怪奇を呼ぶ友 ~帰りゃんせ百物語『#オカル友』シリーズ~

出版創作イベントNoveljam発の怪談小説『帰りゃんせ』の販促企画として百物語連載が進行中。その中からシリーズ化されているものをピックアップして、読み切りエッセイとしてまとめました。
この記事では、日野さんに心霊情報を提供してくれる「オカル友」にまつわるお話をまとめました。
※ 当記事の著作権は、元記事執筆者の日野光里さんに帰属します。

おかっぱの女の子

私には定期的にオカルト談義をするために寄り合うオカル友・ポンくんがいる。

彼はその筋では有名なサイトを運営しているんだけど、今後の彼の話のために仮名で進めたい。

そんな彼に以下の娘の話をした。

前住んでいたアパートでは、夏に残った花火を使い切ろうがごとく、自然発生的に住人たちと子供が出てきて、花火をやる時間が毎年ある。

その日も、わらわらとアパートの子供と大人が出てきた花火をやり始めた。
我が家も娘のむっちゃんを連れ、全員出てきて花火をしていたんだけど、隣
の部屋のご主人が、

「むっちゃんのお友達もおりて来てやればいいのに。遠慮しないで」

と言ってきた。

どうやら隣のご主人には窓から私たちを見下ろす子供が見えているらしい。

彼は長年幽霊を見たいと、日々修行をしてるんだけど、なかなかバッチリとは見えないと嘆く人だ。

でも、最近、ちょこちょこ見えるようになってきたらしい。

で、私を通して見ながら、こう言った。

「おかっぱの女の子かな?」

だ、そうです。

だから、一応性別は女性として書いたのよ。

神社サークル

福岡では年末年始に美内すずえ先生の展示会があるらしく、地下鉄にはポスターがでかでかといくつも貼られています。

「ガラスの仮面」世代ですが、美内先生ががっつりスピリチュアルに転んだのを見て、「ああ、いってしまわれた」と思ったものです。

そして、一時期美内先生は、とある写真家と親しくしていたときがありました。後に亀裂が入り、もめるのですが。

その写真家は不思議な光が写り込む写真を撮ってたんですよ。デジタルに詳しい友達がその写真を見せてもらったけど、「細工はなかった」と言ってた。

そう、この光が写り込む写真って、とある神社でばかり撮られてるんだけど、それは福岡にあるんですよ。

で、その友達がその神社に私を連れていってくれた。

大きなご神木があって、確かに綺麗な(空気的に)ところ。

スピリチュアル界では有名で、ときどきぞろ引く衣装をきた人が、変な舞をしてるらしい。そう言えば、都府楼跡にもいたなあ。

で、その神社ですが、

「ここ、神社サークルあったんだよね」

と、友達が言うんです。

なんでも、神社から神社を渡っていって、石でサークルを作る儀式をする人たちがいて(そんな大きなものじゃないですよ)、それをそこでも発見したことがあるそうで。

その話を聞いて、あ!と思い出しました。

うちの近所の神社でも見たことある!!
強い神社として紹介したあそこ、ね。

本当にいるんだ。そういう人たち。

それがぞろ引く衣装を来て舞い踊る人たちと同じ種類なのか、それとももっと意味があって神社を渡っていく人たちなのかはわからないけど、結構昔からいるんだと思う。

だって、私が小さい頃に見たものだから。

めくれる

肉が焼かれてめくれているわけではない。

霊感のことだ。

私が好きな理論に、霊感の強い人と一緒にいると、次第に霊感が開花していくというのがある。

これはたとえば紙を何度もめくっていると、くせがついて、ちょっと浮いたようになり、開いてしまうことと同じだ。

霊感ゼロだった人が、霊感ありの人のせいで、急激に霊感がつくこともある。

これは、そんなお話。

友達がバーベキューをしていた。

そのバーベキュー会場からは、高僧が何かを埋めたという伝説のある山が見える。

で、そのバーベキューの集まりの最中、霊感バリ子さんが何かを感じ取った。

「怖い」

霊感バリ子さんは、霊感ゼロ男くんの手を握る。

すると、それまで霊感なんかまったくなかったゼロ男くんは、近くの池におかしな影が数体いることを感じ取ったそうだ。

けれど、霊感バリ子さんが見つめているのは、そこではない。

暗い夜空に漆黒の稜線を走らせている山。その山腹のあたりを、じっと見つめている。

ゼロ男くんも山の方を見ると、そこにチューブが見えた。

ちょうど高僧が何かを埋めたという伝説のある場所だ。そこから、チューブトンネルが伸びていて、中で細長い人影がチョロチョロと動くのが見える。

人ではない。神でもない。妖怪?まったくわからないもの。

けれど、霊感バリ子さんが、「きゃっ」といって、ゼロ男くんから手を離すと、今まで見えてたものが見えなくなった。

バリ子さんに手をつながれていたときだけに見えたのだ。

あーね。(福岡弁でそうなんだー)

お菊姫の話・前編

今回、ようやく話してくれた人から許可もらって書きます。

むしろ、これを一番書きたかったくらいの話なんで、ここからは三部構成!!

