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そのサッカーを疑え!

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#鹿島アントラーズ

リバプールに2-5で先勝したレアル・マドリードの非・銀河系軍団的サッカーに学べ

リバプールに2-5で先勝したレアル・マドリードの非・銀河系軍団的サッカーに学べ

 レアル・マドリードが通算14度目の優勝した昨シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)は、史上例を見ない珍しい大会だった。レアル・マドリードは決勝トーナメント1回戦から決勝までの4試合、下馬評で相手にすべて劣っていた。パリ・サンジェルマン(決勝トーナメント1回戦)、チェルシー(準々決勝)、マンチェスター・シティ(準決勝)、リバプール(決勝)がその相手になるが、番狂わせ発生と騒がれなかった理由は、レア

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岩政新監督の古典的なサッカーに無反応な日本が、鹿島以上に心配になる

岩政新監督の古典的なサッカーに無反応な日本が、鹿島以上に心配になる

 Jリーグをパッと眺めたとき、5バックになりやすい3バックと、両サイドにサイドアタッカーが各2人構える一般的な4バックとに布陣を大別することができる。

 サンフレッチェ広島、名古屋グランパス、北海道コンサドーレ札幌、湘南ベルマーレ、ジュビロ磐田を前者だとすれば、横浜F・マリノス、川崎フロンターレ、セレッソ大阪、浦和レッズ、FC東京は後者になる。

 サッカーの色がそれぞれで大きく異なることは、ス

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森保ジャパンは川崎フロンターレのサッカーを見習うべし

森保ジャパンは川崎フロンターレのサッカーを見習うべし

 鹿島アントラーズ(2016年)→川崎フロンターレ(2017、2018年)→横浜Fマリノス(2019年)。過去4年、Jリーグの優勝チームは、上記のように推移してきた。昨季は横浜が、鹿島(3位)、川崎(4位)の間に割って入り、2強時代を終焉に導いた。

 鹿島、川崎の巻き返しはあるのか。横浜の勢いは続くのかーーとは、過去4年の関係性に基づく今季の見どころになる。

 この中で鹿島はスタートダッシュに

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動かぬ岩を動かした過去の名采配に学べ。鹿島のACL敗退に代表監督に求められる資質を見た

動かぬ岩を動かした過去の名采配に学べ。鹿島のACL敗退に代表監督に求められる資質を見た

 最近実際に見た試合で一番面白かった一戦はと問われれば、鹿島アントラーズ対広州恒大(アジアチャンピオンズリーグ準々決勝)と答えるつもりだ。第1戦(アウェー)の0-0という結果を受けての第2戦。カシマスタジアムで行われたホーム戦である。結果は1-1。鹿島はアウェーゴールルールに泣いたわけだが、鹿島に縁もゆかりもない筆者は、シンプルに第3者的な視点で楽しむことができた。まさに、アウェーゴールルールに基

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永木亮太に見るサイドバックと守備的MFの親和性

永木亮太に見るサイドバックと守備的MFの親和性

 怪我で戦列を離れていた内田篤人が4ヶ月ぶりに復帰するという。

 鹿島アントラーズの右サイドバック(SB)と言えば、一昨季(2017年シーズン)まで西大伍がスタメンを張っていた。Jリーグのベスト11にも選ばれる日本代表級の選手がいたにもかかわらず、鹿島は翌2018年、ドイツで長年プレーした内田篤人をチームに迎え入れ、西大伍と競わせた。

 西大伍は交代出場を含めて23試合に出場。内田篤人の12試

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先発わずか16試合でベスト11。SB西大伍の特異性と日本サッカーとの関係性

先発わずか16試合でベスト11。SB西大伍の特異性と日本サッカーとの関係性

 昨季のJ1リーグに先発出場したのは16試合。全34試合の半分以下だ。途中交代を含めても23試合。にもかかわらず堂々、Jリーグのベスト11に選ばれた。

 もちろんこの出場試合数は、他の10人と比較しても断然、低い。調べたわけではないけれど、歴代のベスト11の中でも最低であるに違いない。不思議なことは、西大伍のベスト11選出に、それでも違和感を抱かせないことだ。その選択はきわめて妥当。僕が選定委員

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鹿島対グアダラハラを見て想う。中盤天国の終焉とドリブル天国への期待

鹿島対グアダラハラを見て想う。中盤天国の終焉とドリブル天国への期待

 今年、2018年はどんな1年だったのか。ロシアW杯から半年が経過したいま、クラブW杯初戦の鹿島アントラーズの戦いを見ると、方向性を見つけ出せずにいた暗いトンネルから脱出できたような明るい気分になる。

 鹿島がクラブW杯初戦で逆転勝ちしたグアダラハラは、メンバー全員がメキシコ人選手で固められていた。大きな選手の少ない、日本人が親近感を抱きたくなるチームだった。

 日本とメキシコ。それぞれの代表

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来年の見どころは「浦和対神戸」といいたくなる理由

来年の見どころは「浦和対神戸」といいたくなる理由

 ベガルタ仙台を倒し天皇杯を制した浦和レッズ。獲得した通算タイトルはこれで8となった。この冠数はJクラブ全体では3位。2位は9冠のガンバ大阪で、1位は先日、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)を制し20冠に輝いた鹿島だ。

 鹿島の断トツぶりが目に止まるーーという見方が一般的だと思うが、2位以下を実績で大きく引き離している割には、ビッグクラブ的な雰囲気に欠けることも事実。その点では浦和に劣る。

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Jリーグの強化ポイント。まず選手か、まず監督か。世界的な評価にしたがえば

Jリーグの強化ポイント。まず選手か、まず監督か。世界的な評価にしたがえば

 開幕当初から首位を走り続けてきたサンフレッチェ広島だが、ここに来て勝ち点の伸びが鈍り、9月26日現在、2位川崎フロンターレとの差は1ゲーム差(3ポイント)まで縮まった。逆転は現実味を帯びている。

 また昨季、最終節まで川崎と優勝を争った鹿島アントラーズも、先の日曜日、札幌を2-0で下し4位に浮上。降格争いの混沌を尻目に、両チームはしかるべきポジションに収まりつつある。

 昨季、優勝した川崎は

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日本に望まれるのは、巧いのに巧さをひけらかさない奥ゆかしさ。

 ボールの奪い方が巧いサッカーを見るたびに思う。日本が目指すべき道はこれだ、と。

 最近では今季のヨーロッパリーグ(EL)を制した、アトレティコ・マドリーだ。シメオネが監督に就任してから、ずっと続く傾向でもあるが、そのボールの奪い方は芸術的でさえある。

 メンバーには好選手が名を連ねている。技術的に高度な巧い選手で占められているが、彼らは「私たちは巧いです」と、技量をひけらかそうとしない。きわ

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