金利上昇機運の中の”実効金利” 〜今後の資金調達は、ますます困難となる〜
経営者なら分かっている事ですが、表面金利と実効金利は違います。
2023年10月31日の日銀の植田総裁の1%容認発言から、市中金利が上がってゆくことは間違いないでしょう。
経営者にとって、厳しい経済環境ではますます金利の負担は大きく経営を圧迫するものです。
融資と預金、その両方を行っているところから、実効金利の考え方を実例で解説します。
実効金利の計算式は、次のとおりです。
(支払利息-受取利息)÷(融資総額-預金総額)×100
が会社にとっての”実効金利”です。
あなたの会社が、A銀行に対し、以下のとおりとします。
年間の平均融資残高1億円 平均融資金利2.5% 年間支払利息250万円
年間の平均預金残高5,000万円 平均預金金利0.1% 年間受取利息5万円
これであれば、実効金利は、以下のとおり計算されます。
(250-5)÷(10,000-5,000)=0.049 → 4.9%
つまり、銀行はあなたの会社から、実質的に245万円の利息を支払ってもらい、また10,000万円を融資する一方5,000万円を預けてもらっていて実質的に5,000万円を融資しているだけであることから、実質的に4.9%の金利で融資を行っていることとなります。
4.9%の金利だと、2.5%(表面金利)の融資から2ポイントも多く金利支払いをすることになります。
例えば、1億円の金利支払いのはずが1.96億円になる。
銀行の融資は、①コロナ融資の返済 ②不況業種の貸し渋り ③経営者の保証人免除 ④不動産の担保割れなども重なり、今後、一層厳しくなります。(別投稿で解説予定です)
さらに、予測される2024年〜2025年の”金融危機”を契機とした、銀行の大規模淘汰・リストラも融資業務に大きく影響して行きます。
今後、経営者にとって、”実質の金利”での融資の検討と”資金繰り”計画が、さらに重要な経営判断となります。
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