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脳内書店街

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活字中毒、本屋大好き!な私の記憶に残るいろんな書店風景を綴っていこうと思います。
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18.書店は居酒屋トークする場所ではありません。

18.書店は居酒屋トークする場所ではありません。

「とにかく心を落ち着けよう…」

北千住駅から出て、目と鼻の先にあるデパートの書店で、私は自分に言い聞かせていた。
ポーズで手に取った雑誌を持つ手が震えている。
なぜなら、当時片思いしていた人に大迷惑かけて失恋した直後だったから。

類は友を呼ぶ。
色恋沙汰にポンコツな私の知人女性は、やはり色恋にポンコツな訳で。
真面目で情に厚い優しい人だったが、今思えば、中学生並みの恋愛頭脳しか持っていなかった

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17.【番外編】図書カードの人間失格

17.【番外編】図書カードの人間失格

本が好きで活字中毒ではあるけれど、読む本はけっこう選り好みするため、教科書に出てくるような文豪の本、古文漢文はあまり読まない。

小中学生の頃は、4月の新学期に配布される国語の教科書を、最初から最後まで一度は読んでみたりするほど大好きだったけれど、旧仮名遣いの文体が苦手だから、高校生になると古文漢文、明治の文豪の小説はあまり読まなかった。

私は気に入った本しか読まない活字中毒なのだ。

そんなな

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14.今も後悔⁈食わなかった据え膳3店

14.今も後悔⁈食わなかった据え膳3店

本屋を見たら入らなきゃ気が済まない性分だ。
見かけたら、電車時刻が切羽詰まった状況以外なら、どうあれひとまず中に入る。
この人生を貫いているけれど、記憶にある限り入ることを諦めてしまい、未だに後悔している店が3店舗ある。
 

1店目は、都内某所商店街の古書店。
一緒にいた人も本好きな人だったのだが、「あっ、本屋」と言ったら、「そうだね」の一言で返されておしまい。
当時、ちょっといいなぁ〜と思って

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16.都会の書店ソロデビューの日♪

16.都会の書店ソロデビューの日♪

私は幼い頃にテレビドラマ『オズの魔法使い』を観た以降、ずっと『オズの魔法使い』が大好き。
そういえば、父に頼んで赤と青のセロファンでテレビが立体に見えるメガネを作ってもらったのは、ネット検索したらあの番組だったなと思い出した。

そんな私が「『オズの魔法使い』に続編がある」と知ったのは高校3年生の時。
勉強は苦手だったけれど、読書は好きだったので入り浸っていた高校の図書室。

「なにこれ?オズの魔

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15.愛言葉は「あなたは本当に本が好きなのね」

15.愛言葉は「あなたは本当に本が好きなのね」

先日、母に本屋の話をしていたら、母がポツリと言われた。

「この辺りは昔、本屋がたくさんあったのにねぇ…」

言うまでもなく、それはレンタル店が一緒の複合店ではなく、【昔ながらの本屋さん】という意味である。

そうなのだ。
実は私の地元は、本屋さんがたくさんあった。
これを書き始めてから、もっといろんな場所の書店を…と思うのだが、やはり生まれ育ったこの地域の、今は消えてしまった本屋さんがたくさん目

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13.今思えば…あれって…⁈

13.今思えば…あれって…⁈

社会人1年生の頃、毎日毎日飽きもせず、平日の仕事帰りは同じ書店に通っていた。
慣れない仕事や人間関係で人見知りスイッチが作動し、外側はそれなりに先輩や上司と会話していても、内側は毎日テンパり過ぎて、なにがなんだかわからない日々。
とにかくセクハラなんて言葉がなかった平成初期、隣に煙草を吸う人間がいることや、18禁の話がポンポン飛び交う職場は、私にとってはあまりよろしくないカルチャーショックがあり過

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11. 団体旅行中にもムラムラと…

11. 団体旅行中にもムラムラと…

『睦菜に本屋』

【意味】
『猫にまたたび』の同義語。

いつだったか、父の会社が社員旅行は北海道へ行くというので、便乗して連れて行ってもらったことがあった。
網走刑務所や摩周湖など一般的な観光地を巡り、お約束の夜のフリータイムは旭川の街だった。

