牡鹿戸

【Oshikado】

牡鹿戸

【Oshikado】

マガジン

  • ●散文、雑記、詩っぽいの。

    ギンフルマの青いやつの延長とか

  • ◇撮ったやつ

    自分で好きで撮影したやつ。

  • ◎短編 のようなものとか

    短編小説っぽいもの。のようなもの。

  • ☆コント  のようなものとか

    登場人物2人以上のギャグ的・声劇向け掛け合い台本がメイン。たまに1人向けの読み物系ネタも。

記事一覧

日記 2024.4.29

 数値がリアルタイムでグラフ化され、数秒おきに更新される。  それは実体世界の何かの観測結果を示しているのだけど、表示されるのは数学Iのテストの問題用紙みたいな、…

牡鹿戸
1日前

そもそも俺は「人に嫌われている」といつから言い始めたのだっけ。

生まれてすぐ、ではないよな。

いつから「人に嫌われている」と感じるようになったのだろう。

いつから「人に嫌われている自分」という意識で自分自身を捉えるようになったのだろう。

牡鹿戸
8日前

夜を
信頼している
気を許してる

夜が来ると
「悲しい」とか「寂しい」とか
つい好きに吐いてしまう

夜なら
受け止めてくれると
信じきってるから

けど夜のほうは
僕に
何も教えたりはしない

夜は
広い世界を見渡していて

もっとも信頼できる人たちにだけ
大切な話をしている

牡鹿戸
12日前
1

「こんなに廃墟や空き家があるんだから、1つくらい秘密基地にしてみたいもんだよな」

「そんな余裕があるなら離れなよ。こんな……」

「大切な人がまだ残ってる」

「……せめて、いつまで探すか決めない?」

「いつまでも」

「死ぬ気?」

「いや。これこそ生きる気というやつさ」

牡鹿戸
2週間前

おととしの末に書いたすずめの感想、長くて下手で読みにくくて酷い。
今夜の地上波放送を機に書き直そうかとも思った。
けどやっぱり、これはこれで当時の自分の記録だから、残しておくしかないのだった

牡鹿戸
3週間前
1

2024.4.4

 きのう。  やる事がなかった。  家にも居られない日だった。  映画館へ『52ヘルツのクジラたち』を観にいった。  原作が小説なのは知っていたけど読んだことはなく、…

牡鹿戸
3週間前
3

言いたかったことは言えないまま、書きたかったことは書けないまま。

2016.2〜2024.4  言いたかったことは言えないまま。  書きたかったことは書けないまま。  好きでもないものを「好きです」と言ってみたり。  つらくもない仕事を「も…

牡鹿戸
4週間前
3
+1

2024.03.29

牡鹿戸
1か月前
1

平行する2本の飛行機雲は
色眼鏡を通せば春めいて見える

はじまりが違うだけで
同じ目的地へ飛んでゆく

それを
「寄り添っている」と表現するには

まだ少し勇気がたりない

牡鹿戸
1か月前
1

多分
バレたんだ

生きていないこと
死者の影ばかり追っていること

樫の木でできた人形の
床にゴトリと落ちる音

牡鹿戸
1か月前

よるクッキー。

夜になって 冷えてきて 何時間も ぼうっとしてしまった ひとりきりの夜は 子供のころの「夜」と ずっとひとつづきの ひとつの「夜」な気がする 実感や 時間の感覚は 昼…

牡鹿戸
1か月前
4

そんなことはわかっている、そんなことはわかっている。

そんなことはわかっている そんなことはわかっている ぼくが 心からこの世に馴染めず いやな顔をして歩いていたら あの人は きっとぼくを見て だまって悲しい顔をするの…

牡鹿戸
2か月前
1

心の傷を最初に「傷」と表現した天才がいる。

牡鹿戸
2か月前
2

悲観的晩夏妄想。

2013.08.22  感傷と追慕のほかに感情があっただろうか。  悲しむことをやめたら僕はとても暇になるのじゃないかと思う。  心に何かが入っていた試しがない。  あって…

牡鹿戸
3か月前
3

他人の欺瞞を許さない者が
自己の欺瞞に耐えられるはずもない

スカイツリーの下の人為的なシタマチ
落ちつける椅子ひとつ見つけられない

遊離目的自動航行
無意識にエスカレーターを次々と乗り継ぐ

なぜ自分の無意識は
上へ 上へむかうのでしょう

牡鹿戸
3か月前

「伝えやすさのために言葉を削る」みたいなことを、いくらかポジティブに捉えられるようになった一方で

そこで削られてゆく、絶対に他人に伝わったり受け入れられたりしないであろう感覚や感情に執着していた自分を喪失したような気がしてたまに寂しい

なお、伝わりやすさではない

伝えやすさ

牡鹿戸
3か月前
1

日記 2024.4.29

 数値がリアルタイムでグラフ化され、数秒おきに更新される。
 それは実体世界の何かの観測結果を示しているのだけど、表示されるのは数学Iのテストの問題用紙みたいな、シンプルな白と黒の画面。繰り広げられる微妙な変化に、規則性や意味を見出そうとしたけど、ほんの1日見ただけでは全く何もわからない。
 そのまま新しい1日が終わった。
 無力さを感じた。

