです。結局このゴルフクラグは他社に買収されました。
一つは、これまでも述べてきましたが、目の前の顧客獲得、売上獲得のために、販促施策の中心に自社のサービスの価値ではない特典を据えてしまったこと。そのために、解約率が高い顧客の割合が増え、さらなる特典施策で減少を補う、を繰り返し「大量加入、大量解約」の泥沼にはまってしまいました。そしてもう一つの理由は、放送のデジタル化という外的状況の変化に対応して営業スタイルを変更する速度が遅かったこと。
解約を目的に電話していきている顧客の多くは、「自分が口にしやすい」「相手が質問を返しにくい」内容を無意識に選んで回答しているだけなのです。
無料で釣った人には打つ手がない。結局、無料に魅力を感じて入った人は、無料期間が終われば解約してしまうことが多く、そういう人にはまた加入してもらうには無料施策を再び実施するしかないのです。
優良顧客は目立たない、物静かな存在であり、こちらが探そうとしなければなかなかみつからない。

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