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こんなの見たら、食べたくなるじゃん。

まただ。

また父が写真を送ってきた。

美味しそうな母のご飯。

いいなぁ。私も食べたいぞ。

父はこうしてよく自分が食べるものを写真で送ってくるのだ。

去年いっぱいで仕事を退職した父。
それまではお昼ご飯の写真をよく送ってきていた。
基本的には母手作りのお弁当である。
父は外回りが多かったので
時にはどこかの食堂でご飯を食べる時もある。
田舎なので、大体行くお店は決まっている。
あまりに写真を送ってくるため、私はもはや写真を見るだけで
どこのお店なのかがわかってしまう程になっていた。
なに詳しくなってんだろ、私。

「今日はあの辺りを回る日だから、恐らくあそこのお店だな。」
こんな感じで私の中で推理が始まる。
しかも父はお店毎にいつも頼むメニューが決まっているので
あの店のこのメニューだなとわかってしまう。
今思えば、ものすごい簡単なクイズだなと思う。

けれどなんだかこうして書いていたら
それをしっかりわかっている自分もまた少し怖いかもしれない
と、少し笑えた。
まぁそれくらい父が写真を送ってきていたということなのだが。

いつもの母のお弁当がお昼の日もまた、思うことがある。

父は、晩ご飯の写真もよく送ってくる。
それを見るといつも食べたくなってしまう。
相変わらず美味しそうだ。
そして次の日、父のお弁当の写真を見て
昨日の晩ご飯の写真を思い出す。
「あ、入ってる入ってる。この揚げ物、昨日の晩ご飯のやつだな。」
あ、いわゆる昨晩の残り物ってやつです。
そうしてその写真に思いを馳せるのです。
「そういえば昨日の写真に揚げ物あったもんなぁ…」と。

母手作りのお弁当の日もいつもと変わらず写真を送ってくる父。
昨日の晩ご飯からの流れを汲んだお弁当の中身を
こんな風に写真で確認しては
なんだか「ぽ」と、温かい気持ちになる自分がいる。
晩ご飯からの翌日のお昼のお弁当への流れ。
この日常感が何とも言えず心地いい。

しかしだ。どれをとっても美味しそうで困る。
徐々に写真の撮り方が上手になっている父。
毎日のようにご飯を撮って私に送っているからか
なんだか妙に腕を上げている。
なんという上達ぶり。
だからこそ、「困る」のである。
こんなに美味しそうな写真が毎回届いたら
食べたくなるに決まっているじゃないか~。

そして昨日もまたいつものように、晩ご飯の写真が送られてきた。
「あ、カレーライスだ‼︎‼︎」

そういえば、私の大好きな母のカレーライスが晩ご飯の時は
必ずといっていいほど写真が送られてくる。
しかも角度を変えての写真を数枚。
自慢か?
父よ、それは自慢なのかぁぁぁ~。

ちなみに最近は、朝ご飯の写真まで送られてくるようになった。

まぁそんなことを言っている私も
父が送ってくる実家のご飯写真をデータで残してあることは
秘密ですけどね。
時々妙に見たくなるんですよ、実家のご飯の写真が。
あの見慣れたおかず達のことを。
それくらい魅力があるってことなんですよね。
父が撮るご飯の写真ってのは。

そして私は父に、いつもこう返事をするのです。

「こんなの見たら、食べたくなるじゃん。」

そしてまた写真をしっかり保存する

私がいた。


ではまた。


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