 池の鯉を眺めているのとほとんど変わらなかったなぁ、

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そもそも俺は「人に嫌われている」といつから言い始めたのだっけ。

生まれてすぐ、ではないよな。

いつから「人に嫌われている」と感じるようになったのだろう。

いつから「人に嫌われている自分」という意識で自分自身を捉えるようになったのだろう。

夜を
信頼している
気を許してる

夜が来ると
「悲しい」とか「寂しい」とか
つい好きに吐いてしまう

夜なら
受け止めてくれると
信じきってるから

けど夜のほうは
僕に
何も教えたりはしない

夜は
広い世界を見渡していて

もっとも信頼できる人たちにだけ
大切な話をしている

「こんなに廃墟や空き家があるんだから、1つくらい秘密基地にしてみたいもんだよな」

「そんな余裕があるなら離れなよ。こんな……」

「大切な人がまだ残ってる」

「……せめて、いつまで探すか決めない?」

「いつまでも」

「死ぬ気?」

「いや。これこそ生きる気というやつさ」

おととしの末に書いたすずめの感想、長くて下手で読みにくくて酷い。
今夜の地上波放送を機に書き直そうかとも思った。
けどやっぱり、これはこれで当時の自分の記録だから、残しておくしかないのだった

2024.4.4

 きのう。
 やる事がなかった。
 家にも居られない日だった。
 映画館へ『52ヘルツのクジラたち』を観にいった。
 原作が小説なのは知っていたけど読んだことはなく、あらすじも知らずに行った。

 これは映画の感想や評価を述べるものではない。
 日記で、ちょっと虚構も混じっている。

 上映館はよく行くにぎやかなシネコンではなく、行き慣れない古い映画館のほうだった。
 電車に乗って、駅で降りた。

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言いたかったことは言えないまま、書きたかったことは書けないまま。

2016.2〜2024.4

 言いたかったことは言えないまま。
 書きたかったことは書けないまま。

 好きでもないものを「好きです」と言ってみたり。
 つらくもない仕事を「もう毎日大変ですよ」と言ってみたり。
 適当な資料ひっぱって文字数稼いで、書き連ねて、ふと俯瞰して虚しくなって。

 「ああここに"伝えたいこと"なんか何1つないな」

 それでも"伝えたいこと"を太字にする作業をやめない。

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平行する2本の飛行機雲は
色眼鏡を通せば春めいて見える

はじまりが違うだけで
同じ目的地へ飛んでゆく

それを
「寄り添っている」と表現するには

まだ少し勇気がたりない

多分
バレたんだ

生きていないこと
死者の影ばかり追っていること

樫の木でできた人形の
床にゴトリと落ちる音

よるクッキー。

よるクッキー。

夜になって
冷えてきて

何時間も
ぼうっとしてしまった

ひとりきりの夜は
子供のころの「夜」と
ずっとひとつづきの
ひとつの「夜」な気がする

実感や 時間の感覚は
昼の世界の舞台装置

暗転したら
ただ暗闇への親しみと
毛布のような自己憐憫
そればかりになる

それで
スタンドライトをつけた

クッキーがあった

昔いた工場のプレス機みたいに
口を縦に大きく動かして
なるべくざくざくと
音が

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そんなことはわかっている、そんなことはわかっている。

そんなことはわかっている、そんなことはわかっている。

そんなことはわかっている
そんなことはわかっている

ぼくが
心からこの世に馴染めず
いやな顔をして歩いていたら

あの人は
きっとぼくを見て
だまって悲しい顔をするのだ

悲しい顔を
させてしまう
それが憂鬱で

まったくよくなかった
あの人が
悲しい顔をするのはまったくよくなかった

でも
何のイメージもつかめない

窓ガラスにもメガネにも
水滴がまとわりついてよく曇る

駅前のぼこぼこした歩

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心の傷を最初に「傷」と表現した天才がいる。

悲観的晩夏妄想。

悲観的晩夏妄想。

2013.08.22

 感傷と追慕のほかに感情があっただろうか。
 悲しむことをやめたら僕はとても暇になるのじゃないかと思う。
 心に何かが入っていた試しがない。
 あってもそれは穴だらけで、いつも空気をなめているばかりのような。

 たとえば。
 夏は、
 いっぱい死ぬ季節だ。

 セミなど生きているうちはどこにいるのか、僕にはよくわからない。ただいつも激しく空気を振動させ、石を震わせ、木々を

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他人の欺瞞を許さない者が
自己の欺瞞に耐えられるはずもない

スカイツリーの下の人為的なシタマチ
落ちつける椅子ひとつ見つけられない

遊離目的自動航行
無意識にエスカレーターを次々と乗り継ぐ

なぜ自分の無意識は
上へ 上へむかうのでしょう

「伝えやすさのために言葉を削る」みたいなことを、いくらかポジティブに捉えられるようになった一方で

そこで削られてゆく、絶対に他人に伝わったり受け入れられたりしないであろう感覚や感情に執着していた自分を喪失したような気がしてたまに寂しい

なお、伝わりやすさではない

伝えやすさ