musiquartierーピアニスト深貝理紗子のミュジカルティエ

CD《Parfum》:『音楽現代』推薦盤、『stereo』特選盤 第10回柴田南雄音楽…

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CD《Parfum》:『音楽現代』推薦盤、『stereo』特選盤 第10回柴田南雄音楽評論賞奨励賞 https://risakofukagai-official.jimdofree.com/ musiquartier-musique(音楽)× quartier(地区)

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    【メジャーデビューCD】深貝理紗子『Parfum(パルファン)』サイン入り

    ピアニスト深貝理紗子のメジャーデビューCDです。このショップ(深貝理紗子公式事務窓口musiquartier)からお求めの皆さまへは、ディスク面への直筆サインとお名前入りCDを、メッセージカードを添えてお送りいたします。【レコード会社「ティートックレコーズ」からのデビュー盤】【芸術現代社「音楽現代」推薦盤】【音楽之友社「stereo」特選盤】香るエスプリ、彩るスパイス、詩情を纏った心地よさ―実力派ピアニスト深貝理紗子、待望のメジャーデビュー。サティ、ドビュッシー、ラヴェル、日本初録音のダンディまで、魅惑の音色に陶酔する、必聴の一枚。192KHz / 32bit 高解像度レコーディング。さらに特典として 192KHz / 24bit ハイレゾ音源 2 曲が楽しめるダウンロード用 QR コード付きCD& ハイレゾ音源 2 曲付き (192KHz/24bit) 発売日 2022 年 09 月 28 日品番 CADE-0051制作・発売元 カデンツァ by ティートックレコーズ 販売元 ディスクユニオンPOS コード 4582561411267深貝 理紗子 ( ピアノ )Total Engineer&Produced by 金野貴明2022 年 5 月 11 日、12 日 RECORDING【特典ハイレゾ音源192KHz/24bitWAV】「外の光~ハーモニー」「道化師の朝の歌」【収録作品】 エリック・サティ:グノシエンヌ第1番ヴァンサン・ダンディ:『山の詩』作品15 第1曲「ハーモニー~ヒースの歌」  第2曲「リズミックダンス」 第3曲「外の光~ハーモニー」エリック・サティ:グノシエンヌ第2番クロード・ドビュッシー:『ピアノのために』第1曲「プレリュード」第 2 曲「 サ ラ バ ン ド 」第 3 曲「 ト ッ カ ー タ 」エリック・サティ:グノシエンヌ第3番モーリス・ラヴェル:『鏡』第 1 曲「 夜 の 蝶 」第2曲「悲しき鳥たち」第3曲「洋上の小舟」第4曲「道化師の朝の歌」第 5 曲「 鐘 の 谷 」エリック・サティ:ジュ・トゥ・ヴ【ディスク推薦】透き通るような音色と知性、独創的な感性を持ったピアニスト深貝理紗子が待望の CD デビューを飾る。パリで研鑽を積んだ彼女は幅広 いレパートリーを携えているが、なかでもフランス近現代音楽でその研ぎ澄まされたエスプリを発揮する。詩情溢れるプログラムから彼 女の真摯な演奏スタイルを通し、フランス音楽特有の色と香りに包まれることだろう。 隠れた名匠ヴァンサン・ダンディの『山の詩』は日本初録音である。自然の美を称え、作品の最後には妻への愛が描かれる。深貝は風通 しの良い立体的な響きのなかに、軽やかな遊び心と人間らしい激情を織り交ぜていく。美しい旋律は選び抜いた言葉で慈しむように奏で られ、長大なドラマを見たような充実感を残す。この演奏を聴いたら、ドビュッシー、ラヴェル、サティに繋がるダンディがなぜ今まで 認知されてこなかったのか不思議に思うはずだ。「フランス独自の音楽を確立しようという愛を感じる」と深貝が語るドビュッシーの『ピアノのために』は、パンチの効いたテクニックと 輝かしい音色に満ちている。五音音階などの新しい旋法に加え、バロック懐古のスタイルを取ったこの作品は、確かに音楽史上ひとつの 分岐点と言えるだろう。手の内に入った演奏は並々ならぬ意欲を感じさせ、心地よい快感を煽る。 隅々まで神経の行き届いた響きにハッとせざるを得ない。難曲として知られるラヴェルの『鏡』は技巧を忘れるほどに詩的で風情溢れる 演奏である。絶妙なスパイスとこの上なくデリケートな表現を、余すことなく抽出した録音になっている。とりわけ『悲しき鳥たち』と『鐘 の谷』の深い趣は、深貝の繊細な感受性ならではだ。「標題の描写の裏に孤独な人間の心情がある」と話す通り、端正な構成美に多彩な表 現が宿っている。 