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【1分小説】俺とヒロインと、昼下がりの怪獣

お題:「俺とヒロイン」
お題提供元:即興小説トレーニング(http://sokkyo-shosetsu.com/)
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「またあいつに助けてもらえば良いじゃないか」

 そう言うと、彼女はそっぽを向いてしまった。

 屋上には俺と彼女と二人。
 そう言えば聞こえはいいが、彼女は美人で背が高いクラスのマドンナ。
 一方の俺は、クラスの誰からも相手にされない、どうしようもない粗末な男だ。

 柵の向こうにはすがすがしい青空と町の景色と、町を破壊していく怪獣と。
 立ち上る黒煙も人々の悲鳴も、大気に薄まり、こちらには淡く聞こえてくるばかり。
 まるで、こちらと向こうが膜のようなもので隔てられているような、他人事な感じ。

 マドンナの彼氏、すなわち町のヒーローは、今あの怪獣と戦っているのだろう。
 きっと、ヒーローは今日も勝つ。明日も勝つ。今までがそうであったように。
 だから俺の出る幕はないのだ。

「違う」

 彼女は透き通った声でそう言った。

「あなたの力が必要。ヒーローでもなく、他の誰でもなく、あなたの」

 マドンナはまっすぐ俺を見ていた。

「また冗談を」
「本当だよ」
「あなたには才能がある」
「なんの才能だよ。俺が怪獣を倒せるとでも?」
「いいえ」
「ほら、だから」
「あなたには理解する才能がある。怪獣の心を」

 昼下がりの甘い風が吹く。

 怪獣はまだ暴れている。