元ネタはこの話に出てきた本に関わる。
この77話目で、私が「検証四谷怪談」を妊娠中に読みふけって、家族に嫌がられた話をしましたよね。

私が夢中になったのは、お岩さんの話ではなくて、お菊さんの話。日本全国にお菊という名前の女性が、難癖つけられて殺される話がいっぱいあるんですよ。

それを辿っていく話なんだけど、行きついた話が、日本最大の怨霊「山田の菊姫」なんです。60人以上を呪い殺したと言われる強力な怨念。

その霊を沈めるために建てられた山田地蔵尊。

地元では安産祈願で有名ですが、サイトにも書かれてあるように家督争いに巻き込まれて惨殺された菊姫と母親とその侍女のために建てられた地蔵尊なのです。

私は強くこの話に惹かれてまして、永久保先生の「もしかして、田舎って思った以上に人を殺してきたのかも」って感想にも大いに頷いていました。

私の友達にこの菊姫の話を調べている人がいます。

そして、彼は山田地蔵尊だけではなくて、宗像大社にも菊姫を祀る儀式があることを知りました。

けれど、そのご神体は神職の人でも、決して見てはいけないと言われるいわくつきのもの。

けれど、ご神体を移動させる儀式があり、そのときに、ご神体を隠していた御簾がふわりと揺れ開きます。

そこから見えたのは、真っ白な女性の人形の足だったそうです。

宗像一族が祭ってある菊姫の神社は、宗像大社の近くの山の中腹にひっそりとあるそうで、ドライブしながら、場所を教えてくれました。宗像大社や山田地蔵尊とは違い、そこは静かな場所です。

さて、友達は、それだけでは満足しませんでした。

菊姫が殺された場所があるという情報を聞いたからです。

それを探すために、彼はとんでもない目にあいます。

ちょっと書いてて怖いです。

続きは、この彼がかぶった話になります。

お菊姫の話・中編

番町皿屋敷で有名なお菊。そして、全国にはお菊という名で殺された女性がたくさんにいる。その中でも最強と言われるのが福岡の山田地蔵尊に祀られているお菊姫と母親とその侍女6人の怨霊。60人以上を取り殺し、九州一の怨霊と呼ばれている。

そのお菊姫が祀らている山田地蔵尊、ではない神社を調べたりしていたオカル友が、今度はお菊姫が命を落とした場所を探そうと調査を開始した。

ネットで見つけた手がかりは竹藪と土地の名前。ヒントを得たオカル友は今度はその情報を持って、現地の聞き込みを始める。

宗像大社のお土産屋さんとか、古そうなことを知っているご老人に聞きこんでいると、まさにピッタリの場所が浮上してきた。

それで、今度はその場所へフィールド調査に行こうとすると、例のスマホのロックナンバーを読み取れる霊感の強い女性Iさんもついてくるという。

そしてふたりが調べた場所へ向かうのだが、途中、現地に辿り着く前から足音がついてくるらしい。

Iさんは、怖いと悲鳴をあげる。

オカル友はもっと先に行きたいから強硬進軍!

