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ヒストリー8 〜サルト、メーテルの木に到着!じいちゃんとの出会い〜

時間をサルトまで戻す。

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《サルト視点》
ドットチャイム家領内 

サルト『えっほ!えっほー!』

メーテルの木がある場所へ
ひたすら駆けるサルト。
目立つ街や、街道などは避けて
裏道や、森、茂みなどを利用して
移動している。
そうしないと、ドットチャイム家の衛兵に
見つかってしまうのだ。

しばらく走ると、大きな川に
さしかかった。ロンチ川だ。
この川は、ディッチ家領内や、
セルビー家領内にも繋がっていて
貿易としての役割も果たしている。

お互いの領内に行き来するには
境界所で通行証がいる。
商人などは、通行証と尋問だけで
行き来する事はできるが
その他の者は、通行証と尋問はもちろん
監視官もつけられるのだ。

それほど他家との溝は深い。

サルト『さぁて、今日も布舟通るかな?』

ロンチ川には、ロンチ橋も架かっている。
これはドットチャイム家領地内だけでの橋で
かなり大きな橋だ。

サルトは橋の真ん中まで行き、
橋の上から、船が来るのを待った。

サルト『あっ船だ!』

布船が流れに乗って、橋に近づいてきた。
10人ほどが乗れる船に
木の箱が何個か置かれていて
その箱の中には、大量の布キレが詰まっている。
商人が服の材料に使う為に、運んでいるのだ。

サルト『すー、はー』

深呼吸をするサルト。

サルト『よし!今だ!』

その瞬間、サルトは布船が真下に
通るタイミングを見計らい橋から飛び降りた。

【ズボッッ】

サルトの身体は、布キレの山に
すっぽり入っていった。

サルト(やった!成功だ。)

もし一歩でも間違えば
大事故に繋がるのだが・・

サルト(メーテルの木までは、船に乗った方が
あっという間に着くもんなぁ)

少し布キレの山の間から、顔を出してみるサルト。

サルト(誰も気づいていないや。)

船は、そのまま川の流れに乗り、進み続ける。

30分ほどで、船は停留所に止まった。
停留所には5人ほどいて
木箱を船から下ろしていく。

サルトが入った木箱は、最後に下ろされて
他の木箱の横に並べられた。

しばらくすると、船員の声が聞こえてきた。

船員『よーしっ、みんな休憩だ』

木箱の近くで仕事をしていた
船員も、休憩所に歩いて行く。

サルト『・・・』

布の山から顔を出して、周りを確認してみる。

サルト『誰もいないな。。よっと』

木箱からでたサルトは
メーテルの木に向かって走り出した。 
ここからだと、そんなに遠くはないのだ。

メーテルの木は、〝ザックの森〟の中にある
1番大きな木だ。
〝ザックの森〟は、ディッチ家と
ドットチャイム家の境界線近くにあって、
〝アベルの壁〟とも面している。

そうしている間にも
サルトは〝ザックの森〟に入ったようだ。

つづく。

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