上原尚子

英日翻訳とプルーフリーディングに従事。Bookpotter。 訳書:講談社ディズニース…

上原尚子

英日翻訳とプルーフリーディングに従事。Bookpotter。 訳書:講談社ディズニーストーリーブック 『マイティ・ソー ダークワールド』 共訳書:講談社文庫 『スター・ウォーズ エピソードⅡ 』 他。週間読書人や図書新聞にときどき書評を書きます。

マガジン

  • 書評講座 Vol. 6

    • 5本

    課題書:1)ハリケーンの季節(フェルナンダ・メルチョール著、宇野和美訳、早川書房)、2)自由選書

  • 書評講座 Vol. 5

    • 5本

    課題書:1)ものまね鳥を殺すのは:アラバマ物語(ハーパー・リー著、上岡伸雄訳、早川書房)、2)「神は俺たちの隣に」(ウィル・カーヴァー著、佐々木紀子訳、扶桑社ミステリー文庫)、3)自由課題

  • 書評講座Vol.3

    • 4本

    課題書: 1)『フランキスシュタイン』- アメリカ、ジャネット・ウィンターソン著、木原善彦訳、河出書房新社、2)『喜べ、幸いなる魂よ』- 日本、佐藤亜紀、角川書店、3)自由選択(海外文学で邦訳が出ているものなら、文字通り何でも)

  • 書評講座 Vol. 4

    • 8本

    課題書:1)インヴェンション・オブ・サウンド(チャック・パラニューク著、池田真紀子訳、早川書房)、2)自由課題

  • 書評講座 Vol. 2

    • 6本

    課題書: 1)『掃除婦のための手引き書』- アメリカ、ルシア・ベルリン著、岸本佐知子訳、講談社、2)『ハムネット』- イギリス、マギー・オファーレル著、小竹由美子訳、新潮社

最近の記事

自分に正直に生きる――『結婚/毒』(トーヴェ・ディトレウセン)書評

第6回翻訳者のための書評講座に参加し、トーヴェ・ディトレウセン著『結婚/毒』(みすず書房 訳:枇谷玲子)の書評を書きました。 書評講座に参加するときはいつもはできないような書評を提出しようと考えているのですが、今回は”なりきり書評”にチャレンジ。作者になりきって書いてみました。 その結果……「架空の何かになりきるならよいが、実在の人物になりきるのは避けたほうがいい」、「役割語は不要なのでは?」、「ナイスチャレンジ!」など、さまざまなご意見をいただきました。 いただいた意見を考

    • 『中国のはなし―田舎町で聞いたこと』息子が父に、父が母に、母が息子に殺意を抱く、奇妙な家族の物語

      『図書新聞』3630号に閻 連科著(翻訳 飯塚 容)『中国のはなし―田舎町で聞いたこと』の書評が掲載されました。図書新聞編集部の許可を得てここに掲載いたします。  一度表紙を開いて小説の世界に入ってしまうと他の事が手につかなくなってしまうほどの面白さ。この先はどうなるんだろう、この人はどうなってしまうんだろうとの思いに駆られ、次から次へとページを捲るしかありません。すばらしい小説です。小説好きならぜったいにハマります。そして読み終えたら、最後の部分をどう解釈するかぜひ教えてく

      • 『ものまね鳥を殺すのは:アラバマ物語』書評

        第五回 翻訳者のための書評講座に参加しました。 張り切って書いたのはいいのですが、ある致命的なミスを見逃したまま提出するという大失態を演じてしまいました。トホホ。 講座では講師の豊﨑由美さんはもちろん、受講生の方々からもいろいろな意見をいただきました。その中で、するんと読めるけれど引っかかるものがなかった、というものにドキリとしました。もっと書きたいことがあったのに文字数内にまとめられず、えいやっと削除してしまっていたのです。 そこで、思い切って内容を変えて書き直しました。

        • 闇を担わされた者たちの悲痛な叫び――チャック・パラニューク著『インヴェンション・オブ・サウンド』書評

          第四回 翻訳者のための書評講座に参加しました。 今回の課題はこれまであまり読んでこなかったジャンルの小説で、書評をまとめるのが難しいかもしれないと思っていたのですが、思いのほかスムーズに書くことができました。それはたぶん、この小説が持つ、人をぐいぐい引き込んでいく力のおかげなのだと思います。 講座では今回も講師の豊崎由美さんにご教示と励ましをいただき、また他の受講者の方からも貴重なご意見をいただき、たいへんに勉強になりました。以下は、講座終了後に書き直したものです。 読んでい

        自分に正直に生きる――『結婚/毒』(トーヴェ・ディトレウセン)書評

        • 『中国のはなし―田舎町で聞いたこと』息子が父に、父が母に、母が息子に殺意を抱く、奇妙な家族の物語

        • 『ものまね鳥を殺すのは:アラバマ物語』書評

        • 闇を担わされた者たちの悲痛な叫び――チャック・パラニューク著『インヴェンション・オブ・サウンド』書評

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          4本
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          8本
        • 書評講座 Vol. 2
          6本
        • 書評講座 Vol. 1
          11本

