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明治妖怪新聞


明治妖怪新聞

 この本は、いわば、明治時代の新聞のスクラップ帳です。
 記事の内容は、妖怪やら、幽霊やら、狐や狸に化かされた話やら、怪しい事件ばかりです。

 何しろ明治時代なので、文章は、旧かな遣いです。現代の人には、読みにくいでしょう。
 けれども、それを補ってあまりある魅力があります。

 どんな事件が載っているのか、一例を挙げてみましょう。
 私のお気に入りの一件です(^^) とても微笑ましいです。「狸の学校」というものです。

 広島県に、幟町【のぼりちょう】学校という小学校がありました。
 この学校、昼間は、もちろん、子どもたちで賑わっています。反対に、夜には、誰もいなくなります。
 静まり返っている……はずが、なぜか声がします。「あいうえお」を習う声や、それを教える教員の声がするというのです。

 「これは不思議?」と覗いてみれば。
 なんと、たくさんのタヌキが集まって、生徒のように椅子に座っています!
 そうやって、生徒と同じく、「あいうえお」などを勉強しているというのです。

 ネットで調べてみたところ、二〇一〇年現在でも、「広島市立幟町小学校」は、実在しますね。
 幟町小学校の関係者の皆さん、ここに、実在の(?)「学校の怪談」がありますよ(笑)
 明治一〇年三月三一日の、『東京絵入新聞』に、この記事が載ったそうです。

 こんな素敵な(^^)事件簿の本です。
 以下に、この本の目次を書いておきますね。

凡例
はじめに
度量衡算表

1 天地の幻獣
2 超自然現象を追え
3 何かが降ってくる
4 狐狸の事件簿
5 化物屋敷へようこそ
6 植物の奇談
7 動物の奇談
8 妖怪天国
9 異界からの伝言
10 幻人博覧会
11 怪火と妖炎
12 水辺の幻獣
13 モノに宿る魂

◆コラム
恐怖を図像化する……虎狼狸獣のかたち
イギリスの夏の風物詩……海蛇伝説
人魚はほんとうにいるのか?……幻獣を科学する
竜の角見せます……何でもありの共進会
幻獣の剥製が消えた……写真に撮られた妖怪「件」
極彩色の怪異……新聞錦絵と錦絵新聞
妖怪「アマビエ」の招待……記事から謎を解く
浅虫の怪談……暴かれたインチキ怪異

協力者・協力機関リスト
明治怪奇報道年表



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