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野坂美帆
2023年7月19日 09:54
「今振り上げたこの手が、一時間前にはあの本を読んでいたのではなかったか。」子供は天使じゃない。大人も神様じゃない。でも人間だから、支え合い、差し伸べて、抱きしめる手を持っているのではないのか。どこにでもあるような新興住宅地を舞台に、子供たちとその周囲にいる大人の姿を描いた五篇の連作短篇集。テーマは、児童虐待。淡々とした筆致で、日常を紡ぐように、悲しい現実に晒される子供、また晒された過去
2023年7月10日 19:01
いつか午前4時に、会えるといいなと思っている。北海道に友達がいて、時々本を贈りあったりしている。これは、彼女からもらった、たぶん最初の一冊じゃないかと思うのだけど、定かではない。中国人フランス語作家、シャンサと、フランス人日本在住ビジネスマン、コラスが、長い手紙を交わしながら文化について考えを添わせていく。お互いの持つ歴史は、経験としてかけ離れているように見える。なのに、二人は
2023年7月15日 20:42
なんと言ったらいいのかな。たぶん、誰かにこの本どう?って聞かれたら、自分の中にある愛を受け止められる一冊ですと答えると思う。アメリカ人の父と日本人の母を持つ、シリアからの養子の女の子が主人公。彼女はずっと自分のいる場所を受け入れることができないでいる。受け入れられないことを恥ずかしく、傲慢に感じながらも違和感を持ち続けている。そんな主人公・アイが、自分の世界の輪郭を掴む過程を描いた物語