        記事

          『街とその不確かな壁』―心の再生の物語

          「図書新聞」(No.3589号・2023年4月22日発売)に、村上春樹『街とその不確かな壁』(新潮社)の書評が掲載されました。 『図書新聞』編集部に許可をいただいて投稿いたします。 http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/index.php 4月13日の発売から2日間で読んで2日間で書き、22日発売の図書新聞に掲載いただきました。 プレッシャーはありましたが、二度とない、楽しい経験をさせていただいたと思っています。 村上主義

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          惑星の住人たちのハルキ・ムラカミ論-『我々の星のハルキ・ムラカミ文学-惑星的思考と日本的思考』

          「図書新聞」No.3580 号2023年2月25日(土)に、『我々の星のハルキ・ムラカミ文学――惑星的思考と日本的思考』(彩流社)の書評が掲載されました。 http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/ 「図書新聞」編集部の許可を得て、投稿します。   村上春樹愛好者の交流の場として設立され、京都や東京、オンライン上でもさまざまなイベントを開催し、オンライン雑誌『Murakami Review』を毎年刊行している「村上春樹研究フォー

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          村上春樹 映画の旅-村上主義者なら持っていたい一冊

          図書新聞」No.3578 ・2023年2月11日(日)に、図録『村上春樹 映画の旅』(フィルムアート社)の書評が掲載されました。 http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/ 「図書新聞」編集部の許可を得て、投稿します。 村上ファン必携の書 村上春樹の読者であれば、村上の小説やエッセイに映画がよく登場することは知っているだろう。だが、たとえば『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を読んでいて六〇二ページに〈『第三の

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          封建的な社会の中で自分の気持ちに正直に生きる――イーディス・ウォートン著『夏』

          「図書新聞」No.3573 2023年1月1日号にイーディス・ウォートン著『夏』(山口ヨシ子、石井幸子訳 彩流社)の書評が掲載されました。 http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/index.php 「図書新聞」編集部の許可を得て、書評を投稿します。  チャリティ・ロイヤルは外出するために玄関から外に出たところで、都会的な身なりをして楽しげに笑う見知らぬ青年の姿を目にし、あわてて玄関の中に引き返して鏡に映った自分の浅黒い顔を見

          封建的な社会の中で自分の気持ちに正直に生きる――イーディス・ウォートン著『夏』

          小説家としての真の姿がここにールシア・ベルリン作品集『すべての月、すべての年』書評

          第三回翻訳者のための書評講座に参加しました。 前回、講師の豊崎由美さんから短くまとめることの難しさと大切さを教えていただいたので、今回は文字数をスペースを含めて800字に制限して書いてみました。字数が限られているため一編に絞り込んで書いてしまったのでしが、19編作品があるのだからどんな形でもいいから2,3編に触れておくべきとご指摘いただき、書き直してみました。 読んでいただけると嬉しいです。 十代の少女が出産し、赤ちゃんの世話がうまくできずに死なせてしまう。そうしたニュース

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          果樹園とは何か、守り手とは誰なのか––『果樹園の守り手』書評   

          「図書新聞」11月19日号にコーマック・マッカーシー『果樹園の守り手』の書評が掲載されました。 図書新聞 (toshoshimbun.com) 「図書新聞」編集部の許可を得て、書評を掲載します。                               先が見通せないほどうっそうとした、深い森のような小説だ。何の予備知識もなく足を踏み入れれば道を見失うおそれもあるが、全体の構造がおぼろげながらもつかめてくると、そこが驚くほどの豊穣の地であることが見えてくる。だから、

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          社会のうねりの中で生きるということ―『年年歳歳』書評

          「図書新聞」No.3547 ・ 2022年06月18日 (土曜日)に、ファン・ジョンウン『年年歳歳』(斎藤真理子、河出書房新社)の書評が掲載されました。 http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/index.php 「図書新聞」編集部の許可を得て、書評を投稿します。 社会のうねりの中で生きるということ――大きな数のなかに埋もれている個人を、そっとすくいあげたような連作小説集 年年歳歳 ファン・ジョンウン 著、斎藤真理子 訳 河

          社会のうねりの中で生きるということ―『年年歳歳』書評

          アンではなくアグネスとしてー『ハムネット』書評

          第二回翻訳者向け書評講座に参加しました。 です・ます調で書いてみたのは、自分の書く文章がいつも似通ってしまうのが気になっていて、ちょっと変わった感じにしてみたいなと思っていたからです。 前回の、講師の豊崎由美さんの「です・ますで書いてみるのもおもしろいですよ」という言葉がずっと頭に残っていて、それでやってみよう!ということになりました。 なので、です・ます調にした以外にも、自分では普段使わないような言葉を入れてみたり、語り掛けるようにしてみたりしました。 もっと砕けた印象にし

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          魂の物語―ゴンサロ・M・タヴァレス著『エルサレム』書評

          書評家の豊崎由美さんの翻訳者向け書評講座に参加しました。三冊の課題本の中から『エルサレム』を選んだのは、すでに読んでいてすばらしい小説だと感じていたからなんですが、いざ書こうとすると考えがなかなかまとまらずにかなり苦しみました。なので、講座には覚悟をきめて臨んだのですが、豊崎さんからは鋭い指摘とともに励ましの言葉もいただき、感激しました。また、一緒に参加したみなさんからたくさんの刺激をうけました。その時に指摘していただいたことを踏まえ、書評を書き直しました。 豊崎さん、幹事

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