プログラムの合間合間に置かれたサティは最も特徴的である。これは数年来かけて深貝が取り組んできた「サティの家具性の抽出」に対 する実験なのだ。サティといえば BGM の先駆けであり、「家具のように邪魔にならず、心地よさを与える音楽」を目指していた作曲家で ある。単独で置かれてはサティの意に反して「主役」として聴かなければならず、ただおまけのように添えられては「家具」にはなりき らない、という葛藤の末にこのようなプログラム配置にしたのだと言う。これを聞いただけでも、深貝が作品及び作曲者に対して真っ向 から向き合い、表現者として強い意志を持っていることが窺える。 香るエスプリ、彩るスパイス、詩情を纏った心地よさ―期待の才媛が繰り広げる「実験」の「目撃者」となるが如く、必聴の一枚である。【深貝 理紗子 Risako FUKAGAI】東京音楽コンクール第2位、ショパン国際ピアノコンクール in ASIA コンチェルトC部門アジア大会ブロンズ賞、フランスピアノコンクール第1位、C.カ ーン国際音楽コンクール第3位、J.フランセ国際音楽コンクール入選など国内外で受賞。パリ・エコール・ノルマル音楽院の最高高等演奏課程に授業料全 額免除奨学生として在籍し卒業。パリ・スコラ・カントルム音楽院ヴィルトゥオーゾ課程及びコンサーティスト課程を審査員満場一致の最高評価を得て首 席で修了。 これまでに下野竜也氏、川瀬賢太郎氏などの指揮のもと東京交響楽団などと共演。東京文化会館や岩崎ミュージアム・山手ゲーテ座、渋谷美竹さろん( 旧・美竹清花さろん)主催公演をはじめとして多数のコンサートに出演。皇居での御前演奏や、フランス「世界文化遺産の日」を記念する文化財でのデモ 演奏、パリ市内「若手指揮者育成のためのワークショップ」公式ソリストなども務めた。 これまでに横山幸雄、オリヴィエ・ギャルドン、島田彩乃、大西真由子の各氏に師事。レパートリーはバロックから現代音楽の新曲初演まで。特にフラ ンス近現代音楽と周辺文化全般を交えた取り組みを展開している。現在演奏活動の傍ら、コンクールの審査員や主宰音楽教室、インターナショナル音楽教 室にて後進の育成とクラシック音楽の普及に尽力している。オフィシャルホームページ:https://risakofukagai-official.jimdofree.com/
    ¥3,850
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    ピアニスト深貝理紗子のメジャーデビューCDです。このショップ(深貝理紗子公式事務窓口musiquartier)からお求めの皆さまへは、ディスク面への直筆サインとお名前入りCDを、メッセージカードを添えてお送りいたします。【レコード会社「ティートックレコーズ」からのデビュー盤】【芸術現代社「音楽現代」推薦盤】【音楽之友社「stereo」特選盤】香るエスプリ、彩るスパイス、詩情を纏った心地よさ―実力派ピアニスト深貝理紗子、待望のメジャーデビュー。サティ、ドビュッシー、ラヴェル、日本初録音のダンディまで、魅惑の音色に陶酔する、必聴の一枚。192KHz / 32bit 高解像度レコーディング。さらに特典として 192KHz / 24bit ハイレゾ音源 2 曲が楽しめるダウンロード用 QR コード付きCD& ハイレゾ音源 2 曲付き (192KHz/24bit) 発売日 2022 年 09 月 28 日品番 CADE-0051制作・発売元 カデンツァ by ティートックレコーズ 販売元 ディスクユニオンPOS コード 4582561411267深貝 理紗子 ( ピアノ )Total Engineer&Produced by 金野貴明2022 年 5 月 11 日、12 日 RECORDING【特典ハイレゾ音源192KHz/24bitWAV】「外の光~ハーモニー」「道化師の朝の歌」【収録作品】 エリック・サティ:グノシエンヌ第1番ヴァンサン・ダンディ:『山の詩』作品15 第1曲「ハーモニー~ヒースの歌」  第2曲「リズミックダンス」 第3曲「外の光~ハーモニー」エリック・サティ:グノシエンヌ第2番クロード・ドビュッシー:『ピアノのために』第1曲「プレリュード」第 2 曲「 サ ラ バ ン ド 」第 3 曲「 ト ッ カ ー タ 」エリック・サティ:グノシエンヌ第3番モーリス・ラヴェル:『鏡』第 1 曲「 夜 の 蝶 」第2曲「悲しき鳥たち」第3曲「洋上の小舟」第4曲「道化師の朝の歌」第 5 曲「 鐘 の 谷 」エリック・サティ:ジュ・トゥ・ヴ【ディスク推薦】透き通るような音色と知性、独創的な感性を持ったピアニスト深貝理紗子が待望の CD デビューを飾る。