が、途中で、ついてきていた謎の足音が止んだ。

「ぎゃあああ――――!!」

ついにIさんが大きな悲鳴を出して、逃げ出す。

それで、オカル友も一緒に退散することになった。

帰宅後、どうにも身体がおかしい。

物凄い寒気に襲われて、「うおおおおおお」と声に出さないと耐えられないくらいブルブル震える。

インフルも流行らない夏のことだ。

これはおかしいと思っている矢先、オカル友は夢を見た。

夢の中、自分は霧の道を進んでいっている。

すると霧の先に、白い光を放つ人影があった。少し小さい白い人を両脇に従えて、真ん中に立つ白い人は、オカル友に手招きしている。

そこに向かって、ふらふら進んでいくと、少し開けた場所へ出た。途端、白い人影は消える。代わりに目に入った光景は――。

大人2,3人くらいしか入れないような小屋。

中には人がみっちり入っており、外にまで人の列はつながっていた。しかも小屋の中からは、女性の取り乱した泣き声が、あたり一面に響き渡っている。

オカル友はそこで目が覚めたそうだ。まだ、ガタガタと歯の根が合わないように震えは続いている。

けれど、夢で見た白い人影に出逢った場所には覚えがあった。

それに、白い人影は手招きをしていた。

「行くしかない」

オカル友は奥さんが止めるのも聞かずに、ふらふらしながらも夢に見た場所へと車を走らせる。

白い人影に出逢った場所におりたったオカル友は手招きされて進んだ道を辿ると、夢と同じように開けた土地に出た。

そして、そこを調べてみた結果、ようやく菊姫たちの碑も発見する。

「ここだったんだ」

ところが、オカル友の寒気がおさまらない。

家に帰ってからも、ぶるぶると震え続けてしまう。

そこへ、何の連絡もしていないのにオカル友のオカル友仏壇屋さんから電話が入った。

お菊姫の話・後編

九州一の怨霊と言われるお菊の終焉の地を探していたオカル友。

ついに不思議な夢に導かれ、終焉地を見つけるが凄まじい悪寒が止まらない。

そこへ、オカル友のオカル友である仏壇屋さんから電話がかかってくる。

「今、大変なことになっているんじゃない?」

何も話してないはずなのに、仏壇屋さんはいきなり聞いてきた。

それで、オカル友は、今まで起きたことを話す。

「あ~、それは吸われてるよ」

「吸われてる?」

「うん。生気をほとんど吸われてる。だから熱もなくて、ぶるぶる震えてる」

「どうしたらいい?」

「どうしようもできない」

「ええ!」

「でも、それ以上悪いことにはならないから、また生気がたまるまで、じっとしてたらいい」

「ええー!」

「おとなしくしときー」

そう言われたオカル友。

しかし、じっとしているだけなんてできないのがオカル友だ。

彼は早速、ふとんをかぶったまま、スマホでエネルギーがつくものを検索。

すると、ねばねばするものがいいというので、奥さんに納豆とオクラを買ってきてもらって食べたんだそう。

それから一週間くらいでオカル友は全快しました。

とりあえず、手招きしてたんだし、震えるだけで終わったので、それほど悪い感じではないだろうかとは思う。(レッツボジディブ!)

ちなみに、オカル友は今、トヨタのオカルトテープと名高い静電気除去アルミテープに興味を持ってるそうです。

「今年は静電気を追いかける!!」

三百回忌

オカル友から聞いた話だ。

まずは霊じゃないけど、衝撃的だった話。

オカル友の妹と母が、かわいい虫を飼っていたそうだ。

いつも新鮮な葉を食わせ、それはそれはかわいがっていたのだけど、ある日、動かなくなった。

心配する妹と母。

が、その日はきた。

朝、ぎゃーという妹の声でオカル友は起きる。

「大きな蛾がいる! 虫ちゃんを助けなきゃ」

オカル友が行くと、目玉のような模様がくっきり浮き出た標本にできそうなくらい大きく立派な蛾がいた。

すぐに母親が殺虫剤を持ってきて、白くなるまで吹きかけた。

蛾は息絶え、捨てられ、母と娘は虫ちゃんがいなくなってることに気づく。

「きっと、あの気持ち悪い蛾に食われたんだ」

オカル友は「いや、たぶん、その蛾……」と思ったけど黙っていた。

怖い話だ。

で、ここから霊の話。

オカル友の家は、めちゃくちゃ墓が多いという。

ちなみにうちも敷地は狭いけど、墓石は多い。小さな石を立てただけのとかがたくさん散らばっていた。

それのひとつひとつに線香をあげるのが、私にはアミューズメント的で、小さい頃から墓参りが好きな子だった。

実父が死ぬ前にひとつにまとめて新しい墓を建てたんだけど、その小さな墓石を境界線の壁みたいにひとまとめにしてる。いいのか?

で、オカル友のところは、敷地も広い。ほぼ一山、あちこちに墓石がある状態。たぶん、先祖が相当有力な一族だったんだろうね。

で、そのオカル友は有力な一族だからこそ、葬祭関係が凄い。だって、三百回忌をしたことがあるという。

だいたい、五十回忌やったらあがりで終わりのはずだ。

その一族あげての三百回忌のとき、衣装部屋があって、そこでみんなが喪服に着替えていた。

オカル友もそこで着替えていると、腰のえらくまがった横溝正史に出てきそうな白髪おばあさんがやってきた。

「あ、女性はそっちで着替えみたいですよ」

着物がたくさんかけてある先の部屋を指す。

老婆は黙って、着物をカーテンを分けるようにして入っていった。

オカル友は着替え終わったが、老婆は出てこない。

「まさか、倒れてるんじゃ」

と心配したオカル友は、隣の部屋を覗くと、誰もいなかったそうだ。

あんまりハッキリ見えたんで、幽霊とは思わなかったと言ってる。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆


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つきぬけ

芸術文/実用文の間、物書き/編集者の間をフラフラと行ったり来たりしながら、何かしら新たな価値が生まれないかと日々試行錯誤しております。

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