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私たちはほんとうの和食を知らないのかもしれない【和食展レポ】

国立科学博物館で開催されている和食展に行ってきた。2/25までの期間限定の展示で、去年から気になっていた。

展示内容は「そもそも和食とは」といった導入から、日本で育てられている食材、和食の成り立ちなど、全部で6つのブースで構成されていた。かなり見ごたえのある展示で、印象に残っていることがいくつかある。

まず、私たちが普段食べている野菜の中で、日本固有の野菜がほとんどないことだった。

弥生時代から大正・昭和以降までの年代ごとに、どの野菜がどの国から渡来したかをまとめた展示があった。
かぼちゃは別名で”南京”と書かれるし、トマトやキャベツは西洋っぽいので外来種であることはまだわかる。

驚いたのは、日本原産と信じて疑わなかった野菜たちも海外から持ち込まれていたことだった。
大根やごぼう、ねぎ、ほうれんそうなど、煮物やおひたしなど「THE・和食」といえる料理に使われる食材ですらも日本原産ではなかった。

むしろここにない野菜を探すほうが困難

これらの食材は人々が和歌を詠んでいる時代あたりから食卓にのぼっているものだと思い込んでいた。いったい私たちが和食として食べているものは何なのか。

それから日本でのフランス料理や中華料理の発展についても印象的だった。

フランス料理は、明治時代の西洋文明需要の国策に基づいて宮中料理として採用された。数あるヨーロッパ料理の中でも、日本でフランス料理が高級料理として認知されているのはこんな背景があったからかもしれない。

フランス料理とは対照的に、中華料理は庶民の間で広まっていった。その理由の一つとして、日清戦争で現地で生活していた人たちが日本に持ち帰ってきたことがあげられるという。

超リアルな食品サンプルを見れるのも魅力

戦争は絶対にあってほしくはない。けれどもし日清戦争がなかったら、今の私たちはラーメンやチャーハン、餃子のおいしさを知らなかったのかもしれない。

戦争によって食文化の豊かさがもたらされたと思うと、ありがたいような、でも手放しで喜んでもいけないような、複雑な気分になった。

日曜日ということもあって、会場は展示物になかなかたどり着けないほど混雑していた。とても興味深い内容だったので、もし時間があればまた平日にゆっくり見に行きたい。

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