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お茶室に、春

お茶の稽古。
朝早くお邪魔したら、まだほかの生徒さんがみえておらず、久しぶりに先生のお点前を拝見する幸運に恵まれました。
さくら色の着物に、若草色の帯を締めた先生が旅箪笥の前に座ると、お茶室の畳の上に、春の野原が広がっていくよう。

一切の無駄がなく、どこにも不自然な力が入っていない、流れるような所作にうっとり。
いつまでも、ずっと見つめていたくなります。
湯気の立つお茶碗が「どうぞ」と置かれるまで、一連の動きが舞踊のように美しく、ほーっとため息が出ました。

ほかの生徒さんも来られて、亭主交代。
ぎこちないお点前で私が一服差し上げたのは、今日から入門した若いお弟子さんたち。
中学1年生と、小学5年生の兄妹です。
10代の頃から、お茶室に流れる時間を経験できるのは、なんて豊かなことなんだろうと思いました。

お稽古の後、習い事を終えた次男、夫と合流。
以前住んでいた家の近くの、パンが美味しいお店でお昼をいただきます。

ランチの後、公園を散歩。
あたたかな日差しが降り注ぎ、いっせいに芽吹いた新緑が光っていて、すごくきれい。

3年前、手をつないで保育園に通った道を、親の手を振りほどき、追いつけないスピードでどんどん走っていく子ども。
あっという間に大きくなるなあ。

変わってゆくものと、変わらないもの。
どちらもかけがえがなく、有り難い。


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