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ことばへの興味がさらに深まる本。『本日は、お日柄もよく』

ある日の雑談の時間。

ことばへの興味が増していること。
原田マハさんの本に出合ったこと。
たまたまこのことを話した時、ある社会人の方が勧めてくれた本。

『本日は、お日柄もよく』ぜひshinくんに刺さると思う!

ことばと本…編集者の方を対象とした本かな。
どんな言葉と出会えるのかな。
漠然と思考を巡らせながら、どこか引っかかる、そして惹かれる部分が大きかった。

数日後、企画したまちあるき企画を行った。
たまたま岡本太郎にインスパイアされたある書店を仲間と訪れた際、
表紙が超個性的な本に思わず目が留まる。
そう、その本がまさしくこの『本日は、お日柄もよく』。

読了後、さらにことばに対する興味が増し、新たな仕事への関心が高まった。
そして、今回も原田さんの本らしく、なんだか前向きな元気が湧いてきた。

今回はそんな、ことばを扱う仕事に関する本のお話。
なお、一部本書のネタバレを含みますのであしからず。

1,退屈なスピーチ、人目を惹くスピーチ

タイトルも表紙も超個性的な本書。
「本日は、お日柄もよく」なんて言葉、大学生の時に一度も使ったことなかったし、水引をデザインした本なんて見たことなかった。
調べてみると2010年に初版が発売され、2017年にはドラマ化もされたようだが、そのころはまだ原田さんの本の魅力と出合っていない時期。気になると思いながらも、いつの間にか忘却の彼方に消えていたのかもしれない。

そんな表紙を持つ本書だから、何か「おめでたい」ストーリーなのかな、なんて漠然と思いながら読み始める。

舞台は結婚式。ドッグワードにまみれたスピーチと、眠気と戦う主人公の戦いから物語は始まる。
えー、とかあー、とか、そうした言葉を入れるのがスピーチと考えている人が多いのではないかと思ってしまうほどの典型的なスピーチ。
こうしたスピーチを聞くときは、スピーチの内容よりもその数を数えてしまう。そんなスピーチあるあるまで盛り込んでしまう。ある種面白い。
まさか主人公が、スープ皿に顔を突っ込んでしまうとは予想もしなかったけど。

たまたま主人公が席を外したときに出会った女性。
かなり高圧的だと感じる部分もあったが、その人こそがスピーチのいわば「伝説の巨匠」。式の後半で彼女が行ったスピーチは、たどたどしさなし、ドッグワードなし、適度に笑いあり、状況を想起させる感情表現が多数あり、そして最後には感動にもっていく。

話し方ひとつでこんなにも与える印象が異なるのか。

衝撃を受けた主人公は、彼女に師事。本業を続けながら定時後に手伝い始める。しかしそれが主人公にとっての大きな転機のきっかけとなる。

もともとは総務で軽作業をしていた主人公だが、「あること」をきっかけに社長直々にブランティングの部署にオファー。それだけにとどまらず、「あること」をきっかけに本業を退職し、専門のスピーチライターの道へと進んでいく。

活動の幅も結婚式のスピーチにとどまらず次第にその領域は拡大し、最後には政治の世界で戦うまでに成長していく。

3,小さなきっかけが、やがて大きな成果を掴む

読了後感じたこと。
もちろん「ことば」に関する知識が増えたことは事実なのだが、それよりも「ピンチはチャンス、きっかけを逃さない」ことの重要性を強く感じた。

今回の話では、結婚式というハレの場でいわば「粗相」をしたことがピンチにあたる。家族ぐるみで付き合いがある幼馴染の結婚式という場で、全員からの視線を浴びてしまった主人公。それはまさに顔から火が出るような思いだっただろう。

もしそこで会場から出て真っ先に家に帰っていたら、その後の出会いはなかっただろう。また、そのピンチをしなければ、のちの師匠と出会うこともなかっただろう。

ひとつひとつの選択は未来への道標であり、その経験がピンチだったとしてもチャンスをつかむこともある。そしてそれがチャンスかどうかはその場ではわからず、後から結果としてついてくるもの。

進路に迷った末つかみ取ったチャンス。
期待と違う部分も見えてきているけど、この先は何が待っているかわからない。だからこそ人生は、おもしろい。

今回の物語でも原田作品らしく、期待通り僕に勇気を授けてくれる作品だった。仕事で辛さの沼にはまっていた自分を鼓舞してくれるような気がして、自分にもできるような気がして、なんだか前向きな気持ちになる本だった。
通勤電車で読みながら、ちょっと涙もろくなる瞬間もあった。

明日を信じ続けた結果、ゴールデンウィーク明けの仕事ではなんとか沼から抜け出すことができた。明日からもまた仕事が始まる。小さなチャンスを逃さず、明日からも頑張っていきたい。

そしてこのnoteも、誰かの一歩を踏み出せるチャンスとなれるように。ちょっとでも元気が出るように。
これからも毎週更新を続けていく。



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