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週1しかグラウンドが使えない開成高校が勝つ秘訣『弱くても勝てます』

開成高校は、毎年200人弱の生徒が東大に進学する超進学校です。
1学年400人なので、4~5割程度の生徒が東大に進学するというワケですね。



進学校ゆえか、開成高校の野球部は週に1回しかグラウンドが使えません。
そんな野球部の戦績を見てみましょう。


1回戦/開成10-2都立科学技術高校 (7回コールド)
2回戦/開成13-3都立八丈高校(5回コールド)
3回戦/開成14-3都立九段高校(7回コールド)
4回戦/開成9-5都立淵江高校
5回戦/国士舘高校10-3開成(7回コールド)

『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』
p18


激戦区と言われる東京大会で、ベスト16・・・・に入っています。

この結果を見ると、野球部員は、


という生徒ばかりだど想像できませんか。




でも、違います。


勝敗を分ける上で最も重要なポジション』と言われるピッチャーを務める生徒は、

「実は、僕は逆上がりもできないんです」

『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』
p24

と告白します。


では、なぜそんな開成高校野球部は、弱くても勝てる・・・・・・・のでしょうか?


『弱くても勝てます』には、開成高校野球部が勝利する秘訣が書かれています。


高橋秀美
『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』
新潮社
2014年3月1日


【注意】
以下、引用個所はすべて『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』の文庫版です。

1.開成高校とは


開成高校は、国際数学オリンピックで世界1位になったり、



資金を集めて難民問題に取り組んだり、

と、すっげぇ優秀な生徒が通っている学校です。(個人の感想です)



noteのフォロワー数が7万人を超える落合陽一さんも開成高校の出身です。


2.弱い野球部


ただ、野球部に専用グラウンドはなく、週に1回しかグラウンドが使えません。




当然、弱い。

ゴロが来ると、そのまま股の間を抜けていく。その後ろで球拾いをしている選手の股まで抜けていき、球は壁でようやく止まる。

p14



キャッチャーは、練習試合でピッチャーの球を取ることができません。

普通のストライクも無理な体勢で捕ることになり、後逸した球が次々と審判に当たり、しまいには審判にまで「しっかり捕れ!」と注意される始末

p120



外野を守る3年生は、

内野は打者に近い。近いとこわいです。

p15

と言ってしまいます。



キャッチボールでもエラーするレベルなので、ポジションの決め方は実にシンプル。



ピッチャーに「投げ方が安定」が求められるのは、ストライクが入らないと試合が成立しないから、とのこと。
納得できますが、シンプル過ぎませんかね・・・・・・。


ただ、前述のとおり開成高校は勝っています。
公式戦で5回戦まで進んでいます。




青木監督は、

同じことをしていたらウチは絶対に勝てない。普通にやったら勝てるわけがないんです

p18

と言います。
では、その普通ではない戦法・・・・・・・・とは?


弱くても勝てる秘訣❶
〇〇をしない


野球の練習といえば、私は厳しい守備練習をイメージします。


下記ツイートの『秋田県立平成高校野球部』の守備練習を見ていると、「相手に1点もやらないぞ!!」という気迫が伝わってきます。


しかし、開成高校は守備の練習をほとんどしません・・・・・・・・


なぜか?


青木監督は、「守備の上手さは、案外差が出ない」と言います。

1試合で各ポジションの選手が処理する打球は大体3~8個。そのうち猛烈な守備練習の成果が生かされるような難しい打球は1つあるかないかです。我々はそのために少ない練習時間を割くわけにはいかないんです

p23


あっ、そう言われるとそうなのかも・・・・・・。
素人である私は納得です。


と思われた方もいかもしれません。



監督はそのこともわかっていて、

『10点取られる』という前提

p20

で試合を考えています。


10点も取られて大丈夫なのか?と思ったら、その下にちゃんと書いてありました。

一気に15点取る

p20

一気に15点取る!?
それができないから、どのチームも苦労しているのではないんでしょうかね・・・・・・。


弱くても勝てる秘訣❷
一気に点を取る


もう一度、開成高校の戦績をご覧ください。

1回戦/開成10-2都立科学技術高校 (7回コールド)
2回戦/開成13-3都立八丈高校(5回コールド)
3回戦/開成14-3都立九段高校(7回コールド)
4回戦/開成9-5都立淵江高校
5回戦/国士舘高校10-3開成(7回コールド)

p18

大量得点・・・・でコールド勝ちしています。

コールド勝ちしてしまえば、守備の回数が少なくて済みます。
そうすれば、守備が下手でも失点する機会は減るわけなのです。


問題は、どうやって大量得点を取るか・・・・・・。

開成の練習はそのほとんどがバッティングだった。ピッチャーの投げる球をバッターが次々と打つ。

p24


守備練習をしない分、攻撃の練習に時間とエネルギーを注ぎ込む、という作戦ですね。





それも、バントやサインの練習は、なし。
ひたすら「打つ」練習です。

一般的な戦略をするには、足が速くなくてはいけない。フォアボールを見定める選球眼、バント技術や状況の判断力も必要になります。
これらは練習の積み重ねですからね。ウチの場合は積み重ねるだけの時間もありません。となるとやはり打撃です。 『思い切り飛ばす』 と言い続けたほうが目標も単純で明快ですから

p42


たしかに、素人の私が野球をするとしたら、バントや盗塁などの小技を考えてもうまくできそうにないです。

「バットを思いっ切り振れ!!」と言われた方が伸び伸びプレーできる気がしますね。


部員なんて、

エラーしても打ちゃいいや

p84

と開き直るほど・・・・・・!


とはいっても、週に1回しかグラウンドが使えませんので、打撃練習が可能な時間も限られています。


そこで自主練に励むのです。
学業と両立・・・・・しながら。

まず6時から7時の間に勉強して素振り。(中略)食事を終えると7時半から8時半まで勉強して素振り。その後風呂に入る。(中略)そして9時から10時まで勉強して素振りした後に、その日の弁当箱をきちんと洗う。

p126


涙ぐましい努力を積み重ねる野球部員。



しかし、どこの学校の野球部も必死に練習しています。



ましてや、開成は守備に不安があるのです。
大量得点を取らなければなりません。

そこでの秘策が、打順・・

『10点取られる』という前提で一気に15点取る打順を考えなければいけないんです。

p30

一般的な打順と言えば、次のような具合でしょうか。



しかし開成の青木監督の考え方は違います。


私は青木監督の作戦を読み、「これがハマれば、たしかに15点取れるかも・・・・・・」と思いました(事実、試合で大量得点を取って勝っていますからね)。


なんと、

ドサクサで一気に大量得点

p66


と書いてあるのですが・・・・・・。


その驚きの打順、ぜひご自身の目でお確かめください!



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【書誌情報】(文庫版)

書名:「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー
著者名:高橋秀美たかはしひでみね
出版社:新潮社
ページ数:241
出版年月日:2014年3月1日
ISBN-10 ‏ : ‎ 4101335559
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-410133555

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