わたしを離さないで
カズオ・イシグロ 2006年
・あらすじ
・感想
ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロさんの作品のひとつです。前々から、名前だけは聞いたことがあり、いつか読みたいぐらいで考えていた作家さんの一人です。今回、家族がたまたま図書館で借りてきていたので、頼んで貸してもらいました。
キャシーとトミーという主人公の二人の男女はクローンとして生まれ、最終的に臓器提供をすることが使命です。それは自身の死を意味します。最初はその運命に抵抗せず、ひしひしとその時を待ち続けているようでしたが、徐々にお互い好きになってしまい恋愛関係に、「なぜ抵抗しないのか?」と二人は疑問に思うようになりました。そのことから「臓器提供を遅らせて欲しい」と頼みます。
第一印象としてなかなか変わった話でしたね。やることなすことが衝撃的すぎて、とても面白かったです。また、ただ面白いだけに収まらず、そこには怖さも含まれているように感じました。
元々、臓器提供のために生まれてきた人たち。どのみち若くして死ぬことは分かっています。これを知った時にかなり残酷な話だと思いました。いろいろな作品を読んだり、見たりしてきた中で、余命宣告を受けた人が、残された人生で何をして楽しむのかということを多く目にしてきましたが、平常心ではおれないだろうなと感じます。自分がその立場に立った時、「死ぬのなんて嫌だ、生きたい」と思うのが普通にも感じます。しかし、こういった形で、死というものが身近になった時、「もうあきらめがついているのかな」とも思ったり…。そう考えると、余命宣告とか死ぬまでの時間が分かるって、心身ともに相当なものなのだと感じました。
何も知らないことは、自分で考えて行動しないといけなくて、失敗したときの不安も多いかもしれませんが、時にはそれが幸せなこともあるのだろうなと感じる作品でした。
2014年に、蜷川幸雄さん演出、多部未華子さん主演により舞台化、さらに2年後の16年にはTBSでテレビドラマ化されました。
・書籍情報
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