パリで研鑽を積んだ彼女は幅広 いレパートリーを携えているが、なかでもフランス近現代音楽でその研ぎ澄まされたエスプリを発揮する。詩情溢れるプログラムから彼 女の真摯な演奏スタイルを通し、フランス音楽特有の色と香りに包まれることだろう。 隠れた名匠ヴァンサン・ダンディの『山の詩』は日本初録音である。自然の美を称え、作品の最後には妻への愛が描かれる。深貝は風通 しの良い立体的な響きのなかに、軽やかな遊び心と人間らしい激情を織り交ぜていく。美しい旋律は選び抜いた言葉で慈しむように奏で られ、長大なドラマを見たような充実感を残す。この演奏を聴いたら、ドビュッシー、ラヴェル、サティに繋がるダンディがなぜ今まで 認知されてこなかったのか不思議に思うはずだ。「フランス独自の音楽を確立しようという愛を感じる」と深貝が語るドビュッシーの『ピアノのために』は、パンチの効いたテクニックと 輝かしい音色に満ちている。五音音階などの新しい旋法に加え、バロック懐古のスタイルを取ったこの作品は、確かに音楽史上ひとつの 分岐点と言えるだろう。手の内に入った演奏は並々ならぬ意欲を感じさせ、心地よい快感を煽る。 隅々まで神経の行き届いた響きにハッとせざるを得ない。難曲として知られるラヴェルの『鏡』は技巧を忘れるほどに詩的で風情溢れる 演奏である。絶妙なスパイスとこの上なくデリケートな表現を、余すことなく抽出した録音になっている。とりわけ『悲しき鳥たち』と『鐘 の谷』の深い趣は、深貝の繊細な感受性ならではだ。「標題の描写の裏に孤独な人間の心情がある」と話す通り、端正な構成美に多彩な表 現が宿っている。 プログラムの合間合間に置かれたサティは最も特徴的である。これは数年来かけて深貝が取り組んできた「サティの家具性の抽出」に対 する実験なのだ。サティといえば BGM の先駆けであり、「家具のように邪魔にならず、心地よさを与える音楽」を目指していた作曲家で ある。単独で置かれてはサティの意に反して「主役」として聴かなければならず、ただおまけのように添えられては「家具」にはなりき らない、という葛藤の末にこのようなプログラム配置にしたのだと言う。これを聞いただけでも、深貝が作品及び作曲者に対して真っ向 から向き合い、表現者として強い意志を持っていることが窺える。 香るエスプリ、彩るスパイス、詩情を纏った心地よさ―期待の才媛が繰り広げる「実験」の「目撃者」となるが如く、必聴の一枚である。【深貝 理紗子 Risako FUKAGAI】東京音楽コンクール第2位、ショパン国際ピアノコンクール in ASIA コンチェルトC部門アジア大会ブロンズ賞、フランスピアノコンクール第1位、C.カ ーン国際音楽コンクール第3位、J.フランセ国際音楽コンクール入選など国内外で受賞。パリ・エコール・ノルマル音楽院の最高高等演奏課程に授業料全 額免除奨学生として在籍し卒業。パリ・スコラ・カントルム音楽院ヴィルトゥオーゾ課程及びコンサーティスト課程を審査員満場一致の最高評価を得て首 席で修了。 これまでに下野竜也氏、川瀬賢太郎氏などの指揮のもと東京交響楽団などと共演。東京文化会館や岩崎ミュージアム・山手ゲーテ座、渋谷美竹さろん( 旧・美竹清花さろん)主催公演をはじめとして多数のコンサートに出演。皇居での御前演奏や、フランス「世界文化遺産の日」を記念する文化財でのデモ 演奏、パリ市内「若手指揮者育成のためのワークショップ」公式ソリストなども務めた。 これまでに横山幸雄、オリヴィエ・ギャルドン、島田彩乃、大西真由子の各氏に師事。レパートリーはバロックから現代音楽の新曲初演まで。特にフラ ンス近現代音楽と周辺文化全般を交えた取り組みを展開している。現在演奏活動の傍ら、コンクールの審査員や主宰音楽教室、インターナショナル音楽教 室にて後進の育成とクラシック音楽の普及に尽力している。オフィシャルホームページ:https://risakofukagai-official.jimdofree.com/
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4月24日(水)に、久しぶりに銀座のYAMAHAコンサートサロンにてリサイタルがあります。 プログラムは、コウノトリの民謡(少なくともオスマン帝国からの複雑な歴史を彷彿とさせる)の入ったバルトーク《太鼓と笛で》から始めます。 夜行性の鳥から連想される夜の響きを以って、ラストの《火の鳥》まで繋がりを持たせてみました。 ストラヴィンスキーの作品群を聴いたバルトークは「ピアノから打楽器のような音を出すことで、よりピアノにとって自然な響きが生み出せるのではないか」というアイディア

