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司書教諭と学校図書館

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司書教諭もしくは学校図書館に関わる記事です。
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知的学級高学年に読み聞かせと朝の読書をやってみた結果

知的学級高学年に読み聞かせと朝の読書をやってみた結果

 知的学級の高学年に読書指導を行いました。目的は読書量を増やすこと。内容は読み聞かせ5ヶ月と10分読書1ヶ月。結果、鬼ごっことじゃれ合いが好きだった子ども達4人に、「学校図書館から本を借りる」「家から本を持ってくる」「親に本をねだる」「休み時間に本を読む」といった行動の変化が現れました。

朝の読書を通して得られた結果 朝の読書を実践してすぐに、全員が10分間静かに本を読むことができるようになりま

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朝の読書をやる理由と4原則

朝の読書をやる理由と4原則

 子どもに本を読んでほしい。大体の人は大なり小なりそう願っていると思います。本を読まないでほしいと子どもに願う人はあまりいないでしょう。

 ではどうすれば子どもが本を読むようになるのか。その答えの一つが「朝の読書」の取り組みだと自分は思っています。手応えも感じています。

 朝の読書を取り入れることで、子ども達の読書量は増えます。「毎日10分」の積み重ねは想像以上に大きいです。自然と子どもたちの

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『子どもを本嫌いにしない本』(赤木かん子著)読書メモ

『子どもを本嫌いにしない本』(赤木かん子著)読書メモ

読書教育に関する本を読み終えたのでメモをnoteに転記します。著者の赤木かん子さんは説明不要の方。育児をしている方、これから育児をする方に向く本ですが、教員ほか教育関係の人間も興味深く読める本だと思います。

乳児と読書必要なのは音声としての言葉であり、視覚としての絵。0歳児1歳児の読み聞かせにおいて、ストーリーを追うことの優先順位は高くない。改めて思ったのでメモした一文です。

我が子に本を読ま

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天職を探す基準

天職を探す基準

ベストセラー本、『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』からの一節です。このメッセージは、著者の中島聡さんがこの本以外でも別著やVoicy等さまざまな媒体で繰り返し語っています。

この基準に照らし合わせると、自分がいまやっている「小学校教員」という仕事は天職ではありません。現状毎日発生している残業は「嫌」と感じているし、そんな時間があったらゲームや読書にあてたいです。

39歳。長いこと天職じゃな

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児童玄関で開門を待つ子ども達が学校図書館で本を読めればいいのにね

児童玄関で開門を待つ子ども達が学校図書館で本を読めればいいのにね

朝、小学校の玄関前で、扉が開くのを待つ子供達。
家庭の都合で家を早く出なければならないこの子達に居場所を作ったという記事を読みました。

この件について、解説と意見を書いてみます。

朝、児童玄関前に座る子供達毎朝学校の玄関が開くのを座って待っている子供達。この姿は学校教育が解決したい課題の一つとなっています。

家族はみな仕事で家を出なければならない。家に大人がいなくなるから、小学生の子も合わせ

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書評『ふたり』‥図書館通いを軸に進む6年生2人の恋模様

書評『ふたり』‥図書館通いを軸に進む6年生2人の恋模様

「高学年向けの読み物」をテーマに展示をしようと、放課後の学校図書館であれこれ児童書を物色していました。あまり古すぎず、適度に読みやすく、子ども達がとっつきやすそうな内容のものを探して。

そんな視点で本棚を眺めていて見つけたのがこの一冊。福田隆浩さんの『ふたり』。表紙を見て、お、男の子と女の子!ラブストーリーかな?場所は図書館。もしかしたら刺さる子が結構いそうだ‥‥と興味を惹かれました。

普段図

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『生きる力を育む「朝の読書」静寂と集中』感想。実践しない理由がない

『生きる力を育む「朝の読書」静寂と集中』感想。実践しない理由がない

 朝読書に関する本の感想とメモです。
『生きる力を育む「朝の読書」静寂と集中』(岩岡千景 2019年 高文研)

 著者は岩岡千景さん。東京新聞の記者です。
 小学校、中学校、高校、そして朝読書を推進する団体と、実にさまざまな相手を取材。そうして得た豊富な事実を根拠に、朝読書の必要性を提案してくれている本です。

