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男の子がかわいいもの好きでもいいじゃないか

先月の話です。渋谷に「ねこがかわいいだけ展」を見に行ったのですが、その会場の渋谷ヒカリエ入り口に「昭和レトロ懐かわいい市」というとても興味深い広告が貼ってあり、ねこ展を見る前に行ってみました。

建物の入り口にあるクリアで透明感ある広告。色合いやキャラクターデザイン、散りばめられたかわいいアイテムが目に飛び込んできた瞬間に小学生の頃に一瞬で時間旅行です。

ねこ展見るのがメインだったので、2階の昭和ファンシーミュージアムだけサッと見たのですが、この缶ペンをはじめとする文房具たち!懐かしすぎて体の中が甘酸っぱくなる感覚の波状攻撃に完全にやられました。

今回のイベントはソニークリエイティブのキャラクターのみで、権利の関係なのかサンリオは全然ありませんでしたが、子供の頃はサンリオ大好きで、毎月のおこづかいから少しずつ家の近くのサンリオショップ行っては何か小物を買っておりました。誕生日プレゼントには「キティちゃんのスーパーマーケット」をお願いしたほどです。

こうした行動に対して親は「こういうのは女の子が欲しがるものだから」「男の子なのに恥ずかしい」とは言わず、私が欲しいという物を尊重してくれました。だから「かわいいものを男が持ったり好きだと言っても問題ないし、恥ずかしい事ではない。だって自分が使うんだから」という気持ちが育ち、早くに男らしさという厄介なものから解放された、今にして思えばそう思います。

言動が他の男子とはやや違う雰囲気があっても、それでいじめられる事はありませんでした。それは私がたまたま運が良かったからです。周りの考えと違うクラスメイトをいじめるような子がいなかった、担任もそういう所をいじる人ではなかった、そして何より親が否定しなかった事で私は私でいられました。

いじめ、いじり、否定。どれかひとつあったのならば、私は心に傷を負ったり、学校に行きたくなくなったり、自分の居場所がないと泣いていたでしょう。ファンシーなキャラクターを好きだという気持ちを偽って過ごしていたら今頃どうなっていたでしょうか。

学校か家か、それ以外の場所があっても少しだけ。そんな狭い世界で生きている子供の頃に自分が好きなものを否定されたら、その瞬間世界のほとんどが色のない荒野になってしまいます。

男らしさを強制され、男らしくあるべきと矯正されたら、本当の自分を表してはいけないと窒息しそうな毎日を過ごしていたでしょう。

まずは大人が「自分の好きな物事を表明しても恥ずかしくない、誰もがそのままで良いんだよ」という場を作るのが大切です。誰か一人にでも「それ好きなんだ、いいね」って言われるだけで救われるでしょうし、その後の生き方が変わってくるはずです。

大人の世界でもいじめや差別、男らしさ女らしさを押し付けるといった事がたくさんあります。こんな世界が続けば大人も子供も息苦しく、自分は我慢しているからと他の人にも我慢を強いるようになり、いつかみんな窒息してしまいます。

大人でもそうした流れに抵抗したり物申すのは大変なので、自分の考えをまとめて言葉で表す事が難しい子供なら尚更です。自己肯定感が他の国に比べて低いというのもこの根深い病巣があるからです。

人の好きなものを頭ごなしに否定しない、男らしさ女らしさなどで縛らないという事で、一人ひとりが本来持っているはずの可動域がよみがえり、自分がやってみたい事や新しい事に挑戦する気持ちが湧いてくるような気がします。

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