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母恵夢 ポエム

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自由詩を集めました。 愛媛のお菓子ではないのですが、 ご賞味いただけたら嬉しいです。
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記事一覧

詩│願い事

詩│願い事

願い事

あまたにかがやく詩聖よ

あなたにだきしめられて

今宵は眠りたい

言葉たちの

星母子の光が

こまやかな粒子の流れとなり

ため息まじりな今日でも

明日への

言葉をつづり、織り成して

銀のベールを、やさしくかけて

________________________________

五月の新緑の光は聖母の輝きを放って
包まれてとても幸せだった。
そのとき届いたポエムを夜に読み

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詩│丸まる背中

詩│丸まる背中

不器用な雨がしとしとしとしと
降る夜は

猫のように丸まって眠りたい

不器用な雨に打たれている
あの人を思って

猫の様に丸まってあの人の
ぬくもりを思い出す

あの人の泣き言を

背中越しに聞いている

あの人の泣き言は

背中ごしでも愛おしい

ただ、こんな私が触れていいのか
戸惑う程の清い背中を感じていた

どうか
あの人の背中が真っ直ぐに伸びて

朝焼けが優しく照らしてくれますように

詩│六等星の願い事

詩│六等星の願い事

カーネーションの装飾が華やかな

昼間のデパートには

遠のいた君の心を

つなぎとめておくロマンチックな

言葉は売ってはいなかった

何処を探しても見つけられない

可愛いキッチン用品

最新のマッサージ器

流行りの多肉植物

私の気持ちを一時軽くしてくれた

私も一時だけでも君の心を

軽く出来たならいいのだけれど

明るすぎる夜の街

少し離れた工場地帯

車のヘッドライトが近づいては遠

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詩│夢の国

詩│夢の国

明日から天気予報は雨
雲が薄墨のように滲み広がっていく
仕事帰りの車、渋滞の向こうの空
夕日が雲間を照らして
薄明の銀色の梯子を降ろしている
カーラジオからはゆっくりと流れるはじめて知った歌手の澄んだ歌声
住宅地前の交差点に入ると下校途中の子供らが見える
あのこの顔が浮かんで
親しい友人の顔も浮かんだ
ゆっくりと帰ろう
薄明と銀色の梯子をみながら
あなたをおもった
雲間の光に顔が浮かぶよ
きっと笑

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詩│ゆれる

詩│ゆれる

あなたの好きだった花が
水面にゆれる

雨粒に輪を描き
水玉の涙 広がる

あなたの好きだった花が
水面にゆれる

木漏れ日に重なり

微笑みゆれる

あなたの好きだった花が
水面にゆれる

わたしの心を優しくゆらす

詩│シャボン玉の恋を

詩│シャボン玉の恋を

何故言えない 自分の拙さ
砂利道歩き 口唇を噛む

ラジオから 甘ーいラブソング
真顔で聞いて せんべいの音が
響く夜

心を砕いて恋すればだれもかも
辛いこともあるよね 
知ってる なのに
この恋心捕らわれ
手放せなくなる それも辛い

心を踊らせてよ私の手を取って
水平線の見える海辺で
さざ波の音だけで心を踊らせて

心の言葉はシャボン玉

シャボン玉とばそう

シャボン玉とばそう

わたしの

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白い海原

白い海原

時雨、時雨て 夕刻に霧雨が止んだ

子供の鼻詰まりが苦しいというので

耳鼻科にゆく

昨日まで両方の鼻の穴に詰めていた

白いティッシュ

沢山の息吹と鼻水と鼻詰まり

花曇りの街角は

くれてゆく

ゆっくりとくれてゆく

時雨明けの春宵は

鳥たちと虫の声少しずつ

合わさって

くれてゆく 

ゆっくりとくれてゆく

なめらかな山並みの上を

白い霧が昇る

くれてゆく 

ゆっくりとくれ

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詩│その手いっぱいの春

詩│その手いっぱいの春

春の植物園

木々や草花笑ってる

閉め切ったままだった

北の窓を開けたかのように

心の中をあたたかな風が吹く

蛇行しながら歩く子供のように

緑深まる芝山を歩いていけば

黄色の蝶々も足にまとわり戯れる

(君と楽しくお話したいのよ)

