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文化祭一週間前に急遽一人ネタをやることに田中は自分の中で幾度も反芻したネタだからと息巻いていた。いざ本番が始まると客席は静まり返っていた。
いざ自分たちの出番だとステージに向かおうとしたが、緊張と不安で足が止まってしまう。自分を奮い立たせ、再びステージに向かおうとした。しかし、そこで妙な違和感を覚える。違和感というかそこにいるべきではない、正しくは今から向かう場所にもうすでに自分が立っているのである。一瞬戸惑ったがこれは緊張のせいでネタに集中できていないからだと悟り、もう一度気を引き締めようとするがそれも躊躇われた。理由は明白であった。まるで劇のシリアスなシーンでもみているかのような客席の静けさに私は気を取られ