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星からの帰還(著:スタニスワフ・レム)【「じゃあ読書紹介も星の世界に帰るよ」「さよーなら、さよーなら、ぱくっ」こうして金平糖は星の世界に帰った】

レムといえば惑星ソラリスの作者先生ですが、
この「星からの帰還」は古風な50年代SF・・・
もとい1977年の作品です。

ポーランドの作家で共産主義時代ですが、まあ遠い未来の話なので、あまり怒られることもなかったはずです。
向こう側では未来世界は当然に共産主義社会であるという読まれ方をしていたのでしょう。実際、作品に企業名みたいなのも出てきません。
まあそんなことはどうでもいいです。
ポーランドは共産圏としては、だいぶ緩かったようですので。

おおまかなあらすじは、
星の世界から戻ってきた宇宙飛行士が、しかしウラシマ効果で100年以上の月日が経ってしまい、そこはもう故郷とは感じられなくなっていた。
疎外感を感じる主人公はふたたび長い星の度に志願する。

という話。
・・・なんとなくリメイクやリビルドを待ちわびている感じがします。
古典的ながら普遍的なテーマを扱っているので、
まさにSFの中のSFといった風情、と言いたいですが、
ネタの古さを感じます。

未来技術として出てくるのが、
なんかミルクみたいなのを飲ませる。
そうすると暴力性が下がるんですね。

ただこれって、思春期に注射をするのとセットじゃないと効かなくて、
体内に作られた受容体と、それに反応するミルクの、
ふたつでひとつの措置なのです。

家に入れてくれた女性が、
主人公がミルクの意味を知らないというと、
途端に怯え始めました。

あ、処置が効いているとそういう気持ちにならないんですね。

ただ古典SFとして残っているのは、人類普遍のテーマをSF要素で焼き直しているからです。

長い旅から帰ってきたら、故郷は昔の故郷じゃなかった。
居場所が無かった。
また旅に出るしかない。

星の旅人は、星の世界が、故郷になったのだ。

そういうわびしさというか、
浪花節というか、
そういう悲しさを醸し出している部分が良かったのでしょう。
こういうのは新世界ではなかなか出てこない発想。

幕末の日本人が、星の世界から現代日本に帰ってきたら、
果たして今の日本を故郷だと思ってくれるでしょうか?
厳しいでしょう。

科学の進歩は、故郷を異郷に替えていってしまいます。
私のふるさとの団地も、再開発で無くなってしまってます。
都会住まいだとそうなりますね。
田舎でも、村そのものが無くなったりして、
山や川が残っていればまだしも、ダムや鉱山などで地形も変わっている場合も。

未来は異郷なのです。
故郷は過去として消えていくのです。

では、本日はこの辺で。

そのうちソラリスも書ければ・・・


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