「四月物語」
1998年、岩井俊二:監督作品
主人公の大学生役、松たか子の父親と兄も家族役で始めのシーンに出ていた。「これから、あたらしいことが始まる…」という、序章。余韻を残して終わる。
主人公が北海道から上京し、東京の大学に進学した春のできごとが描かれていた。高校時代にあこがれていた先輩が東京の大学に進学したことを知り、自分も東京の大学を受験することに。
後輩からの「先輩が国木田独歩の『武蔵野』のこのカバーをかけてくれたんです」との話を手掛かりに、本屋さんのカバーに記された所在地の書店を訪れて、とうとうその先輩に再会する。
物語が流れていくその間に、大学キャンパスでの友人との会話、同じアパートのご近所の方との会話、映画館でシリアスなシーンの時に、唐突にジュースの缶がころがり、中の液体がこぼれる音が館内に響き渡り興ざめしてしまうシーンなどが描かれる。
私自身は就職してから東京に出たので、主人公のこの感じは、私が社会人になりたてのころの印象に重なる。たわいないけれどすべて新鮮で、だれも自分を知るものがいなくて、孤独よりもゆるやかにいつもどこか、わくわくしていたころ。
落ち込むことがあっても、まだ知らない世界に目を向けたいという魅力のほうに気持ちが引っ張られて幸せだった。ちょっと、懐かしいきもち。
https://www.youtube.com/watch?v=WfzbzVTDFDE
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