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るろうに剣心〜始まりの日と同じ「血」と「雪」〜

10年経ち最終章を迎えたるろうに剣心。こんなにも壮大でファンに公開を待ちに待たれた実写邦画が今までにあっただろうか??とりあえず、見終えてすぐに抱いた感想は「すごい、、。」だった。エンドロールの役職の多さや長さからわかるように、とんでもない人数が協力して作られている。その一人一人の力がまとまり、一つの大きな作品として生み出されている。大きなセット(火で焼かれたり、壊されたりしてしまうが)に優れたCG技術、顔に飛びついたリアルな血や汚れのメイクなど、、。全部あげたら切りがないくらい細部まで凝られているのだ。そんな総力戦で挑んだるろうに剣心について特に印象に残ったことを語りたい。

目次
1役者のアクションシーン
2カメラワーク
3血と雪

役者のアクションシーン

なんといっても、るろうに剣心に欠かせないのはアクションシーンだ。スタントマンを使わないで役者自身がアクションを演じる。やはり、そのキャラクターを演じている役者本人がアクションを行うとこちらに伝わってくる熱量も変わる。特に、主人公剣心を演じる佐藤健。剣さばきと走りが華麗すぎる。軽やかで俊敏である。そして、主演の佐藤健に引っ張られるかのように他の役者のアクションもレベルが高い。今回の適役の縁(新田真剣佑)は俊敏さの中にも一撃の重さというものを感じる動きだった。だからか、剣心と縁の対決シーンは見応えがあるものだった。個人的なMVPは土屋太鳳だ。とにかく、動きがダイナミックなのに俊敏なのだ。まるで忍者のようだ。そして、運動神経の良さを生かしてアクロバットも入れてくるので、見ているこちらはただただ圧倒されるばかりだ。巷では「日本のジャッキーチェン」と呼ばれ始めている。誰か土屋太鳳主演でバリバリのアクション映画を作ってくれないかと願うばかりだ。


❷カメラワーク
そんな素晴らしい役者たちのアクションシーンもカメラがついていかなければ、無駄になってしまう。固定カメラで撮ってショットを切り替えているシーンもあるが、るろうに剣心はアクションが途切れないように一続きで撮影しているショットがいくつか見られる。ここは本来ならショット切り替えるなと思うようなところでも切り替えず、代わりにカメラを動かしている。カメラが役者の素早い動きに合わせて流れるように動かしているからこそ、今までにないアクションシーンの迫力を作り出せたのではないだろうか。

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血と雪

アクションシーンが映画の尺の多くを占めているので、この映画には「動き」が多い。その中でパッと「静寂」な画が途中に映し出される。この「動」「静」の使い分けが素晴らしい。動き続けているものを見ていた時に、突然静寂なものを見るとそのシーンは印象に残るものだ。私が特に息を飲んだのは縁と剣心の決着が着いた時の剣心の横顔である。

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雪が降りしきる中、哀愁漂う表情で佇む血のついた剣心。巴を殺してしまった日も雪が降っていた。そして剣心は血まみれだった。その日と重ねるように演出しているのだろう。剣心の始まりの日と重ねることで、ようやく彼の流浪の旅は終わったのだということを暗示させるショットだった。それにしても、何て美しいのだろう。多くの映画で「血」「雪」がセットで使われてきたが、今回の使い方が私の中ではベストシーンかもしれない。私は雪と血のセットが大好きなのでその点においては「The Beginning」をとても楽しみにしている。

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