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oasis

トイレットペーパーを盗まれた。
一瞬のことだった。
仕事の途中、近所のドラッグストアに行って、買って、
そのままスーパー的なところに寄った。
両手がふさがる。
ちょっと考えた末にペーパーは置いておくことにした。
店の入口前じゃない。
それはさすがに邪魔だしよくない。
入口からはすこし離れた店の脇というか、
自動販売機などが置かれていて、人目にもつかず、変に目立たないようなところに、「ごめん」って思いながら。物が物だし。
そうしてすこしの買い物をして店を出たらペーパーは消えていた。
5分もしないうちの出来事。3分も2分もしないかもしれない。
という〝事件〟を昨日今日会ったいろんな人に話したところ、皆口をそろえて言った。
「そりゃあんたが悪い」「そんなもん「ラッキー!」って獲られるに決まってるやん」
 
おかしくない?
 
とった、とる神経もそもそもおかしいやんね?
どういう気持ちで?
あ、気持ちはないのか?
 
でもそれと同じくらいというと言い過ぎかもしれないが「おまえが悪い」もどう? やない?
 
確かに置いた私は悪かった。
目立たないような場所にと配慮はしたけれど、
皆が通るかもしれないところに。
手がふさがるだのってそれはわたしの勝手だ。認める。
 
でも世の中はあまりにこういうことが多くないか。
 
気を付けていなかったおまえが悪い。
配慮が足りないおまえが悪い。
ちゃんとしていないおまえが悪い。
声をあげなかったおまえが悪い。
ナメられるおまえが悪い。弱いお前が悪い。信用したおまえが悪い。
女だから悪い。露出の激しい服装をしていたのが悪い。
知識のないおまえが悪い。信用したおまえが悪い。
 
あいつが悪い。おまえが悪い。
 
悪い。しょうがない。
 
そうか。

そうか?
 
なぜそれを「悪い」「しょうがない」と思うんか。
思うようになったんか。
いつからか何かを諦めてそう思うん。
そう思わざるを得ない環境や事があったん。
でもだからってそれを〝当前〟とする・言う・決める、
他人にも強要していい理由はあるんやろうか。
「悪い」「しょうがない」
そうして自分が楽な方生きやすい方にいくのかなあ。
なきことにしたり、媚びたり、
または「実はほんとはそうじゃないと思うねんけど」って自分に言い訳しながらやりすごすのかなあ。それって、それで、ええんかなあ。
それとももう、そんなことすら考えたりもしなくなっているのかな。他人事か。
で、自分が〝そのような〟ことがあったら「わかってくれる」「わかってくれそうな」人だけを選んでそういった人たちだけで話を共有しまた誰かを「悪」と塗りつけて決めつけて納得して終了するのか。対岸か。
 
悪くないんやないかなあ。しょうがなくないんやないかなあ。
 
終了、できん。
 
できないことは、世の中に多すぎるもの。
 
だから、考えたいねん。
そうならへんように、を。
とるとられないそれもそりゃ勿論そうやねんけど
こういうときに「おまえが悪い」ということが「当たり前」にならへんようにならへんようにということを。
 
むずかしっ。
 
で、古い歌を思い出したりした。

爆音で聞いた。

 

今日同じ場所に、戻してくれてはいないかなあ。
物にこだわっているんじゃなくて、そうじゃなくて。
 
今日同じ場所を通ったら、その場所に、置いてはいないかなあ。ないかあ。
マジ。真剣に。信じたいねんけど。
ないかあ。それはファンタジーやな。ファンタジーかあ。。
 
なお、店の人が片付けたとかはないのです。確認しました。びえー。


◆◆◆
以下は、自己紹介 。よろしければお付き合い下さい。

構成作家/ライター/コラム・エッセイスト
中村桃子(桃花舞台)と申します。

旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。

某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。

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旅芝居・大衆演劇関係では各種ライティング業をずっとやってきました。
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