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140字小説

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2019年3月の記事一覧

囚われたのは

囚われたのは

寝転んで薄紅に世界を染める。
春と呼ぶには冷ややかで、冬と呼ぶには色付きすぎたこの季節が好きだ。
祝福と寂寥の境界線が滲んで、まるで同じもののように見える。

君がいた日々だけが春だった。
一番好きで一番嫌いな季節。
それだけを握り締めてここまで来た。

春はまだここにいる。
僕はまだここにいる。

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今週も土曜日の電球企画に参加させて頂きました(●︎´▽︎`●︎)

見上げる先、見つめる先。

見上げる先、見つめる先。

「月が」

横顔を見つめてみても続きは出てこなかった。

信憑性はどうあれ、それを愛の言葉として訳したという文筆家の話をとても素敵に思う。

知ってか知らずか、彼はいつも最後まで言わない。

知らなくたって、言ってくれたら勘違いするのに。

今日も口にするのは私の方。

「月が綺麗ね」

■ □ ■■ □ ■■ □ ■

twitterで炭酸ソーダの雨さまの土曜日の電球企画に参加(´∀`*)
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ハナビエ

ハナビエ

桜が咲くのが怖かった。
だから今日みたいな冷たい夜は安心する。
春がまた遠ざかるような気がして。

こんな夜をなんて呼んだだろう、いつか君が嬉しそうに教えてくれたのを思い出す。

「 。冬と春の逢瀬なんだよ」

今はまだ忘れていよう。
もう少し君の事を考えていたいから。

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twitterで炭酸ソーダの雨さまの土曜日の電球企画に参加させていただ

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