    • 花の供養に

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      • 年に一度/音楽活動のひとつ

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        • 遠くて近い

          近づきすぎると見えなくなるもの。 文字、絵、地図、景色、人の心。 もとより、心などというものは目に見えることはないけれど。 遠くても近くに感じうるもの。 空、太陽、信じる存在、雲のうえにいるであろう大切なひと。 私はどうも、お涙頂戴的なものが苦手だ。 弱さの主張はうそくさい。 弱さを秘めたたくましさの放つ光は、とてもとても美しい。 矛盾したふたつが好きだ。 冷たくて温かい、とか、鋭くて柔らかい、とか、矛盾のなかに厳しさをも越えた広がりを見る。 甘い言葉ほど、心は伴わな

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        • ステージに立つときに
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        記事

          「もっていない」に戻る

           文章を書くのが好きな人は、それ以上に読む-「読む」までいかなくとも「言葉に触れる」のが好きだと思う。言葉に触れる、というのは、心に触れることであって、いかに言葉を知っているかとか、いかに多くの知識を備えているかとか、そんな偉ぶった感情とは真逆のことを求めている。「ない」「もっていない」というところに心を落とし込み、なにも固めていない素の個体に戻る静かな瞬間は、本当に満たされている。自分という小さな個体が、他者であったり人以外の存在であったり、周りに在るものの恵みによって生か

