三春充希(はる) ⭐第50回衆院選情報部

未来社会プロジェクト代表。様々な統計をもとに世論や選挙、社会問題を研究しています。著書…

三春充希(はる) ⭐第50回衆院選情報部

未来社会プロジェクト代表。様々な統計をもとに世論や選挙、社会問題を研究しています。著書に『武器としての世論調査』。 ツイッター:https://twitter.com/miraisyakai フェイスブック:https://www.facebook.com/miraisyakai

記事一覧

拒絶の投票――最高裁国民審査の地域分析

のべ6億の投票 最高裁の裁判官は司法のトップの人たちです。けれど信用を失えば「さらに偉い人」の手によって辞めさせられることになっています。その手を担うのが有権者…

世論分析をめぐる水面下のはなし

 今回の記事では、支持率の平均をもとにした得票数や得票率の推定について、他のモデルとの比較を行います。現時点ではあまり表に出すような話でもないので、内部での公開…

比例代表の考察の現状と議席計算の結果

 3月中は裏で進めている最高裁国民審査の分析が大きな負担となったため、特に成果を出せていませんでした。そこで今回はひとつ比例代表の考察について書いてみます。間を…

果たして「野党の支持率は伸びていない」のか?

 内閣支持率や自民党の支持率が下落して、第二次安倍内閣の発足(自民党への政権交代が起きた2012年)以降でもとりわけ低い水準にあることが世論調査から明らかになってい…

空白の党――失われた1300万票を描く

 民主党政権が誕生した第45回衆院選(2009年)は、現行の小選挙区比例代表並立制のもとで最も投票率が高かった選挙でした。しかし自民党が政権を奪還した第46回衆院選(20…

支持率の本当のみかた

 世論調査でわかる支持率とは、実のところ、人々の漠然とした気分が作り出すさざ波に過ぎないのかもしれません。そのさざ波に特別な意味があるならば、それはやがて来る選…

【特集】第26回参院選(2022年)自民党――全候補者の比例票の分布

「第26回参院選(2022年)自民党――過疎化する自民と地方をめぐる攻防」に掲載しきれなかった、自民党の全候補者の比例票の分布を、今回は資料として収録しています。ただ…

【特集】第26回参院選(2022年)自民党――過疎化する自民と地方をめぐる攻防

過疎化する自民 自民党は都市と地方のどちらの方で強いのか。その問いへの答えとしては、ただちに以下の図を示すことができます。これは第26回参院選(2022年)の比例代表…

これからの活動について

 こんにちは。三春です。今回は何か結果が出たというような記事ではないのですが、これからどんなふうにやっていくのかということを簡単にお知らせします。 相変わらず一…

三春充希のプロフィール

自己紹介 三春充希(みはる・みつき)です。発信をはじめた当初は「はる」としていましたが、2019年に本を書いた時、ついでに名前も出すことにしました。  もともとは理…

次期参院選比例代表「議席帯」シミュレーション

 先に公開した次期衆院選比例代表のシミュレーションでは、わずかな得票数の差が結果を大きく左右する議席帯とそうでない議席帯の存在を明らかにしたうえで、それが比例ブ…

次期衆院選比例代表「議席帯」シミュレーション

 日本の国政選挙では、衆院の37.8%と参院の40.3%の議席が比例代表で決められます。割合としては半分に及ばないものの、中小規模の政党は議席を比例代表に依存する割合が…

【特集】第26回参院選(2022年)公明党――組織票の実像に迫る

 公明党の票が減少傾向にあることは過去に幾度か取り上げてきましたが、はじめにもういちど確認しておきます。参院選の選挙区と比例代表のそれぞれについて全国で集計した…

神道政治連盟の組織的集票力の推定

 神道政治連盟に関しては、これまで自民党の支持基盤の一つとしてしばしば論じられてきたものの、その集票力を具体的に描き出した例がありませんでした。今回はそれを実現…

【特集】第26回参院選(2022年)共産党――疑惑の「ゼロ票」

 前々回にあたる第25回参院選(2019年)のできごとなのですが、共産党のある候補者の得票数がゼロと集計された自治体がありました。このことは投票した当事者によって、自…

衆参補選の情勢のまとめ

 10月22日に投開票が行われる衆参2補選は、今後の与野党の趨勢や、岸田政権の運営にもかかわる重要な選挙です。現状を簡単にまとめました。 参院徳島・高知県選挙区補欠…

