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何もない日こそ最高の一日

忙しくしても

何も予定がない日が嫌いでした。何だか損をしているように思えたから。何にもすることがなくなると、よくSNSが気になっていました。見てみると、みんな充実しているようで、羨ましく思っていた。SNSの世界では、多くの人が、充実した人生を歩んでいるようにみえたからです。何もない自分は、自分という人間が、きっとつまらない人間だから。中身が空っぽだからかなと考えると。思いのほか落ち込むのでした。

そんな自分を変えようと、無理に予定を作っていたこともありました。人生を、もっと楽しまなくちゃいけない。そう自分に言い聞かせていました。忙しくすることは刺激的でした。自分にあれもしないといけないこれもしないといけない。どんどん、やることを押し付ける様は、昔、味わったブラックな会社を思い起こさせるのでした。

そうやって、自分を追い込めば追い込むほど、何かを失っていくような気がしていました。この喪失感は、寂しさを増大させるのです。それは、何か大事なことから、逃げていたからなんだって、今は思うことが出来ます。

もっと、何もないことを僕らは、味わう必要があるのだと思う。

余裕があるからこそ、見えるもの

子供の頃を思い出して欲しい。僕は毎日のように空を見上げるのが好きだった。星座を見つけたり、雲の流れを追いかけたり。しかし、大人になった僕はどうだろう。暇さえあれば、下を向いてスマホとにらめっこしている。

何でもかんでも情報を手にすることが出来る時代において、膨大な情報を毎日、頭で処理しているうちに、心で何かを感じることを疎かにしているような気がする。

僕らの心は確実に豊かさを失っている。

しかし、こうした危険性の提唱は、数年前からよく見かけていたけれど、コロナを境に、あまり見なくなった。僕らが、時間を持て余してしまうようになったからです。これまで、あんなに慌ただしく時間に追われていたのに、時間を持て余すようになりました。戸惑う人が続出したけれど、今は、みんなが、自分の好きなことに時間を注げるようになりました。それもまた、昔の話です。

あらためて、忙しい日常が戻りつつある今だから、時間の使い方について、もう一度考える必要があると思う。

自分の為の時間。自由な時間。これが僕らには必要なものだということを僕らは学んだように思っていたのです。

だからなのか、自分のやりたいことをしている人こそ、欲しいものを手にしている人、自分軸で生きている人こそ、心豊かに人生を歩んでいる人だと、多くの人が定めてしまっているように感じます。

でも、本当にそうだろうか。もっと、大事なことを忘れていやしないだろうか。

自分の好きなことに時間を使い、自分を満たすことは確かに大事なのだけれど、それと同じくらい、自分を内観することも大切だと思うのです。

忙しいと見えないもの。それは「自分自身」なんだから。自分を満たして、心に潤いをもたらすことが出来ても、心の器を広げようとしている人は少ない。

自分ともっともっと向き合って欲しいと思うのです。そうすれば、何が大切なのか、心の奥を覗くことで、気づくことが出来るはずだから。

過去の僕も、自分を大切にしていなかったからか、自分を何よりも大切にしようと考えました。そうした観点から学ぶようになったのだけれども、今は違う。僕の成長が、周りの人の笑顔に繋がることだと分かったのです。

僕が、成長すれば、多くの視点で物事をみることが出来る。そうすれば、どんなことも、受け入れることができるのです。人はポジティブでありたいと思うあまり、ネガティブを否定し受け入れようとしない。それが苦しみを生み出しているだなんて思いもしないでしょ。悲しみも苦しみも大切な感情。それらを受け入れることを増やしていくことこそ、心の成長なのです。目の前の大切な人が苦しんでいたら、手を指す伸ばすことだって出来るのです。相手の苦しみを受け入れることが出来るのだから。それが出来るかどうかは、心の器の広さだと思うのです。

改めて、僕は空を見上げてみる。星の数を数えてみた。雲の流れを追いかけてみた。そうすると、冬の寒さや、風邪を感じることができた。その時に、今の僕に足りていないものが何であるかに気づくことが出来ました。それは「味わう」ということ。忙しくあろうとするあまりに味わうことを忘れていたのです。

それから、何もない日を味わうようになった。相も変わらず僕は、毎朝、本を読んではいるけれど、時間の流れがゆっくりになれば、確かに味わうことができるのです。自分と向き合う時間、大切な人と過ごす時間、さりげない会話、何気ないやり取り、相手の感情、笑顔も怒った顔も。それが、今更ながら、最高な一日であると思えたのです。


最後まで読んでいただきありがとうございます。
メルシー

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