自由時間とはいえ、慣れない土地に高齢の祖母や伯母たちも一緒なので、そうそう勝手な単独行動もできず、みんなと一緒に食事をした後。

店から出て歩き出した

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10.ファンシーコーナーしか行かなかったことが悔やまれる…

10.ファンシーコーナーしか行かなかったことが悔やまれる…

名前は極めて和風なのに、建物の中は魅力的。
そんな本屋さんが地元にあった。
本屋さん自体は広い通りに面した場所にあったので、いつも通りすがりの車窓から「この本屋さんに来たいなぁ」と思っていたけれど、親の庇護の元にある子どもの身。
通りすがったからとて、忙しい親に頼んでプラッと入ることはできない。
遠目に見て…というか、道路の盛り土との差があったからなのか、本屋さんの入り口が少し低くなっていて子ども

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12.「こわいのがおいかけてくるよ〜」

12.「こわいのがおいかけてくるよ〜」

これはかなり最近体験した本屋さんの話だけど、夏なのでひんやり話をおひとつ。

人によっては、私という人間性に疑問を持つかもしれないが、臨時の1日バイトも含めたら転職経験50回は優に超える私。

しかしながら、大好きな本屋さんでの仕事経験はなかった。
たまたま商品として扱うものの中に、本が含まれていることはあったけれど、まるまる書店ですという環境での経験はなかった。

なぜかといえば、目の前に餌があ

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8.素敵な書店が消えていく理由は…

8.素敵な書店が消えていく理由は…

私が1人の人間として、本屋さんと付き合うための知恵を全て授けてもらった書店は、しばらくしてから2店舗、支店ができた。

最初にできた支店は、地域名がついた本店名に、支店のある地域名が支店として付くというややこしいネーミングだった。
「変だよね〜」と子どもながらに思ったけれど、もちろんその店にも行った。
支店は、本だけの店で深緑の本棚だった。
勝手知ったる本店とは違って、どちらかというとよそいきな大

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9.千円札片手に父が飛んできた!

9.千円札片手に父が飛んできた!

子どもの頃、極々たま〜に隣市のアーケード商店街へ買い物に連れて行ってもらった。
東京の大きくて賑やかな商店街と比べたらこじんまりした場所だったかもしれないけど、そこへ行くことは私にとっては「ハレの日」だった。
その商店街にも、もちろん本屋さんはあった。
「買って攻撃」の出るおもちゃ屋さん前は、なんとなく店の反対側に足を向けさせる両親も、本屋さんには寛容だったので、私は家族の居場所を確認しつつ、先に

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7. It was a bookstore school for me.

7. It was a bookstore school for me.

小学生の時に、地区の名前が付いた本屋さんが新規開店した。
パン屋系お菓子屋が併設されていたけれど、その本屋さんは、まさに私のための本屋さんだった。
なにしろ、家から歩いて子どもの足でも10分ぐらい。
両親に頼んで連れて行ってもらわなくても、明るいうちなら1人で本屋さんへ行けるのである(昔は子どもが1人で出歩いても、明るいうちなら割と大丈夫という平和さがあった)。

店内の雑誌棚以外、書籍やマンガ、

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6.初海外ショッピングもやはり…だった!

6.初海外ショッピングもやはり…だった!

本屋さんの中で、文房具を売っているのは当たり前のようなことだけれど、あの日の私はその意外性にアドレナリンが大放出した。
初めて行った海外旅行、イタリア・ローマでのことだ。

一緒に行ったのが、10歳年上で趣味が旅行で英語堪能という旅慣れした人だったので、私は彼女の「初めてなんだから楽しんで」という言葉に甘えまくる気満々でいた。
しかし、初めての海外の街でかなり興奮していた私は、街の些細な風景すべて

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5.フツー過ぎて能面みたい

5.フツー過ぎて能面みたい

バブル時代は、ファンシーショップや文具店やレンタルショップが併設されて、本の方がおまけみたいなチェーン店でも、毎日行ってもワクワクするぐらい新しい本がたくさん出版されていて勢いがあって、私の小遣いは本屋のレジにどんどん吸い込まれた。
本を買った分、貯金していたらマンションぐらい買えたろうし、親孝行もたくさんしたかと思う、たぶん。

そんな出版蜜月はバブル崩壊と共に尻すぼみになっていく。
出版される

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