拒絶の投票――最高裁国民審査の地域分析

拒絶の投票――最高裁国民審査の地域分析

のべ6億の投票 最高裁の裁判官は司法のトップの人たちです。けれど信用を失えば「さらに偉い人」の手によって辞めさせられることになっています。その手を担うのが有権者――。国民審査はそうした意図をもつ制度であるといえるでしょう。

 国民審査が実施されるのは衆院選と同じ日です。投票する際は辞めさせた方がよい裁判官の氏名の上に「×」を書き、続投してよい裁判官には何も書かないままとします。開票の結果、「×」

もっとみる
世論分析をめぐる水面下のはなし

世論分析をめぐる水面下のはなし

 今回の記事では、支持率の平均をもとにした得票数や得票率の推定について、他のモデルとの比較を行います。現時点ではあまり表に出すような話でもないので、内部での公開とさせてください。

比例代表の考察の現状と議席計算の結果

比例代表の考察の現状と議席計算の結果

 3月中は裏で進めている最高裁国民審査の分析が大きな負担となったため、特に成果を出せていませんでした。そこで今回はひとつ比例代表の考察について書いてみます。間をつなぐための記事ではありますが、選挙期間中の「押し込み」「押し負け」という現象について触れたので面白くはあると思います。現在のブロック別の議席計算の結果もあわせて示しました。

政党支持率を眺める まず全国の政党支持率から始めましょう。次の

もっとみる
果たして「野党の支持率は伸びていない」のか?

果たして「野党の支持率は伸びていない」のか?

 内閣支持率や自民党の支持率が下落して、第二次安倍内閣の発足(自民党への政権交代が起きた2012年)以降でもとりわけ低い水準にあることが世論調査から明らかになっています。その一方で、「野党の支持率も伸びていない」という主張もしばしば耳にします。そうした主張は妥当なのでしょうか。3月14日までに発表された各社の世論調査をもとにして、与野党の平均の推移を描きました。

与野党の支持率 現在、与党を合計

もっとみる
空白の党――失われた1300万票を描く

空白の党――失われた1300万票を描く

 民主党政権が誕生した第45回衆院選(2009年)は、現行の小選挙区比例代表並立制のもとで最も投票率が高かった選挙でした。しかし自民党が政権を奪還した第46回衆院選(2012年)の投票率は一転して下落し、現在に至る長い低迷がおきています。

 図1には第45回衆院選(2009年)について、図2には最新の第49回衆院選(2021年)について、各市区町村の投票率を地図として示しました。なお、投票率には

もっとみる
支持率の本当のみかた

支持率の本当のみかた

 世論調査でわかる支持率とは、実のところ、人々の漠然とした気分が作り出すさざ波に過ぎないのかもしれません。そのさざ波に特別な意味があるならば、それはやがて来る選挙で既存の議員を落選させて、解雇する力を秘めている点においてでしょう。既存の議員は先の選挙で議席を勝ち得た人たちです。ですから今の支持率を読むときに先の選挙との落差を見ることは、単なる「高い」「低い」という印象をこえた実力評価となるわけです

もっとみる
【特集】第26回参院選(2022年)自民党――全候補者の比例票の分布

【特集】第26回参院選(2022年)自民党――全候補者の比例票の分布

「第26回参院選(2022年)自民党――過疎化する自民と地方をめぐる攻防」に掲載しきれなかった、自民党の全候補者の比例票の分布を、今回は資料として収録しています。ただし優先的に当選する「特定枠」として立候補した藤井一博氏と梶原大介氏は、そもそも票のデータがないため含まれていません。

 収録しているのは赤松健氏、長谷川英晴氏、青山繁晴氏、片山さつき氏、足立敏之氏、自見英子氏、藤木眞也氏、山田宏氏、

もっとみる
【特集】第26回参院選(2022年)自民党――過疎化する自民と地方をめぐる攻防

【特集】第26回参院選(2022年)自民党――過疎化する自民と地方をめぐる攻防

過疎化する自民 自民党は都市と地方のどちらの方で強いのか。その問いへの答えとしては、ただちに以下の図を示すことができます。これは第26回参院選(2022年)の比例代表における自民党の絶対得票率――つまり自民党に投票した人が有権者全体に占める割合を、4つの階級で表したものです。その割合は赤に近づくほど大きくなっています。