 朝の読書推進協議会という団体が執筆に協力しています。
 岩岡さんは、会の創設メンバ

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『ひげうさぎ先生の子どもを本嫌いにする9つの方法』 経験20年小学校教員が紹介する重厚なブックガイド

『ひげうさぎ先生の子どもを本嫌いにする9つの方法』 経験20年小学校教員が紹介する重厚なブックガイド

本の紹介です。

『ひげうさぎ先生の子どもを本嫌いにする9つの方法』
ひげうさぎ著
つげ書房新社 2004年

 著者は「ひげうさぎ」さん。この本を書いたのが2004年。その時点で経験20年の小学校教師と記されています。Googleで検索したところ、ひげうさぎ先生の名は、「教頭」「校長」という肩書きとセットで出てきました。管理職コースを歩んだのですね。

 本には個人サイトを運営していると書かれて

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小学校教員の本質を学べる必携本『一冊の本が学級を変えるークラス全員が成長する「本の教育」の進め方』

小学校教員の本質を学べる必携本『一冊の本が学級を変えるークラス全員が成長する「本の教育」の進め方』

 本の紹介です。

 対象は小学校教員。著者の多賀一郎先生が現役時代をすべて小学校で務められていることから、具体的なエピソードは小学校の現場のものが多いので。とは言え中学校教員が読んでも学びはあると思います。
 教員以外でも、乳幼児から思春期までのお子さんをもつ親にも刺さる本だと思います。

 著者の多賀一郎先生は、公立学校から始まり、私立小学校で31年間務められた大先輩。著者経歴には、国語教育の

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低学年の国語の時間に読み聞かせを

低学年の国語の時間に読み聞かせを

 

 小学校低学年の担任をやる時、目標にしている数値が一つあります。

「絵本読み聞かせ1年間200冊」

 途方も無い数に思えますが、案外イケます。毎日国語の授業になるたびに1冊読んでいけばOK。1冊どころか2冊3冊読む日も多々あるので、実際は200冊なんてすぐに突破します。
 「200冊」という数自体には特に根拠は無し。これは「徹底的に本を読む1年間にしよう」という、いわゆる自分の中の決意表

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本棚に本を並べるコツ1つ

本棚に本を並べるコツ1つ

 本棚に本を並べるときは、棚の手前側ギリギリまで本を引っ張り出すといいです。キッチリしまいたくなる人ほど本を一番奥までさしこみたくなると思いますが、あえて手前側に揃えます。

 本を引っ張り出すと、

・背表紙の位置がきれいに揃う
・視認性が高まる

という効果があります。

 本棚の奥側に本を揃えると背表紙の位置がバラバラになるんですよね。本ってそれぞれサイズが違いますから。手前側にそろえてあげ

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小学1年生に本を読ませる学級指導

小学1年生に本を読ませる学級指導

 ひらがなをどうにか読めるようになった1年生。
 カタカナを絶賛修行中の1年生。

 そんな1年生にはできるだけ多くの本を読ませたいところです。1年生の学校生活には時間的なゆとりがとってもありますから、そこをできるだけ読書にあてていければ幸せになれます。

 語彙力、読解力、協調性、学級の落ち着き…
 いい事だらけですからね、読書って。

 さて、1年生に本を読ませるためにはどのような働きかけをす

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学校図書館の本の整理を通して学べること

学校図書館の本の整理を通して学べること

 学校図書館の本の並べ方は、実際に手を動かしてみるとすぐに身につきます。どの分類番号がどんな内容なのかはすぐに頭に入りますし、新しく買った本にどんな分類番号を振るのかも自分なりの考えが持てるようになります。

 新しい学校へ赴任し図書係や司書教諭の担当になったら、とりあえず図書館を覗いてみます。多くは、NDC通りに並んでいなかったり古い本がホコリをかぶっていたりします。
 そういう図書館と巡り合っ

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放課後の仕事場所を学校図書館にする良さ

放課後の仕事場所を学校図書館にする良さ

 今年は低学年の担任をしています。どこの学校へ行ってもいつも大体1,2,6のどれかに落ち着くんです。そういう人相なのでしょうか。

 低学年担任の特権として、6時間目がいつも空きます。で、私はその時間を学校図書館で過ごすことにしています。パソコンとか学級のあれこれとか持参で。
 図書館の仕事をする時もあれば、担任としての仕事をするときもあります。ただ単に職員室での仕事を場所を変えてやってるだけとい

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