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ショートストーリー集ノンジャンル。
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暴露 鹿エスケープ

暴露 鹿エスケープ

酔ったついでに、しょうもないけど認めたくない事実を暴露しとく。

四日市で飲んだあと、終電で帰ることを俺はあまりしないわけだけど、その理由は多くの場合、「朝まで飲みたい」とか、「終電がある時間なんかに変えるかよ!」なんて威勢のいい感じのものではないんだ。

まわりにはそう思い込ませているがね。

本当の理由はさ、

駅から自宅への帰り道が怖いからなんだ。
貞子さんが出てきそうな、井戸みたいなやつが

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黒い熊 Re publish

黒い熊 Re publish

例えば誰かが言う。

私は、誰かが放つ感情、エネルギーを人よりも敏感に心と身体に吸収してしまうみたい。良くも悪くも、影響を受けてしまいがち。だから、自分で発散する方法を見つけないといけないと思う。

僕は思う。

大柄な黒い熊が、怪力で太い木を引っこ抜いて、樹皮のギザギザをタワシに、背中のかゆいところにこすりつけるようなことで発散してみるのはどうだろうか。

力技はときに必要でない部分にまで、望ま

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会話 草が伸びる季節に

会話 草が伸びる季節に

広い庭にいると、曖昧な方が都合がいいのです。広い心で過ごすにも、曖昧な方が都合がいいかもしれないし。

荷物はたったのそれだけですか?
空間に節約が必要ですか?

放っとく方が楽なので、わたしは何かと曖昧ですが。

空間の話ではないのですか?
広い心のことですか?

やはりわたしは曖昧です。
何より庭が広いから。

季節に関心はありますか?
ちなみに草はのびる時期です。

季節の話ではないのですか

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ニールタウンスナイパー(仮):ショート

 ニールタウン東の丘の向こう、山岳道路を30分程で抜けた先、もはや道と呼べるかどうかも疑わしいダートエリアに突入してさらに30分、ここまで来るともう疑わしいという表現の範囲でどうにか踏ん張っていた“道”という概念は完全に消え失せ、感覚的にそれぞれの見る景色の中の目印をたよりに進むしかない。ものの味方の多様性をどれだけ受け入れ、そこに注意を払っていたとしても大方の見解は、“何もない場所”という他表現

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