 さらに次の図を見てください。これは第26回参院選(2022年)が行われた年

もっとみる
これからの活動について

これからの活動について

 こんにちは。三春です。今回は何か結果が出たというような記事ではないのですが、これからどんなふうにやっていくのかということを簡単にお知らせします。

相変わらず一人でやっていきます

 活動は相変わらず一人で続けていくつもりです。ぼくは「未来社会プロジェクト代表」を名乗っているけれど、これはちゃんとした肩書きではなく、たった一人のプロジェクトをやって代表と言っているだけなんです。

 ぼくの父親は

もっとみる
 三春充希のプロフィール

三春充希のプロフィール

自己紹介 三春充希(みはる・みつき)です。発信をはじめた当初は「はる」としていましたが、2019年に本を書いた時、ついでに名前も出すことにしました。

 もともとは理科系の出身で、大学では化学や物理を学び、大学院では宇宙や天体を研究してきました。東日本大震災や政権交代などがおきた2010年代前半の社会状況のなかで、政治と関わる必要性を感じ、科学研究の経験を活かして世論や選挙をデータにもとづいて考え

もっとみる
次期参院選比例代表「議席帯」シミュレーション

次期参院選比例代表「議席帯」シミュレーション

 先に公開した次期衆院選比例代表のシミュレーションでは、わずかな得票数の差が結果を大きく左右する議席帯とそうでない議席帯の存在を明らかにしたうえで、それが比例ブロックに由来する歪みであるといった議論を行ってきました。けれども比較対象とするべき参院選の全国比例の検討をしていません。

 そこで今回は参院選に関して同等のシミュレーションを行い、その議席帯の分布を明らかにしていきます。ドント式など基本的

もっとみる
次期衆院選比例代表「議席帯」シミュレーション

次期衆院選比例代表「議席帯」シミュレーション

 日本の国政選挙では、衆院の37.8%と参院の40.3%の議席が比例代表で決められます。割合としては半分に及ばないものの、中小規模の政党は議席を比例代表に依存する割合が大きく、その見積もりは重要です。

 そこで今回は、各政党の地域的な勢力バランスを反映したうえで投票率と得票数が様々に変化した場合を想定し、次期衆院選の比例代表を念頭においた大規模なシミュレーションを行いました。

 その結果、獲得

もっとみる
【特集】第26回参院選(2022年)公明党――組織票の実像に迫る

【特集】第26回参院選(2022年)公明党――組織票の実像に迫る

 公明党の票が減少傾向にあることは過去に幾度か取り上げてきましたが、はじめにもういちど確認しておきます。参院選の選挙区と比例代表のそれぞれについて全国で集計した得票数を図1に示しました。

 党勢をより良く反映するのは、赤色で示した比例代表の側です。選挙区の票は候補者の擁立状況によりますが、公明党は現在、全ての一人区と二人区で独自の候補の擁立を控えて自民党に協力しているため、全国の票を集計しても不

もっとみる
神道政治連盟の組織的集票力の推定

神道政治連盟の組織的集票力の推定

 神道政治連盟に関しては、これまで自民党の支持基盤の一つとしてしばしば論じられてきたものの、その集票力を具体的に描き出した例がありませんでした。今回はそれを実現したので結果を示します。

神道政治連盟 推定15万7051票の分布

 これは、神道政治連盟が推薦した候補の票をもとにして行った推定で、それぞれの候補がもつ固有の支持層の影響を排除して、純粋な組織票を捕捉したものです。全国の票数は、15万

もっとみる
【特集】第26回参院選(2022年)共産党――疑惑の「ゼロ票」

【特集】第26回参院選(2022年)共産党――疑惑の「ゼロ票」

 前々回にあたる第25回参院選(2019年)のできごとなのですが、共産党のある候補者の得票数がゼロと集計された自治体がありました。このことは投票した当事者によって、自身の票が計上されていない問題があると指摘され、自治体との訴訟になりました。この裁判は高裁まで進み、今年1月に原告らの訴えが棄却されています。

 裁判の反響は大きかったようで、この問題をデータの面から検証してほしいとの要望を、今年にな

もっとみる
衆参補選の情勢のまとめ

衆参補選の情勢のまとめ

 10月22日に投開票が行われる衆参2補選は、今後の与野党の趨勢や、岸田政権の運営にもかかわる重要な選挙です。現状を簡単にまとめました。

参院徳島・高知県選挙区補欠選挙 参院徳島・高知県選挙区の補欠選挙は、野党各党が支援する広田一氏と、自民党の西内健氏の一騎打ちの構図となっています。

 まずは情勢報道を見てみましょう。

 この表は、各社の選挙情勢の記述を極限まで要約したもので、形勢が良いもの

もっとみる