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「東京ではないどこかへ」54歳で早期退職。理想の移住先をさがす旅【おてつびとインタビューVol.34】

50代、60代になると「第二の人生」を描き、移住を検討される方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回はおてつたびをきっかけに、瀬戸内海に面した広島県三原市に移住した50代の平井 寿(ひさし)さんにお話をうかがいました。

●これまでに参加したおてつたび●
広島県三原市「阿部農園
栃木県那須塩原市「奥塩原高原ホテル
愛媛県八幡浜市「こじまのんびりファーム


これまでのご経歴を教えてください

神奈川県出身です。東京の会社に28年間勤め、広告やマーケティングの仕事に携わってきました。10年程は中国にも駐在し、慌ただしく過ごしましたね。50代になってからだんだんと海外に定住したいと思うようになり、54歳を迎えた2018年、思いきって長年勤めた会社を早期退職したんです。

退職後は転職してタイのバンコクに渡りました。ところが2020年から新型コロナウイルスが広まり仕事がなくなってしまったんです。仕方なく帰国して東京で別の仕事を始めましたが、やはり東京ではないどこか違う場所に住みたいと思い続けていました。

そんな時、前の会社の同僚が広島にUターンしたという話を聞き、その友人を訪ねて広島に遊びに行ったんです。今まで行ったことがない地域でしたが、行ってみたらすごくいい場所で。瀬戸内の海と空のコントラストが綺麗で忘れられなくて「あぁ、ここに住みたいな」と思ったんです

広島県から望む、瀬戸内海の美しい景色

その後、おてつたびで広島を訪問しながらご縁が繋がり、2022年11月から広島県三原市に移住。現在、三原市の観光協会で働いています。

おてつたびを利用したきっかけ

移住について友達に相談していたら「おてつたびというサービスがあるよ」と教えてくれたんです。最初は若者向けのサービスなんじゃないかと抵抗がありましたが「応募が通るかわからないし、とりあえず申し込んだら」と友達の後押しを受け、おてつたびに登録しました。

まったく知らない土地にいきなり住むのはハードルが高いと思ったので、お試しで移住するようなイメージでおてつたび先を選んでいきました。そして広島県三原市の案件の応募が通り、参加してみることにしたんです。

おてつたびではどんなことをしましたか?

2022年7月、広島県三原市の桃農家阿部農園さんでのおてつたびがスタートしました。桃の収穫、選果、直売のお手伝いをしたり、お中元ギフト用に桃を箱詰めしたりしました。夏の暑い時期だったので、気温が上がる前の午前6時から収穫作業を始め、午後は涼しい場所で別の作業をしていました。

おてつたびの参加者は全部で4名。50代の私と40代後半の男性、あとは20代前半の若者二人でした。バンガローでみんなで一緒に雑魚寝しているうちに自然と仲良くなりましたね。特に40代の男性とは連絡先を交換し、今でも連絡を取っています。

農園で一緒に働いたおてつたびの仲間

農作業がお休みの日は、おてつたびの窓口をしている三原テレビ(現:株式会社MCAT)の方とバーベキューをしたり、ごはんを食べたりして交流を楽しみましたし、夜は一人で飲みに行き、地元の人と知り合いになることもありましたよ。たくさんの人に出会い、あっという間に一週間のおてつたびは終わりました

お休みの日、バーベキューをして楽しんだ

三原市のおてつたびが終わったあとは北関東や四国のおてつたびにも参加し、移住のイメージを膨らませていきました。旅を続けながら、やっぱり自分は瀬戸内の海が好きだなぁと感じるようになりましたね

移住先を探すなかで感じた、おてつたびの魅力は?

行ったことのない地域に行くきっかけが生まれ、人との繋がりができるのが魅力ですね。一度も行ったことがない地域に住んでみようなんて、きっと誰も思わないじゃないですか。滞在すれば知り合いが一人か二人はできて、そこから繋がりが広がりますし、移住後のイメージもつきやすくなりますよね。

現地に知り合いがいるのは、新しい仕事を探すうえでも心強く感じました。私は移住先を探すため、おてつたびに参加する前から移住フェアに行ったり、移住者向けのサイトに登録して仕事を探していたりしたんです。でも、50代で新しい仕事を見つけるのは大変なことでした。

私がどうやって仕事に就こうか悩んでいた時、おてつたびで出会った広島の三原テレビの方が遠くから見守り続けてくれたんです。

三原テレビさんは市の移住担当の方とも知り合いです。私がおてつたびのあと、再び移住フェアに参加する際には「平井さんは本当に移住する気があるから、ちゃんとお話を聞いてあげてね」と担当の方に声をかけてくれていたんです。当日、私は移住相談ブースでしっかりとお話させてもらうことができました。

その後、三原市の商工会議所に履歴書を送り、しばらくすると「観光協会のポストが空いたから面接に来てください」と連絡が入りました。これまでのマーケティングの経験も活かせそうで、無事に採用していただくことになり、三原市への移住が現実のものになりました。おてつたびを通して人との繋がりができ、移住の一歩を踏み出すことができたと思っています。

三原市の観光協会で働く平井さん

これから三原市でやりたいことは?

そろそろ移住して一年が経ちます。今住んでるアパートには、オーシャンビューのホテルみたいな大きな窓があって瀬戸内の海が見渡せるんです。緑と青のコントラストは美しく、見たら一生忘れられないくらい綺麗ですよ。そんな海を見ているうちに、船舶免許を取って友達と一緒に島を巡りたいという夢を持つようになりました。

住んでいるアパートの前で見た初日の出

仕事も楽しんでいきたいです。現在、観光協会でお祭りや季節のイベントのPRなどをしていますが、来訪者を増やす仕掛けをもっと考えていきたいですね。三原市は祭りごとが好きな街なので、美術のイベントやお祭り2.0みたいにバージョンを変えたいろいろな企画をして、街を盛り上げようと動いているところです。

三原市って東京に住んでいた頃は私も知らなかったし、多くの人にとっては馴染みのない地域だと思います。県外の方にも楽しんでいただけるような街を、地元の人と一緒に作っていきたいと思っています!

おてつたびに参加しようとしているシニア世代や移住検討者にひとこと

おてつたびって学生さん向けのサービスかと思っていましたが、自分のように退職した50代、60代の方も結構いるようです。私の場合、退職して60代になるにあたり、何もやることがないよりは忙しくしている方が楽しいかなと思っています。もしお金がたくさんあって生活に問題がなければ世界旅行とかしていたかもしれないけど、それも長くは続かないですよね。

振り返ってみると、おてつたびは新しい出会いがたくさんあってすごく刺激的でした。おてつたびの受け入れ先の方との交流はもちろん楽しいですし、自分から街に出て地域の人との繋がりを深めていくのもいいと思いますよ。三原市は人との距離が近く、温かい方ばかりでとても居心地がいいです。みなさんも、おてつたびを利用していろいろな地域に足を運び、自分に合う地域を探してみるといいのではないでしょうか。

編集後記

移住先を探す目的でおてつたびに参加された平井さん。そのフットワークの軽さに驚かされました。美しい瀬戸内海と温かい方々に囲まれた暮らしは、とても豊かなのだろうなと想像しています。これからも三原市の魅力をたくさん教えてくださいね!ありがとうございました😊

【取材・執筆:やまくぼ(おてつたびライター)】


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