#3 母子保健って?-妊婦面接-


母子保健とは
「子どもとその母親と家族の健康の保持・増進をはかること」


保健師の母子保健活動は、
「ママが母子手帳をもらったとき」
から始まります。


みなさん、母子手帳ってどこで貰うか知ってますか?



病院じゃないんです、役所です☝🏻


妊娠を病院(産婦人科)で確認できたら、まずは、役所の母子手帳発行窓口へ来てください。


そこには保健師がいます。(自治体によってはそれに似通った別職種の場合もあり)

そこで妊娠届出書を記入して、母子手帳をもらいます。

ここからが保健師との関わりスタートです♫

皆が必ず通るであろうイベントはおそらく

・妊婦面接
・両親学級
・新生児訪問
・乳幼児健診

です。つまり、保健師は、
妊娠〜出産〜育児〜
ママや子どもが健康でいられるようにずっと支援し続けます。


前回、「支援が必要な人をピックアップ」と書きましたが、それは、この皆が通るであろうイベントで、
「あぁ、この人には個別の支援が必要だな」と判断する、ということです。

支援が必要と判断された場合は、追加で訪問に行ったり、電話相談をしたりします。


この判断は保健師資格を持つ人ならではの能力によるものなのですが、それは後々余裕があれば書くこととして、それぞれのイベントと私が経験した事例についてお話ししようと思います。


まずは妊婦面接🤰

妊娠届出書の記入をもって、母子手帳発行となることは述べました。

この時に、保健師等の看護職が、妊婦さんとマンツーマンで面接をします。



面接ではこんなことを聞いたり情報提供したりします↓

・今の体調
・既往歴(精神障害を含む)
・家族構成
・妊婦健診について
・妊娠中や出産後受けられるサービスについて
・今後の仕事(産休育休、復職時期)
・保育園相談窓口

などなど…

ここで

例えば
・未成年、協力者なし
・精神障害あり、生活基盤が不安定
・望まぬ妊娠
・高齢出産、不安が強い
・夫からのDVあり

などの状況を把握した場合、
保健師アンテナがピンッ📡📶
と反応します。

皆が受ける支援に加え、その妊婦さんに合った支援が必要ですね。


……………………………………………………

1人のママ(Aさん)との関わりを紹介します。

Aさんとの妊婦面接で得た情報


・18歳
・中学卒業後、高校へは進学せず、アルバイト。今はキャバクラでホステスとして勤務。
・父母は幼少期に離婚。
・祖母宅に、祖父母と父と4人で暮らすが、友人宅を転々とする生活を繰り返す。
・パートナーは友人を介して出会った男性22歳。妊娠と出産の意思を告げると、連絡が取れなくなった。
・子どもは産みたい。出産費用はキャバクラで働けば短期間で用意できる。
・出産病院は決めている。
・出産のことは祖父母と父に話している。特に反対はなし。
・タバコやめられない🚬


この内容を保健師からの質問で、若干嫌々ながらも答えてくれました。

私はまず、こういった自分の状況を話してくれた妊婦さんに「話してくれてありがとう」と伝えることにしています。


大人になってから思いますが、自分の置かれている状況が他人に自慢できるような良いものでなかった場合、増してや、それを話す相手が今初めて会った赤の他人だった場合、
「伝える」ということはとても勇気のいることだと思うからです。


特に若いママは
どーせバカにされるんだろうなぁー
可哀想とか思われるんだろうなぁー
と自己肯定感が低い傾向にあります。


だから、まず、話してくれたことに対して、ありがとうと伝え、保健師は、指導する人ではなく、共に考える支援者だということをわかってもらいたいんです。


聞き取った情報を元に、その妊婦さんの強みと、今後起こりうるリスクやリスク予防について話しました。そして、支援者はもちろん、保健師だけでなく、妊婦健診を受けたり出産したりする病院のスタッフもいることを説明し、支援者間で情報共有する同意もとります。


もちろん、私はAさんにとって、初めて会った保健師なので、この面接で心を開いてくれません。


私の説明内容に、

「あ、そーなんですか。わかりました。」

返事はその程度です。目も合わせません。


「健診行けた?って電話するね、その時困ったこととか聞きたいことあったら、何でも聞いてね」


そう声かけて、面接は終わりにしました。


健診受診先病院に、面接で聞き取った内容を伝え、健診に来なかったり、何か気になる点があれば、その都度連絡を下さい、と伝えました。


そして2ヶ月後、Aさんが電話に出なくなりました。

病院からも健診に来てない、と連絡。


んー、マズい。。


祖母宅に訪問することにしました。

結果、Aさんは在宅でしたが、寝ていました。
同居の祖母に話を伺うと、

連日キャバクラで働いてるからか、日中は寝ていることが多く、それで健診に行けてないのでは、と。

Aさんを起こして、
今度の健診の日、迎えにくるから、一緒に病院行こう!
と伝え、半ば強引に約束。


当日、家まで迎えに行って受診に同行しました。病院では待ち時間もあるので、世間話も交えつつ、Aさん自身のことや家族のこと、今後のことを話しました。


ここで大事なのが健診に連れて行くことが第一目的ではないということ。
Aさんと信頼関係を築くことこそが私の第一目的でした。


その後、受診に同行したり、訪問したり、書類を一緒に書いたりする中で、徐々に信頼関係が構築され、無事に出産に至ることができました。


たった15分くらいの妊婦面接から、ここまでの支援に結びつくこともあります。

この支援がなければ、もしかしたら、ずーっと健診を受けずに、飛び込み出産(陣痛が起きて初めて病院にいくこと)になってたかもしれない。飛び込み出産を受け入れてくれる病院は少なく、たらい回しにされた結果、妊婦や子どもが生死をさまようリスクもあります。
こういったリスクを予防することができました。


もちろん、面接を拒否され、支援に繋がりにくい人もいます。それは保健師がどんな支援をする人なのか、皆の認知が低いことも関係してるのでは、と思います。


こんな仕事もしてるんですよ!とこれから妊娠する人や、妊娠中の人、それをサポートする家族に知ってもらえたら嬉しいです。


出産後の支援についてはまた次回、新生児訪問について説明しながら、書こうと思います。



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