中島亮

あなたの「オモシロイ」は僕が創ります!

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マガジン

  • 運転手

    あの世に送り届けるのが運転手の役目。 死んで終わりではないと思いたくなくて、こんな物語を書いています。

  • 粗末な暮らし

    不連続な小説です。

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    大阪と一緒にせんとってです。

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    京〇をリスペクトしてます。 ほんま、京〇はよろしいなぁ。

記事一覧

人間関係

新人から、誰もいないところで話がしたいと言われた。 女性ばかりの職場は気を使うのだ。 「皆さんいい人ですが、その人の事だけは無視していて、いたたまれないです」 人…

中島亮
20時間前
9

カネやん

「俺、褒められたんや」 カネやんは、嬉しそうに言っていた。 どんなに年を取っても、褒められることは嬉しいんやろなと思いながらも、俺は蔑みの目で見ていた。 カネや…

中島亮
1日前
7

さきっぽが苦手

 人に指をさされる事が僕は苦手です。指だけでなく、先っぽを見るのが苦手で、注視できません。  車を運転していて、前を走るトラックが、何かの管を運んでいて、その先…

中島亮
2日前
7

君に贈る火星の

 その一団は、独特の赤みを帯びた隣の惑星、火星からやって来た。二足歩行ではあるが、腕の形状が異なっていた。イカやタコを思わせるような触手を複数有しており、それぞ…

中島亮
3日前
6

信心はよしなに

煙が渦捲くように、憤りの声が男の喉から吐き出されていた。熱っぽい怒鳴り声が店内に響く。 「お客様は神様だろ?」 煙に目を細める事なく、店員は男の顔をしっかり見てい…

中島亮
4日前
5

恐怖について

 自分の知見が乏しくて、体系的な事など全く構築できていなかった。  恐怖のバリエーションは様々で、大きく分ければ、警戒心と不安の状態だろう。そして、人によって、…

中島亮
5日前
5

chatGPTに聞いてみた

  chatGPTにホラー小説の要素を聞いてみたら、以下のような事を言いました。  それで、会話を続けるのが僕は面倒になり「貴方が思うホラー小説のあらすじを書いてくだ…

中島亮
6日前
9

やめられないし、とめられない

 ロングヘア、大きな瞳、白い歯、ほっそりした手首。志穂の容姿は今もきらびやかな虚構の世界の偶像を彷彿とさせていた。何もかも順風満帆だった。都内で生まれ育ち、十代…

中島亮
7日前
9

業穴道を通り抜ける

 業穴道という道があって、そこは年中冷たい風が吹いています。夜十一時ごろ、そこを無垢な学生のような若い男が歩いていました。 「こら、その方は何の為に、この業穴道…

中島亮
8日前
6

会話の上手い人

 唐突に失礼しました。  会話が上手い人って、どうやって、練習したのでしょう。上記の会話はメモに書いていたのですが、出典が何なのかまで書いてなくて、どこで見つけ…

中島亮
9日前
8

背伸び

 身の丈に合った文章とは何か。そんな事を考える。書き手の技量がないのに、気取った表現をする事が身の丈に合わないのか。  こんな事を考えるようになったきっかけは、…

中島亮
10日前
13

毎日書く

 ここで何かを毎日書くというのは久しぶりで、四〇日以上続いている。理由なんて、不明確で、言語化するのが嫌だ。つまり、その理由に向き合うのが照れ臭く、とても嫌なの…

中島亮
11日前
11

ナースの卯月に視えるもの 買いました

 近所の唯一の本屋がなくなって、本屋さんに行く機会が減りました。今は全国の本屋さんの数が8,000店舗ぐらいになっているので、自分の近くでもこういう現象が起きる事は…