          心から

           心が痛み、言葉を見失ってしまう新年です。震災や事故により、大切な方との別れに身も心も引き裂かれる想いをされている方々、毎日底知れない不安の只中にいらっしゃる方々を思うと、涙が込み上げてきます。何処へ押しやったらよいのかわからない悲しみ、涙も出ないほどに凍り付いた混乱のさなか、なにか暖まるものが訪れることを祈るばかりです。  半年前、私は大切な家族を突然喪いました。国を跨いで連れ帰ったその日、なにも知らない親友から食事の誘いが来ました。いつもの日常が自分を受け入れてくれている

          静寂のとき

           静寂のときを守る。沈黙のうちに、ひとの思考は目まぐるしく駆け巡っている。多くを想うが、空気に波打たせることを拒む。想いが募るほど、言葉を形作る声は出てこない。心が動くとき、その内には音にならない声がある。強張る心は、ふとしたきっかけの涙で溶ける。ただ溶け始めるまでは、想いが大きいほど時間がかかる。沈黙には愛が宿る。冷え切った仲での無言とは違う。静寂も沈黙も、ひとの容量を超えた出来事からの解放を意味する静謐に至るまで、そっと佇む。  静謐とはなにか。そこには悟りも漂う。知らな

          むこう側のなにか

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          無名の宝

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          第9章-カーナヴァル🎨サティ『スポーツと気晴らし』

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          第8章-海水浴🎨サティ『スポーツと気晴らし』

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          第7章-ヨット遊び🎨サティ『スポーツと気晴らし』

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          第6章-魚釣り🎨サティ『スポーツと気晴らし』

           魚を釣らない魚釣り。そういえば第2章『狩』も、動物を狩らない狩人だった。サティはこの作品集でも「力」を皮肉り、一番小さなもの、一番弱いもの、一番目立たないものにスポットをあてる。  この曲は魚の近づいてくる様子や水しぶきが愛らしい。壮大な作品ももちろん良いが、このような他愛もない-しかし愛に溢れている作品というのもとても良い。 Erik Satie : Sports et Divertissements エリック・サティ『スポーツと気晴らし』 🎨プレイリスト 🎨概要

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          第5章-目隠し鬼🎨サティ『スポーツと気晴らし』

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          第4章-花嫁の目覚め🎨サティ『スポーツと気晴らし』

           舞踏へ浮足立つような出だしののち、目覚めのファンファーレが鳴る。ラッパの音、お祝いに来た人々の足音、フィアンセと喜びを分かち合い踊る犬など、細かな断片が2セットずつ繰り返されて発展していく。  サティはある時期から小節線を記さなくなるが、フレージングは至って自然だ。見えないところで反骨精神を漲らせている。彼の音楽は、刺激的でありながら低刺激だ。聴く者のその時々の感情を邪魔することがない。彼のような矛盾を孕んだ音楽は、多くの矛盾を内蔵する人間に親しみやすく、説得力を帯びた問題

          第4章-花嫁の目覚め🎨サティ『スポーツと気晴らし』

          第3章-イタリア喜劇🎨サティ『スポーツと気晴らし』

           「喜劇」としているところが良い。サティは深刻さを深刻に扱うことを滑稽に思っていたのではないか。ドビュッシーにしてもラヴェルにしてもそう感じている。深刻さというのは誰もが持ちうるもので、人生においてとてつもない悲劇にみまわれることも、如何なる人にも起きている。ただそう見えないだけで、計り知れない重たいものを人々は抱えて過ごしている。その各々の傷口に、優しく寄り添ってくれるもの-それは対峙するというより、並行して前を見ているような姿勢-を、フランス音楽から感じている。  『イ

          第3章-イタリア喜劇🎨サティ『スポーツと気晴らし』