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熊本地震被災日記

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熊本在住の NEWSALT記者が綴る被災日記
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【特集】「熊本地震」被災日記(6)~真の復興に向かって~

【特集】「熊本地震」被災日記(6)~真の復興に向かって~

物流やインフラは徐々に復旧し、熊本の人々は次第に元の生活を取り戻しつつあった。それにともなって避難所の役割も終わろうとしていたが、その後の生活の見通しが立たない人が多いのも現実だ。被災者が自立していくためには根気強く、長い目で見た支援が必要だと感じる。しかし「本当の復興」とは、どのようにしたら実現できるのだろうか。私自身が被災者として、ボランティアとして、この「熊本地震」と共に生活してきた日々を振

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【特集】「熊本地震」被災日記(5)~「一時避難」のその先に~

【特集】「熊本地震」被災日記(5)~「一時避難」のその先に~

震災から2週間以上が経過した5月初旬、熊本の街や道路、人々の生活は徐々に元に戻り始めた。

しかし、いまだに余震が一日に30回前後起こっており、避難所ではまだ多くの人々が不自由な生活を強いられている。

今週はゴールデンウィークということもあり、私は再び避難所へ支援に行くことにした。

5月2日(月) 避難所生活の終わりが近づく

この日、私は避難所となっている市内のある公共施設に来た。

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【特集】「熊本地震」被災日記(4)支援活動で笑顔が戻る、復興への兆し

【特集】「熊本地震」被災日記(4)支援活動で笑顔が戻る、復興への兆し

月21日木曜日、最初の地震から一週間が経った。

このころになると、食糧品や生活用品などの物資だけでなく、さまざまな支援が始まっていた。

この日私が支援にやってきた小学校では、理学療法士やヨガの講師が訪れ、エコノミークラス症候群を防ぐために、体操や近くを歩き回って運動をするよう促した。

別の小学校では、ボランティア団体が子ども向けに絵本の読み聞かせをしたり、おもちゃや落書き帳を使って子どもたち

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【特集】「熊本地震」被災日記(3) 避難所スタッフも皆「被災者」

【特集】「熊本地震」被災日記(3) 避難所スタッフも皆「被災者」



被災生活5日目、問題も多様に

自分が”被災者”になり、避難所で生活することなど、ほぼ全員が初めてのことだ。

だから避難所においてはさまざまなトラブルが起こった。

私が最初に訪れた小学校では支援物資の配布についてもめていた。

校長先生、教頭先生、町内会長、PTA会長、ボランティアスタッフが集まり、届けられた支援物資をどのように配分するか話し合っていた。

「……では、このように配分したい

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「熊本地震」被災日記(1) 前震と本震、熊本地震被災のはじまり

「熊本地震」被災日記(1) 前震と本震、熊本地震被災のはじまり

熊本で4月14日から続く大型地震。熊本に暮らす私は、生まれて初めて経験する大きな地震に生きた心地がしなかった。長いようであっという間に過ぎた、この1カ月。発生時から書き続けてきた記録を紹介したい。

4月14日(木)21:26 世界が揺れた、前震

1度目の大きな地震は自宅にいるときに起きた。

自分の足でまっすぐ立っていられないくらい大きな揺れだったので、近くのテーブルにつかまり、重心を低くした

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【特集】「熊本地震」被災日記(2)避難所生活で水・食糧の問題に直面

【特集】「熊本地震」被災日記(2)避難所生活で水・食糧の問題に直面

前震と本震を経て、避難所での生活が始まった。震災そのものを生きて乗り越えても、次に乗り越えなければならないのが、水や食糧といった物資の不足だ。

私たちが最初に直面した問題は飲料水だった。

市内ほとんどの地域が断水しており、スーパーやコンビニなどの飲料水は1回目の地震後にほとんど売り切れていた。

それからしばらくして、午前8時を過ぎた頃、区役所から一時的な食糧が届いた。

水を入れるだけで米が

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