タンポポの白いドームが可愛くて

フ―っと息を吹きかける

歩けぬ草花も風と共に旅をする

大きなくすのきの下で

あの子の帽子は裏返り

木の葉や花びら

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詩│君に届け

詩│君に届け

午後五時の

チャイムの音は

恋は水色

夕暮れ前の白銀の光が

川の表面を撫でながら

キラキラサラサラと流れる

五月の川辺は眩しくて

川の深さを忘れます

青い空には鯉のぼり

青い青い鯉のぼり

少年だった君の笑顔に

光る影

柳の優しい木陰で読書する人

その横を

マラソンランナー風を切る

五月の川辺は無口ですが

進んで行きます

木々の緑に日が差して

冴えわたる緑の光明と

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詩│五月雨の午後

詩│五月雨の午後

夕刻の雨の匂いを風運ぶ
嵐の雨でも優しい歌よ

五月雨が
雨に打たれて雨粒を
ゆっくり落として
跳ね返る
五月の木の葉は鍵盤の音

藤の花
川面に映り流れ行く
水鏡に映る心は魅せられて
ただ揺れていた

驚いて
吸い込まれるは滝の音
白い光を織り成して
いつのまにまに大海原へ
深く豊かな海となれ

白い紙と
ペンで作った小舟を浮かばせ
あとは風に吹かれて進む
それだけでいい
幸せのイメージにつつま

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詩│ファの道

詩│ファの道

入学式の練習をしている吹奏楽部

窓の開いた校舎からよく響くファーの音

曇天によく響く

あなたの歌声を聞いて少し涙が出たのは

嘘ではなく本当で、、

時雨れてきたのも嘘ではなく本当で、、

傘をさしました

それからわたしはファーの音を聞きながら

少し傘が宙に浮かんでいく気持ちになりながら

足でズンズンと歩いていけたのでした

そういえば

ファーはファイトのファだったでしょう

そうい

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詩│白猫の矢

詩│白猫の矢

早朝 東の空 紺色の雲間 明けに照らされた光は

扉が開かれ放たれた白猫

わたしの目に真っ直ぐに飛び込んでくる

雨樋からの雫の音と小鳥の囀りが混ざり

西の林には濡れ青葉が深呼吸をして輝きを増す

よくわからないけれど あなたに出会ってから

わたしは多分同じ射型(しゃけい)をずっと変えていない

どんな時も 

どんな空模様でも

あなたのハートの真を射抜こうとする型だ

風が強くて夕陽が雲

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詩│白い春の満月

詩│白い春の満月

白い春の満月は

とても 美しく咲いていた

ただただ 美しかった

霧雨に光る街灯

虫の声とともに霧が昇っていく夜

輪郭が滲んで朧気に浮かぶ

白い春の満月は

たくさんの溜め息をほほ笑みにかえ

あたらしい詩を唄うあなたのように

美しかった

わたしはあなたの新しいほほ笑みに

魅せられて

洗われた

月光が春の雨のようにそっと優しかった

七色の雨

七色の雨

春の雨 燦々と七色に光る

春の雨 サラサラと公園の

滑り台を滑り落ちる

瞬き 消え失せ また流れ

光りの流れを纏わせて

雨にうたれても傘をささなかった
あの頃を

思い出す

なんどもやり直せるような

そんな雨に燦々とうたれて

焦りや悲しみ、自意識さえも

流れて七色に光れ

風に広げる 真っ白な

シャツを晴れた日に干し上げたら

春の雨

濡れたまま自転車をこいで

春の夢うつつ

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