中島亮
12日前
15

怖いということ

 怖い話を書いていて、これ、本当に怖いかなと不安になる。怖いという事は、ホラーの場合は作品の面白さに直結する訳で、怖くなければ面白くないという事。想定している読…

中島亮
13日前
9

スケッチ

 首を伸ばして、多賀はバックミラーを覗き込んだ。運転手の女を意識して、自分の顔を確かめたかったのかもしれない。 「ん? なに?」鏡の中で運転手と目が合って、多賀…

中島亮
2週間前
11

おもいつくままの散文

 賑やかさとは程遠いその公園のベンチに春松は腰かけて、米の入った風呂敷を地面に投げるようにおろした。 「大変でしたね」東屋から何かの商店のおかみのような女が出て…

中島亮
2週間前
7

人間関係

新人から、誰もいないところで話がしたいと言われた。
女性ばかりの職場は気を使うのだ。
「皆さんいい人ですが、その人の事だけは無視していて、いたたまれないです」
人間関係の事ではさほど驚かないつもりだった。
ただ、私がみる限りそんな陰湿な環境ではない。
「どの方の事ですか?」
「名前は知りません。確かに、その方は挨拶しても返してくれない、クセが強そうな人です。年は私とおなじぐらいで、店のエプロンをつ

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カネやん

カネやん

「俺、褒められたんや」

カネやんは、嬉しそうに言っていた。

どんなに年を取っても、褒められることは嬉しいんやろなと思いながらも、俺は蔑みの目で見ていた。

カネやんの声は、低くて小さい。俺は「はい?」と大袈裟な声を出して聞き直す事が多かった。
それも、カネやんの事を心の中でバカにしているから、俺はそんな態度をしていたんやと思う。

カネやんは帰ってくるのが一番遅い。

配達件数が一番多いわけで

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さきっぽが苦手

 人に指をさされる事が僕は苦手です。指だけでなく、先っぽを見るのが苦手で、注視できません。
 車を運転していて、前を走るトラックが、何かの管を運んでいて、その先っぽがこっちを向いていたら運転に支障が出ます。
 なんで先っぽが僕は苦手なのかわかりません。それが、自分の眼を刺すのではないかという恐怖ではなく、とにかく指や、ペンなどの先っぽを向けられたら、体をのけ反らします。
 尖端恐怖症という程大袈裟

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君に贈る火星の

 その一団は、独特の赤みを帯びた隣の惑星、火星からやって来た。二足歩行ではあるが、腕の形状が異なっていた。イカやタコを思わせるような触手を複数有しており、それぞれの用途がある。それを使って文字を書く事も、道具を使う事もできるそうだ。また、状況によっては伸び縮みもするらしい。
「ようこそ。地球へ」
 有人探査に成功した国の大統領が、彼等を出迎えた。大統領は手を伸ばし、友好の証として握手を求めた。まだ

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信心はよしなに

煙が渦捲くように、憤りの声が男の喉から吐き出されていた。熱っぽい怒鳴り声が店内に響く。
「お客様は神様だろ?」
煙に目を細める事なく、店員は男の顔をしっかり見ていた。
「信教の自由は私にもあります。お帰り下さい」

恐怖について

 自分の知見が乏しくて、体系的な事など全く構築できていなかった。

 恐怖のバリエーションは様々で、大きく分ければ、警戒心と不安の状態だろう。そして、人によって、警戒する対象は変わる。例えば、鳩が怖い人もいれば、そうじゃない人もいる。
 今回、書こうとしているのは自己喪失と呼ぶような、自分を知っている人間が、自分を知らなくなる恐怖を題材にしている。そして、自分が何者であるのかわからなくなるというの

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chatGPTに聞いてみた

chatGPTに聞いてみた

  chatGPTにホラー小説の要素を聞いてみたら、以下のような事を言いました。

 それで、会話を続けるのが僕は面倒になり「貴方が思うホラー小説のあらすじを書いてください」と言いました。すると

 うーん。僕の好みではないし、いまいちです。
 まだ、chatGPT3.5よりは、僕の方が日本語を使うのは上手いかなと独り言ちるのでした。

やめられないし、とめられない

やめられないし、とめられない

 ロングヘア、大きな瞳、白い歯、ほっそりした手首。志穂の容姿は今もきらびやかな虚構の世界の偶像を彷彿とさせていた。何もかも順風満帆だった。都内で生まれ育ち、十代でデビュー。瞬く間に志穂の名前は全国に知れわたり、三十歳になる前に結婚。年上の夫は、元総理大臣の孫で、外資の証券会社に勤務している。子宝にも恵まれて、長男は今年小学生になったばかり。夫はいまだに志穂のことを深く愛していて、ときおり見せる嫉妬

