(書評)孫子 金谷治訳 岩波文庫

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・本との出会い
・本の構成、内容
・本のより詳しい内容

・本との出会い
ふと立ち寄った書店で、古典として名高い孫子を手にとって購入したが、積ん読になっていた。
今回NewsPicks マガジンVol2 の必読書特集で、前田裕二氏が推奨しており今回読了し、書評を書くに至った。

・本の構成、内容
13篇に分かれていて、第一篇の計篇、第二篇の作戦篇、第三篇の諜攻篇が総論を示しており、
その続きの3篇は戦争の戦術原論を扱っている。第七篇以降は実戦での戦術論が展開されている。
章としては、軍事・九変・行軍・地形・九地・火攻・スパイに関するものがある。

全篇通しての特徴は、以下の3つがあるだろう。
1. 好戦的な内容ではない
 軽々しく事を起こすことを戒め、国力の消耗を考えて長期戦を否定している。
2. 現実主義的な内容
 後半の章では行軍・地形・九地などで戦場の様相に応じた処置を説明している。
3. 主導性を把握することの重要さが強調されている。
 敵の機先を制することの重要性やわが形を人に知らせないとする主張がある。

本篇ページ数は185あるが、孫子のテキストは、原典、日本語解説、現代語訳の3つが併記されていて、
実質的な読み物は1/3に当たる60ページ弱なので、読書時間確保が難しいビジネスマンなどにもすぐ読める本。

・本のより詳しい内容
早速各篇から私が気になった所を紹介していく。
第二篇”作戦”でのメッセージは、戦争をわきまえた将軍は、人民の生死の運命を握るものであり、国家の安全か危険かを決する主催者になる。
第三篇”諜攻”では、勝利を知るために5つのポイントを紹介しており、
1. 戦ってよいときと戦っていけないときをわきまえる
2. 大軍と小勢の用い方を知っておく
3. 上下の人々が心を合わせる
4. 準備を整えて油断している敵に当たる
5. 将軍が有能で主君が干渉しない

第四篇”形”では、戦争の原則として5つの大切なことを紹介しており、
1. 度 ものさしではかる
2. 量 ますめではかる
3. 数 数えをはかる
4. 称 くらべはかる
5. 勝 勝敗考える

第五篇”勢”では、特徴的な教えとして、混乱は整治から生まれ、おくびょうは勇敢から生まれ、軟弱は剛強から生まれ、
つまり数と勢と形に留意してこそ治、勇、強が得られる。

第六篇”虚実”での締めは、態勢をとる極致は無形になることがあり、智諜すぐれた者でも考えを慮ることができないとある。
そう、戦ってうち勝つありさまには、二度とくりかえしが無く、あいての姿勢に対応して窮まりがない。

第八篇”九変”では、智者の考えは、1つのことを考えるのに利と害をまじえ合わせて考える。
そうすると、利益あることに害になる面も考えるので、仕事はきっと成功するし、
その逆に、害のあることに利点も考えるので、心配ごとも解消するという心構えが参考にある。

最後に第十一篇”九地”では、戦争上手な人は率然があり、それは常山にいる蛇のように、
頭を撃つと尾が助けにくるし、尾を撃つと頭が助けに来るし、腹を攻撃すると頭と尾がかかってくる。
ここから軍隊を勇敢に整えるには、治め方によるし、十分な働きをするのは土地の形勢の道理による。


尚、今回の書評も活かし、11/4にNPマガジンオフ会、読書会を開催します。

オフ会(先着5名限定) NewsPicks マガジン読書会@仙台
https://eventon.jp/14995/

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