Precious Memory
最後の仕事を終え、みんなから花束とねぎらいの言葉を受け取った。
「短い間でしたが、お世話になりました。」
頭を下げ、先輩たちに肩を叩かれ囲まれる。
「これからも頑張れよ」
「むこうに着いたら連絡してね」
さすがに泣いてくれはしないけれど、こんなに温かく送り出してくれるなんて思ってもみなかった。
俺は、良い職場で働けたな。
先輩たちの輪の隙間から、遠巻きにこちらに微笑んでいる彼女と目があった。
反射的に微笑み返す。
学校で、この職場で、何度も交わしてきた秘密の微笑み。
もみくち