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業穴道を通り抜ける

業穴道を通り抜ける

 業穴道という道があって、そこは年中冷たい風が吹いています。夜十一時ごろ、そこを無垢な学生のような若い男が歩いていました。
「こら、その方は何の為に、この業穴道を歩く?」
 猫のように足音をたてずに歩いていた若い男は立ち止まり、声の主を探します。すると、電信柱の影に背の低い、頭のハゲた男がいました。男の顔がわからないほどの暗さですが、闇に慣れない目でも、それがハゲだとわかります。若い男がふと思い出

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会話の上手い人

会話の上手い人

 唐突に失礼しました。
 会話が上手い人って、どうやって、練習したのでしょう。上記の会話はメモに書いていたのですが、出典が何なのかまで書いてなくて、どこで見つけたのか、聞いたのかわかりません。
 殴られた事なんて、自慢しても仕方ないでしょうし、ましてや、人を殴った事なんかも自慢しても仕方ありません。そういう気持ち悪さに対して「叩けば直る」と皮肉を言えば、言われた方は笑うしかないですね。
 こんな会

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背伸び

背伸び

 身の丈に合った文章とは何か。そんな事を考える。書き手の技量がないのに、気取った表現をする事が身の丈に合わないのか。
 こんな事を考えるようになったきっかけは、自分の文章が自分で書いたように思えなくなったから。そもそも文章は、自分の為の文章と、人に伝えるそれとに分けられる。
 読者の興味に合わせて、情報を適切な形で伝える文章が人に読まれるためには必要で、自分の為のそれならその限りではない。
 自分

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毎日書く

毎日書く

 ここで何かを毎日書くというのは久しぶりで、四〇日以上続いている。理由なんて、不明確で、言語化するのが嫌だ。つまり、その理由に向き合うのが照れ臭く、とても嫌なのだ。
 それでは、noteを始めたばかりの頃、毎日投稿していた理由は何だろうと、振り返るが、これは明確な理由がある。しかし、ここで書くのは恥ずかしい。
 一つ、書ける範囲の理由を書くとする。毎日何かを決まった時間に書いていると、その習慣を壊

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ナースの卯月に視えるもの 買いました

ナースの卯月に視えるもの 買いました

 近所の唯一の本屋がなくなって、本屋さんに行く機会が減りました。今は全国の本屋さんの数が8,000店舗ぐらいになっているので、自分の近くでもこういう現象が起きる事は当然かと思います。
 かく言う僕も、スマートフォンで本を読む事に慣れて、本屋さんで本を買う事がめっきり少なくなりました。
 しかしながら、昨日は「今日中に本屋さんで買おう」と決めていた本がありました。それは

 僕がnoteを始めたころ

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怖いということ

怖いということ

 怖い話を書いていて、これ、本当に怖いかなと不安になる。怖いという事は、ホラーの場合は作品の面白さに直結する訳で、怖くなければ面白くないという事。想定している読者は、目の肥えた怖い話が好きな人たちなので、その人達に楽しんでもらえるのかがカギ。
 生理的な恐怖を題材にしているので、心霊とかそういう類を書くよりも、少し難しいかなと思うけれど、心霊現象を題材にしても、直面する壁は同じかもしれない。
 怖

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スケッチ

スケッチ

 首を伸ばして、多賀はバックミラーを覗き込んだ。運転手の女を意識して、自分の顔を確かめたかったのかもしれない。
「ん? なに?」鏡の中で運転手と目が合って、多賀は居心地が悪くなった。運転手はオーバーサイズのジャケットに、胸元を強調するようなユーネックのティーシャツを着ていた。車内のスピーカーからは、ハウスが大音量で流れており、多賀の意識はどこかに持っていかれそうになっていた。
「あっ。いや。何でも

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おもいつくままの散文

おもいつくままの散文

 賑やかさとは程遠いその公園のベンチに春松は腰かけて、米の入った風呂敷を地面に投げるようにおろした。
「大変でしたね」東屋から何かの商店のおかみのような女が出てきて、彼に話しかけてきた。春松の姿を見て、哀れだと思ったのだろう。東屋を指さして「こっちへどうぞ」と言った。
「雨にでも降られたら、散々ですよ」年とった亭主も出てきて「どちらから?」と春松に尋ねる。
「三郷から」
「三郷?」
「神奈山の向こ

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